足場にかかる手続きは高さで切り替わる。2メートルで組立ての作業そのものに措置義務が付き、5メートルで作業主任者の選任が加わり、10メートルで労働基準監督署長への届出が加わる。つり足場と張出し足場は、この3つの線のいずれも高さを問わず対象になる(計画届の60日の条件は別にかかる)。

高さの線 かかること 根拠
高さを問わず 組立て、解体、変更の作業に係る業務の特別教育(地上または堅固な床上における補助作業の業務を除く) 則36条39号
2メートル以上 組立て、解体、変更の作業での措置(周知、立入禁止、悪天候時の中止、幅40cm以上の作業床と要求性能墜落制止用器具、材料のつり上げ下ろし) 則564条
5メートル以上 足場の組立て等作業主任者の選任 法14条、令6条15号、則565条
10メートル以上で組立てから解体まで60日以上 工事開始の30日前までに機械等設置届 法88条1項、則85条、則86条、別表第七の十二の項

則564条1項の5つの措置には、条文の側に例外が3つ付いている。幅40センチメートル以上の作業床は、設けることが困難なときは要らない(4号イ)。要求性能墜落制止用器具を取り付ける設備等の設置と使用も、同等以上の効果を有する措置を講じたときは外れる(4号ロ)。材料や器具や工具の上げ下ろしでつり綱やつり袋を使わせる措置も、落下で労働者に危険を及ぼすおそれがないときは不要だ(5号)。器具の使用を命じられた労働者の側にも使用義務がかかる(同条2項)。

立入りを禁じる対象は「当該作業に関係する作業従事者以外の者」で、労働者に限らない。作業従事者:事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者(法15条1項)。

計画届が要る足場

計画届の対象は、則85条が別表第七の上欄に掲げる機械等と定める。足場は十二の項に入り、括弧書きで「つり足場、張出し足場以外の足場にあつては、高さが十メートル以上の構造のものに限る」と絞られている。同じ別表には仮設材がもう2つ載る。十一の項の架設通路は高さと長さがそれぞれ10メートル以上のもの、十の項の型枠支保工は支柱の高さが3.5メートル以上のものが対象だ。

高さの条件を満たしても、則85条ただし書2号で落ちる場合がある。機械集材装置と運材索道と架設通路と足場の4つは、組立てから解体までの期間が60日未満のものが除かれる。高さ10メートル以上の足場でも、組立てから解体まで60日に届かなければ届出の対象外だ。つり足場と張出し足場は高さの条件が外れるだけで、60日の条件は同じようにかかる。この4つ以外の機械等(特定機械等と型枠支保工を除く)は、期間の線が6か月未満で廃止するものに変わる(同ただし書1号)。

届出 対象 様式 期限 届出先
機械等設置届 足場、架設通路、型枠支保工など別表第七の機械等の設置、移転、主要構造部分の変更 様式第20号 工事開始の日の30日前まで 所轄労働基準監督署長
建設工事計画届 高さ31メートルを超える建築物または工作物(橋梁を除く)の建設、改造、解体、破壊、吹き付けられた石綿等の除去や封じ込めや囲い込み、石綿含有の保温材や耐火被覆材等の除去等、廃棄物焼却炉等の解体など則90条の仕事 様式第21号 仕事開始の日の14日前まで 所轄労働基準監督署長
大規模な仕事の計画届 高さ300メートル以上の塔、長さ3,000メートル以上のずい道等など則89条の仕事 様式第21号 仕事開始の日の30日前まで 厚生労働大臣

記載事項と添付図面も別表第七が指定する。足場の欄が求める記載は「設置箇所」「種類及び用途」「構造、材質及び主要寸法」の3項目で、図面等は組立図及び配置図。架設通路と型枠支保工の欄には設置期間が入るが、足場の欄に設置期間の記載項目は置かれていない。

高さ31メートルを超える建築物の工事では、同じ現場で2つの届出が並ぶ。建設工事計画届が仕事開始の14日前まで、足場の機械等設置届が足場の工事開始の30日前までで、期限の起算も日数も別だ。出す者も別で、建設工事計画届は仕事を自ら行う発注者か元請負人が出し、機械等設置届は足場を設置する事業者が出す(法88条5項)。

