押出法ポリスチレンフォームの3種を50mm入れたとき、外皮計算に乗る熱抵抗は1.79にも2.27にもなる。デフォルトの熱伝導率0.028を使うか、JIS表示品と確認できたときに使える3種aDの0.022を使うかの差だ。製品も厚さも変えていないのに、根拠として何を持っているかで数字が動く。

2024年4月以降に確認申請を行った新築の販売と賃貸では、広告に省エネ性能ラベルを載せることが努力義務になっている。ラベルの星は建材と設備の性能値を積み上げた計算の結果で、その性能値には使ってよい出どころが決まっている。発注段階でどの資料を取るかが、そのまま星の数に効く。

ラベルに載る評価と、計算の入口

住宅版のラベルに出るのはエネルギー消費性能の多段階評価と断熱性能の多段階評価、評価年月日の3つ。エネルギー消費性能は省エネ基準に適合で星1、そこから10%削減するごとに星が1つ増える。太陽光発電の自家消費分を考慮する表示にすると、50%削減の星6まで伸びる。断熱性能は住宅品確法の断熱等性能等級1から7に相当する7段階で表示する。

断熱性能の等級は外皮平均熱貫流率(UA)の等級と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)の等級のうち低いほうを取る。UAが等級5でηACが等級4なら、ラベルに出るのは4になる。

評価の作り方は2通り。登録建築物エネルギー消費性能判定機関などが審査する第三者評価がBELSで、販売・賃貸事業者が自ら評価するのが自己評価。自己評価も販売・賃貸事業者が自らの責任で作るもので、ガイドラインは評価結果に責任を持てる建築士等の資格者が行うことを基本としている。

自己評価ラベルの作成手順は、建築研究所のWEBプログラムで計算した結果のPDFを、住宅性能評価・表示協会の作成プログラムにアップロードして発行する形。作成プログラムに入力内容の保存機能は無く、過去に作ったラベルを再表示する機能も無い。ラベルは計算結果のPDFとセットで保管する前提になっている。

断熱材と面材の熱伝導率

一般部位の熱抵抗は建材の厚さを熱伝導率で割って出す。この熱伝導率に使える値は4系統ある。

  1. JIS表示品である場合は、そのJIS規格に定める値
  2. JIS規格に定める試験方法で試験を行った市場流通品の値
  3. JIS規格に定める計算方法で計算した値
  4. 技術情報の付録Aに定める値

厚さは実寸法で入れる。木造の外張断熱や付加断熱で下地材が断熱材を貫通する場合は、その断熱材の熱抵抗に0.9を掛ける。仕上げの下地になる面材は、計算を簡単にするため無いものとして扱ってもよい。

付録Aには2つの表があり、性格が違う。表1は「〜相当」で括ったデフォルト値で、JIS表示品かどうかを問わず使える。表2はJISで熱物性値の定めのある建材の値で、JIS表示品であることを確認できた場合のみ使える。表2の値と当該建材のJISで定める値が食い違うときは、JISの値が優先される。

同じ材料でも、どちらの表を引くかで差が出る。

断熱材 表1(相当品として使える値) 表2(JIS表示品と確認できたときの値)
押出法ポリスチレンフォーム 3種 0.028 3種aA 0.028/3種aB 0.026/3種aC 0.024/3種aD 0.022
ビーズ法ポリスチレンフォーム 1号 0.036 1号 0.034
高性能グラスウール 16K相当 0.038 HG16-38 0.038/HG16-37 0.037/HG16-36 0.036
グラスウール 16K相当 0.045 通常品16-45 0.045/16-44 0.044
ロックウール断熱材(ボード) 0.036 HC 0.034/HB 0.035/MC 0.036
硬質ウレタンフォーム 保温板2種1号 0.023 2種1号 0.023
フェノールフォーム 保温板1種1号 0.022 1種1号EⅠ、EⅡ 0.018
吹付け硬質ウレタンフォーム 表1に記載なし A種1H 0.026/A種1 0.034/A種3 0.040

単位はいずれもW/mK。フェノールフォームの1種1号は、等級表示の末尾までそろえられるかで0.022と0.018に分かれる。105mmの充填で熱抵抗は4.77と5.83になり、間に1つ分の差が入る。

面材にも表2の値がある。せっこうボードはGB-R、GB-D、GB-L、GB-NCが0.221、GB-S、GB-Fが0.241、強化タイプのGB-R-H、GB-S-H、GB-D-Hが0.366。合板は表1で0.16、天然木材は0.12、直交集成板(CLTパネル)は0.12。

空気層の熱抵抗は仕様で決まる。面材で密閉された空気層は0.09、他の空間と連通していない空気層と連通している空気層はいずれも0。連通している場合は、その空気層より室内側の建材の熱抵抗も加算できない。

