AIコンサルティングのrenue(東京都港区)が8月14日、給排水設備図面のPDFから配管の数量を拾い、拾い表と概算見積書まで生成する仕組みを開発したと発表した。給水や給湯、排水といった系統と、管種、口径の組み合わせごとに配管の長さを測り、バルブや量水器の個数を数える工程が対象になる。現時点は営業デモとして実装した段階で、価格と提供開始時期は公表していない。
図面を読む手順
最初にPDFのページを配管平面図や詳細図、凡例に自動で分類する。そのうえでマルチモーダル生成AIが製図の知識をもとに配管ルートと記号を座標付きで読み取り、通り芯から縮尺を機械的に検出して寸法値と照合する。CADデータは要らず、紙由来のPDF図面でも扱える。
系統の判別は、凡例があればその定義を正として参照する。凡例がない図面では製図の一般慣行にもとづいて判別し、リリースが挙げるのは給水が実線、給湯が一点鎖線、排水が破線という線種の使い分けだ。設計事務所ごとに記号の表記が違っても、図面ごとの事前設定やテンプレート登録は要らないとしている。
読み取った結果は、生成AIとは別の決定論的なアルゴリズムが検算する。AIが申告した経路が図面上の実際の線と重なっているかを照合し、ずれていれば補正する。信頼しきれない箇所は「要確認」として残す仕組みで、人が確認した項目は自動で確認済みに変わる。修正後の再集計はAIを使わないため数秒で終わる。
出力される拾い表と概算見積書
拾い表はExcelの4シート構成。系統と口径の集計に加えて、記号の個数、ページごとの明細、検算結果と読み取り時の仮定が1つのファイルに入る。
概算見積書は、配管工事、弁類、支持金物、試験費、諸経費という見積単価表の慣行に沿った構成になる。拾い数量は実測値として白いセルに、単価は差し替え前提の仮値として色つきのセルに分かれる。単価を自社のものに置き換える前提の作りだ。
精度の実測値と今後の検証
公表された精度はrenueの自社検証によるもので、実案件の図面で測った値ではない。正解データを付けた自作の検証図面を7回読み取らせた実測で、合計数量の誤差は±2〜8%の範囲だった。系統と口径の分類、記号16個の数え上げは7回とも正解と一致している。実案件での精度は、設備工事会社やサブコンとの共同検証で確かめるとしている。
従来の工数として挙がっているのは、renueが土木分野で支援した数量拾いの事例だ。5〜6人のベテラン担当者が1案件あたり2〜15時間かけて図面から数量を読み取り、若手が参画する余地はほとんどなかったという。給排水設備で測った比較値ではない。
今後はガス配管に同じ仕組みで対応し、電気や空調、消防の系統への展開と、積算や見積のシステムとのデータ連携を検討する。読み取りの安定性は、同じ図面を複数回読ませて結果を突き合わせる方式で検証する方針を示している。