建設工事計画届の対象のうち、石綿と廃棄物焼却炉には規模の線が置かれていない。則90条5の2号は吹き付けられている石綿等(仕上げ用塗り材を除く)の除去と封じ込めと囲い込みの作業、5の3号は張り付けられている石綿等が使用された保温材や耐火被覆材等の除去等の作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限る)を挙げる。建物の規模にかかわらず、改修で石綿の除去に入る工事は14日前の届出に当たる。

計画に参画する者の資格

別表第七のうち、計画の作成に資格者を参画させる対象は十の項の型枠支保工と十二の項の足場に限られる(則92条の2第1項)。架設通路の届出には参画者が付かない。資格の中身は則92条の3が別表第九に委ねており、足場の欄は3つの区分を置く。

区分 要件
一 足場に係る工事の設計監理または施工管理の実務に3年以上従事、一級建築士の免許を受けることができる者、一級土木施工管理技術検定または一級建築施工管理技術検定に合格のいずれかに該当し、かつ工事における安全衛生の実務に3年以上従事または厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了
二 労働安全コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が土木または建築であるもの
三 その他厚生労働大臣が定める者

三に当たる区分は厚生労働大臣の告示にあり、厚生労働省の資料がその抜粋を載せている。足場に係る工事の設計監理または施工管理の実務に2年以上従事し、二級建築士試験または二級土木施工管理技術検定または二級建築施工管理技術検定に合格し、そのうえで工事における安全衛生の実務3年以上または大臣登録研修の修了を満たす組み合わせだ。一級の資格が無くても参画者を立てられる。

安全衛生の実務3年の代わりになる研修は、厚生労働大臣の登録を受けた機関が13時間で行う。科目は安全衛生管理と工事計画の安全衛生に関する知識が2時間、仮設構造物に関する知識が7時間、労働災害の事例及びその防止対策が2時間、安全衛生関係法令が2時間。仮設構造物の科目では、種類と用途、設置等に関する計画、倒壊の防止、組立て及び管理を扱う。

参画者を立てる側は、届出を出す事業者と同じだ。法88条5項の適用除外は4項のうち1項の届出に係る部分を除いているため、下請が足場を設置するなら、その下請が自分で参画者を確保する。

建設工事計画届にも別系統の参画者が付く。則92条の2第2項の対象は則90条1号から5号までの仕事(1号から3号は建設の仕事に限る)で、石綿と廃棄物焼却炉の仕事は入らない。高さ31メートルを超える建築物の建設では、別表第九が理科系の大学または高専を卒業して建築工事の設計監理か施工管理の実務10年以上(高校または中等教育学校の卒業なら15年以上)、一級建築士の免許を受けることができる者、建築区分の労働安全コンサルタント試験の合格のいずれかに、建設工事の安全衛生の実務3年以上または大臣登録研修の修了を重ねる形を求める。足場側の参画者とは要件が別で、同じ現場で2人立てる場合が出る。

届け出る事業者と計画届免除認定

数次の請負で工事が流れる現場でも、足場の届出は元請に寄らない。法88条5項は、仕事を自ら行う発注者がいるときはその発注者以外の事業者、いないときは元請負人以外の事業者について規定の適用を外すが、対象は2項から4項までで、4項のうち1項の届出に係る部分はそこからも除かれている。1項の機械等設置届は除外に入っていないので、足場を設置する事業者が自分で届け出る側に立つ。

届出そのものが消える経路は計画届免除認定だ。法88条1項ただし書は、則87条の措置を講じている事業者として労働基準監督署長が認定したものを届出から外す。則87条が挙げるのは、危険性または有害性等の調査とその結果に基づき講ずる措置、それと則24条の2の指針に従った自主的活動の2つ。

認定の条件 内容
申請 計画届免除認定申請書(様式第20号の2)を認定を受けようとする事業場ごとに所轄労働基準監督署長へ(則87条の5第1項)
認定の単位 事業場ごと。建設業では当該仕事の請負契約を締結している事業場ごとに行い、その事業場と契約に係る仕事を行う事業場をまとめて店社等と読み替える(則87条の2、則88条1項と2項)
有効期間 3年ごとに更新を受けなければ期間の経過で失効(則87条の6)
認定証 様式第20号の3(則87条の5第4項)
報告 1年以内ごとに1回、実施状況等報告書(様式第20号の4)に措置の実施状況の監査結果を記載した書面を添えて提出(則87条の7)