窓の熱貫流率を決める5つの方法

窓とドアの熱貫流率は、次のいずれかで求めた値か、仕様に応じた付録Bの値を使う。

方法 規格 中身
JIS A4710 建具の断熱性試験方法
JIS A1492 出窓及び天窓の断熱性試験方法
JIS A2102-1、JIS A2102-2 窓及びドアの熱貫流率の計算
ISO 10077-1、ISO 10077-2 ③に対応する国際規格の計算方法
ISO 15099 窓とドア、日射遮蔽装置の詳細計算

メーカーのカタログや試験成績書に載る熱貫流率は①か③で出た値であることが多い。雨戸やシャッターなどの付属物を閉めた状態での試験と計算は認められていないため、その条件で出た値は外皮計算に持ち込めない。

試験も計算も無い製品は、付録Bの値で拾う。ガラス中央部の熱貫流率を仕様から引き、枠の種類に応じた式に入れて窓の熱貫流率にする形になる。

ガラス中央部の熱貫流率の抜粋(W/m²K)。

ガラスの仕様 中空層6mm 12mm 16mm
二層複層 3.3 2.9 2.8
二層複層(Low-E 1枚) 2.6 1.8 1.6
二層複層(Low-E 1枚、断熱性ガス入り) 2.2 1.6 1.4
三層複層 2.3 1.9 1.8
三層複層(Low-E 1枚) 2.0 1.4 1.2
三層複層(Low-E 1枚、断熱性ガス入り) 1.7 1.2 1.1
三層複層(Low-E 2枚) 1.7 1.1 0.92
三層複層(Low-E 2枚、断熱性ガス入り) 1.4 0.90 0.76

単板ガラスは6.0。フロート板ガラスのほか、熱線吸収板ガラス、熱線反射ガラス、網入板ガラス、型板ガラス、強化ガラス、耐熱板ガラス、それらからなる合せガラスも単板ガラスとみなす。二層複層でLow-E膜が2枚の場合はLow-E 1枚として扱い、三層複層は2枚を別枠で見る。

中空層が6mm未満なら6mm、16mmを超えるなら16mmとして扱う。三層複層の中空層は片側の厚さを指し、2つの厚さが違う場合は平均値の小数点以下切り捨てか、薄いほうの厚さを使う。断熱性ガス入りと呼べるのは、アルゴンガスまたは伝導率がこれと同等以下の気体が中空層に85%以上の濃度で封入されている場合。三層複層で片方の中空層にしかガスが入っていないものは、断熱性ガス入りとみなさない。合わせガラスは、複層ガラスの枚数を数えるときガラス1枚として扱う。

ガラスの熱貫流率と枠の種類

枠の種類ごとの簡略式は次の通り。UgはガラスのUで、Uwが窓の熱貫流率。

枠の種類 ガラスの仕様 計算式
木製建具、樹脂製建具 三層以上の複層 Uw = 0.659 × Ug + 0.91
木製建具、樹脂製建具 二層複層 Uw = 0.659 × Ug + 1.04
木製建具、樹脂製建具 単板 Uw = 0.659 × Ug + 0.82
木と金属、樹脂と金属の複合材料製建具 三層以上の複層 Uw = 0.800 × Ug + 0.95
木と金属、樹脂と金属の複合材料製建具 二層複層 Uw = 0.800 × Ug + 1.15
木と金属、樹脂と金属の複合材料製建具 単板 Uw = 0.800 × Ug + 0.88
金属製建具、その他の建具 二層以上の複層 Uw = 0.812 × Ug + 1.51
金属製建具、その他の建具 単板 Uw = 0.812 × Ug + 1.39

同じLow-E複層ガラス(断熱性ガス入り、中空層12mm、Ug=1.6)を入れても、樹脂枠なら2.09、樹脂と金属の複合枠なら2.43、アルミ枠なら2.81になる。誘導仕様基準が4〜7地域の窓に求める2.3以下のラインは、この間に落ちる。枠の材質が仕様表から抜けたまま発注が進むと、後から等級が届かない話になりやすいのはこの構造による。

なお、この係数は端数を切り上げているため、付録Bの表から直接計算する値よりやや大きめに出る。

試験値を別の型番に使える範囲

試験は本来、実際に取り付ける窓と同じ仕様のもので行うのが基本になる。ただし同等の構造と開閉形式、寸法の窓で試験した値も適用できる。その範囲を定めているのが「窓、ドアの熱貫流率に関し試験体と同等の性能を有すると認められる評価品の範囲を定める基準」で、メーカーが1つの試験成績書を製品群に展開できる根拠になっている。

評価の対象は枠の内側だけ。試験体と実物で躯体への納まりが違っても評価には影響しない。評価品の構造は試験体と同じであることが原則だが、試験体に無い雨戸支持枠やシャッター支持枠、面格子が評価品に付いている場合など、断熱性能が試験体以上であることが明らかなときは同じでなくてよい。

