薄板市況で流通段階の価格転嫁が本格化している。熱延酸洗鋼板は年度初め(4月)からトン約1万円の値上がりが東西の店売り市場で浸透し、メーカー各社の相次ぐ値上げ表明を受けて流通各社も引き上げを強めている。需給はタイト化の方向で、一部地域ではデリバリー遅れも出ている。
東京製鉄は鉄スクラップ購入値を引き上げ
原料段階でも動きがあった。東京製鉄は9月19日から、鉄スクラップの購入値を全拠点でトン500円引き上げた。スクラップは電炉メーカーの主原料で、購入値の上昇は下流の鋼材価格にも影響しうる指標のひとつになる。
ステンレス線材はメーカーで下げ幅が分かれる
ステンレス線材・鋼線は、メーカーによって改定の方向が分かれた。日本製鉄は9〜11月契約(10〜12月ロール)の国内向け価格を、Ni系(SUS304)でトン2万5000円、Cr系(SUS430)で5000円それぞれ値下げした。原料指標(ニッケル・クロム・為替)に連動するアロイリンク部分の変動を反映したもので、Ni系は5四半期ぶり、Cr系は6四半期ぶりの値下げという。
一方、線材を加工する日本精線は10月契約分のステンレス鋼線について、Ni系を1万5000円値下げしたものの、Cr系は5000円値上げした。同じ品種でもメーカーの立ち位置(線材メーカーか加工メーカーか)によって改定の方向が一致しない状態になっている。