認定の基準は則87条の4が3つ置く。則87条の措置を適切に実施していること、労働災害の発生率が当該事業場の属する業種の平均的な発生率を下回っていると認められること、申請の日前1年間に労働者が死亡する労働災害その他の重大な労働災害が発生していないこと。

申請には外部の評価と監査が付く。則87条の5第1項は、申請の日前3か月以内に2人以上の安全または衛生に関して優れた識見を有する者の評価を受けて措置を適切に実施していると評価されたことを証する書面と評価の概要、さらにその評価について安全の識見者1人以上と衛生の識見者1人以上の監査を受けたことを証する書面を添えさせる。識見者は認定の実施について利害関係を有しない者に限られる。

足場の組立て等作業主任者

作業主任者を選任すべき作業は令6条が並べ、足場は15号に入る。つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)、張出し足場、高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体、変更の作業が対象で、資格は則別表第一と則565条が足場の組立て等作業主任者技能講習の修了者に限る。職務は則566条が4つ定める。

職務 内容
材料の点検 欠点の有無を点検し、不良品を取り除く(解体の作業では適用しない)
器具の点検 器具、工具、要求性能墜落制止用器具、保護帽の機能を点検し、不良品を取り除く
作業の管理 作業の方法と労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視する
使用状況の監視 要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況を監視する

同じ作業を同一の場所で行う場合に作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの職務の分担を定める(則17条)。選任したら氏名とその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させる(則18条)。

技能講習の学科は13時間で、科目と時間が決まっている。

科目 時間
作業の方法に関する知識 7時間
工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 3時間
作業者に対する教育等に関する知識 1時間30分
関係法令 1時間30分

受講資格は3区分。足場の組立て等に関する作業に3年以上従事した経験を有する者、大学や高専や高校や中等教育学校で土木か建築か造船に関する学科を専攻して卒業しその後2年以上同じ作業に従事した者、職業訓練関係でその他厚生労働大臣が定める者。

選任後は能力向上教育の対象になる。一定期間ごと(5年)と、当該事業場で機械設備等に大幅な変更があったときに実施し、足場と部材等の特徴や選択と管理が1時間、強度計算の方法と組立て等の基本的事項と留意事項と組立て等後の保守管理が4時間、災害事例とその防止対策と足場の組立て等に関する法令が2時間。

作業主任者の選任と別に、作業に就く側には特別教育が要る。則36条39号の対象は「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務」で、除かれるのは地上または堅固な床上における補助作業の業務だけ。高さの下限が付いていないため、作業主任者の要らない低い足場でも、足場に上がって組む人には特別教育が回る。

組立てや一部解体や一部変更の後の点検と、点検者の氏名を含む記録の保存は、計画届や作業主任者とは別系統の義務として則567条が受け持つ。記録は足場を使用する作業を行う仕事が終了するまで保存する。高さではなく幅で決まる線もあり、床面から建築物等の外面までの水平距離が1メートル以上ある箇所で足場を使うときは原則として本足場になる(則561条の2)。

建材の積み重ねと組立てに付く作業主任者

荷の積み重ねにも作業主任者が付く。令6条12号の対象は、高さが2メートル以上のはいのはい付けまたははい崩しの作業だ。はい:倉庫、上屋または土場に積み重ねられた荷の集団(小麦や大豆や鉱石のようなばら物の荷を除く)。荷役機械の運転者のみによって行われる作業も対象から落ちる。資材置き場や仮置き場が土場に当たる場合、建材を人の手で2メートル以上に積む作業には、はい作業主任者技能講習の修了者の選任が義務になる。

2メートルの手前にも線がある。則427条は、はいの上で作業を行う場合に作業箇所の高さが床面から1.5メートルを超えるときは、床面と作業箇所の間を安全に昇降する設備を設けさせる。はいを構成する荷で安全に昇降できる場合は要らない。

