ユーザックシステム(大阪市中央区)が8月7日、光昭(大阪市中央区)と共同で、見積り依頼書類から見積り作成に必要な情報を特定して整理する実証実験を始めると発表した。光昭は電線やケーブル、光ファイバー、ハーネス、電設資材、電気機器、情報通信システムを扱うエレクトロニクス総合商社で、公式サイトの取扱区分には建設電販用電線が入る。商社の見積り前工程にAIを入れる事例になる。
実証実験の対象になる業務
対象は、顧客から届いた見積り依頼書類を読んで、見積りに必要な範囲を決めるまでの工程だ。光昭の商材は品番、仕様、長さ、規格、用途、数量、納期条件と確認項目が多く、依頼書類の形式や記載の粒度もそろっていない。担当者は書類全体に目を通し、必要な情報と補足情報を分けたうえで商品候補と条件を整理してきた。ユーザックシステムはこの工程を「入力作業ではなく、見積りに必要な情報を見極める判断業務」と位置づけている。
使うのはユーザックシステムの「Knowfa受注AIエージェント」で、注文書や業務書類を読み取って受注処理に必要な情報を抽出し、判断と整理を支援する。受注処理で使っている判断の仕組みを、見積りの前工程に応用する形になる。検証するのは、依頼書類の読み取り、見積り対象範囲の特定、商品名や型番、規格、数量、納期、加工条件の整理、担当者による確認と修正の効率化、担当者ごとに割れやすい判断の平準化の5点。確認時間の削減や見積り回答スピードの向上も検証項目に挙がるが、削減率などの数値目標と実験期間はリリースに書かれていない。
今後は商品マスタとの照合、類似商品の候補提示、過去見積り情報の参照、代替品提案、納期確認まで機能を実装する方針を示している。
受注周辺へ広げる共同PoC
前日の8月6日には、ユーザックシステムがWEELと共同PoCの開始を発表した。受注業務で使っている判断支援の技術を、受注入力の外側へ広げられるかを検証する。判断ロジックは、ユーザックシステムが6月26日に取得を発表した特許(第7866703号)にあたる。
検証する領域は4つ。
| 領域 | 支援する内容 |
|---|---|
| 見積り作成 | 見積依頼書からの情報抽出、商品候補の特定、条件確認、見積データ作成 |
| 見積りを含む受注入力 | 注文書と見積書、見積回答内容の一致確認と差異確認 |
| 複数書類の受注入力 | 注文書、見積書、仕様書、図面、納品指示書、メール本文を横断した情報整理 |
| 受注から出荷まで | 商品マスタ作成、代替品確認、相見積もり作成、仕入先確認、出荷可否判断 |
PoCのパートナーはユーザックシステムが窓口となって募集する。対象はエンドユーザー企業のほか、基幹システム(販売管理)ベンダー、ERPベンダー、WMSベンダー、業務システム開発会社。実際の業務資料や帳票、マスタ、過去実績を使って検証する。実施期間と費用は個別相談。
リリースが背景に挙げるのは、FAXやPDF、Excel、メールで届く依頼書類と、過去見積、商品マスタ、得意先別のルールを人が突き合わせている工程だ。PoCの結果をもとに、見積り作成や商品マスタ作成、相見積もり、出荷前確認を対象にしたAIエージェントの開発を進めるとしている。