複層ガラスを使う場合は、評価品のガラス中央部の熱貫流率をJIS R3107またはJIS A1420の方法で計算し、試験体の値以下であることを確認する。試験体が複層ガラスの辺縁部に金属スペーサーを使っていれば、評価品のスペーサーの種別は問わない。

方立や無目を介した連窓と段窓は、部分ごとに対応する試験体で評価し、最も劣る部分の性能を全体の性能とする。試験体が同じ構造の連窓や段窓なら、全体を一体で評価できる。

シャッターと雨戸の扱い

付属部材が付く開口部は、付属部材が無い状態の熱貫流率と、付いた状態の熱貫流率を半分ずつ足して求める。付いた状態の値は、元の熱貫流率の逆数に付属部材の熱抵抗を足して逆数に戻す。

付属部材 熱抵抗(m²K/W)
シャッター、雨戸 0.10
和障子 0.18

同じ開口部に複数の付属部材があるときは、いずれか1つだけを評価する。熱的境界の外にある風除室に面する開口部は、付属部材ではなく0.1を足して計算し、風除室と付属部材の両方があるときはどちらか一方だけを見る。

設備機器の性能値と第三者確認

設備の性能値も出どころが決まっている。機器ごとに準拠する規格が指定され、第三者機関の確認が要るものと要らないものが分かれる。

機器 性能項目 準拠規格 第三者確認
ルームエアコンディショナー 定格冷房能力、定格消費電力 JIS B8615-1
ダクト式セントラル空調機 定格暖房能力、定格暖房消費電力 JIS B8615-2
FF暖房機(ガス) 熱効率 JIS S2122 不要(JIA認証で確認済み)
熱交換型換気設備 温度交換効率 JIS B8628、JRA4059:2007
換気設備(壁付式) 消費電力、風量-静圧特性 JIS C9603
ガス給湯機 モード熱効率 JIS S2075
ガス給湯機 エネルギー消費効率(熱効率) JIS S2109 不要(JIA認証で確認済み)
石油給湯機 エネルギー消費効率(熱効率) JIS S3027 不要(JHIA認証で確認済み)
電気ヒートポンプ給湯機 年間給湯保温効率、年間給湯効率 JIS C9220
高断熱浴槽 JIS A5532
節湯水栓 小流量吐水性能 技術情報による
節湯水栓 手元止水機能、水優先吐水機能 技術情報による 不要(製品の仕様で判断)
太陽電池モジュール(結晶系) 最大出力 JIS C8918、JIS C8990、IEC61215
パワーコンディショナ 定格負荷効率 JIS C8961

第三者確認が要る項目は、第三者試験機関で試験等を実施しているか、第三者試験等審査機関の審査を受けているか、JIS Q1000などに基づく第一者適合証明を行っているかのいずれかで満たす。製品がJIS認証を取っていれば、該当する規格のJIS認証書か製品に表示されたJISマークで足りる。

ガス給湯機のモード熱効率には注意が要る。省エネ法のトップランナー基準に基づくエネルギー消費効率の値をそのまま使うことはできず、モード熱効率への読み替え補正が要る。電気ヒートポンプとガスの併用型は、タンクユニットの型番で選択肢が決まるため、タンク容量の性能確認そのものが不要になる。

仕様が変わったときのラベル

広告に一度出したラベルは、性能が下がる変更で修正の対象になる。表示すべき事項または再生可能エネルギーを考慮した多段階評価が低くなる変更が生じ、引き続き表示を続ける場合は、変更後の仕様に基づくラベルへ速やかに直す。性能が上がって多段階評価が上がる場合は、優良誤認に当たらないため修正は要らない。

分譲住宅のメニュープランのように、購入者との合意で引渡し仕様を変える場合は、当初の表示から性能が変わりうることを購入者に伝えることが望ましいとされている。性能が下がったのにラベルを再発行しないときは、将来の再販で変更前のラベルが使えなくなる点の注意喚起が要る。

過去に発行したラベルの再使用は、発行時から仕様が変わっていないか、変わった仕様が省エネ性能に関して同等以上であることを確認できる場合に限られる。確認できないなら、そのラベルは使わない。

根拠資料の保管は景品表示法の管理措置指針を踏まえた対応になる。評価書とWEBプログラムの計算結果書に加え、計算の前提条件を確認できる図面と仕様書が対象。販売・賃貸事業者が自分で原資料を持っていなくても、評価を行った建築士に問い合わせられる体制があれば足りる。ただし建築士法と同施行規則に基づく図書の保存期間は15年で、これを超える期間を想定するなら自ら保管する必要がある。

型番と根拠資料が15年後まで残るかどうかは、発注時にどこまで記録に残したかで決まる。断熱材のJIS表示の等級記号、サッシの枠材とガラス構成、設備の型番と試験成績書。承認図と納品書に出ている情報が、そのまま星の根拠になっている。