建材を組み上げる作業の側も、令6条が作業ごとに区分を置く。読者の現場に近い区分は次の5つで、ほかに橋梁の上部構造の架設等(15号の3)がある。

作業 対象 作業主任者
令6条12号 高さ2メートル以上のはいのはい付け、はい崩し はい作業主任者
令6条14号 型枠支保工の組立て、解体 型枠支保工の組立て等作業主任者
令6条15号の2 金属製の部材で構成される建築物の骨組みまたは塔(高さ5メートル以上)の組立て、解体、変更 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者
令6条15号の4 軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立て、これに伴う屋根下地または外壁下地の取付け 木造建築物の組立て等作業主任者
令6条15号の5 高さ5メートル以上のコンクリート造の工作物の解体、破壊 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者

木造の線で使う軒の高さは建築基準法施行令2条1項7号の定義で読む。地盤面から、建築物の小屋組またはこれに代わる横架材を支持する壁や敷桁や柱の上端までの高さだ。

荷揚げ機械の届出と検査

建材を上階へ送る機械のうち、建設用リフトは足場と同じ法88条1項の届出の対象だ。令1条10号の定義は、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで土木や建築等の工事の作業に使用されるもの(ガイドレールと水平面との角度が80度未満のスキップホイストを除く)。

機械 手続き 根拠
建設用リフト 建設用リフト設置届(様式第30号)に明細書(様式第31号)、組立図、構造部分の強度計算書、据え付ける箇所の周囲の状況と基礎の概要と控えの固定の方法を記載した書面を添えて所轄労働基準監督署長へ クレーン則174条、法88条1項
同上 設置後に所轄労働基準監督署長の落成検査。各部分の構造と機能の点検のほか、積載荷重の1.2倍の荷をのせて昇降の作動を行う荷重試験 クレーン則175条
簡易リフト あらかじめ簡易リフト設置報告書(様式第29号)を所轄労働基準監督署長へ。認定を受けた事業者は不要 クレーン則202条
ゴンドラ ゴンドラ設置届(様式第10号)に明細書とゴンドラ検査証、組立図、据え付ける箇所の周囲の状況、固定方法を添えて提出 ゴンドラ則10条

簡易リフトの定義は令1条9号にある。労働基準法別表第一第1号から第5号までの事業の事業場に設置されるエレベーターのうち、荷のみを運搬することを目的とし、搬器の床面積が1平方メートル以下またはその天井の高さが1.2メートル以下のもので、建設用リフトは除かれる。工事現場に立てる荷揚げ用のリフトは、報告ではなく設置届と落成検査の側に回る。

使用の制限はクレーン則が4つ置く。積載荷重を超える荷重をかけないこと(184条)、運転の合図を定めて合図を行う者を指名すること(185条)、搬器に作業従事者を乗せないこと(186条。修理や調整や点検等で危険を生ずるおそれのない措置を講ずるときを除く)、作業場で作業に従事する作業従事者が、搬器の昇降で危険を生ずるおそれのある箇所と巻上げ用ワイヤロープの内角側に立ち入ることを禁止すること(187条)。運転と操作には特別教育が要り、建設用リフトの運転(則36条18号)、動力により駆動される巻上げ機の運転(同11号。電気ホイストとエヤーホイストとゴンドラに係るものを除く)、ゴンドラの操作(同20号)が対象に並ぶ。

選任や届出を欠いたときの罰則

法14条の作業主任者の選任を欠くと、法119条1号で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。法88条1項から4項までの届出義務の違反は、法120条1号で50万円以下の罰金になる。

届出の内容が法令に違反すると認められた場合には、労働基準監督署長または厚生労働大臣が工事や仕事の開始の差止めか計画の変更を命ずることができ(法88条6項)、この命令に従わなければ法119条2号で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が付く。差止めや変更命令を受けた仕事については、発注者(自ら行う者を除く)に対して労働災害の防止に関する必要な勧告や要請が行われることもある(法88条7項)。

罰金は会社にも来る。法122条は、法人の代表者や代理人や使用人その他の従業者がその法人の業務に関して法119条や法120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか法人に対しても各本条の罰金刑を科すと定める。

確認先: 労働安全衛生規則、労働安全衛生法、機械等設置届と計画参画者の資格の一覧(下関労働基準監督署)