木材のJASマークを押印で付けることはできなくなった。2026年5月29日に施行された改正で、格付の表示は「在庫管理により使用数の管理が可能な証票」か「工場の建屋や床に固定され容易に移動できない印字機」でしか付けられない。集成材の改正前の規定は「格付の都度、各本又は各こりごとに、見やすい箇所に、貼付し、又は押印しなければならない」で、この条文ごと削られている。

同じ改正で、マークの中に認証番号の欄が入った。ただし表示事項として認証品質取扱業者の氏名または名称を書いた場合は省略してよく、マークの中でなく近傍に書いてもよい。集成材のマークには品名の欄も加わり、構造用集成材なら「構造用集成材」と入る。

現行の規格は製材がJAS 1083、集成材がJAS 1152。製材は2025年1月31日に第1部(一般要求事項)と第2部(試験方法)の部編成へ全部改正され、2026年2月26日の告示第227号でさらに改正された。集成材は告示第230号、格付の表示の様式は製材が告示第228号で、いずれも施行日は2026年5月29日。

構造用製材の2つの等級体系

構造用製材の等級区分は目視と機械で別体系になっていて、刻印の読み方も違う。

目視等級区分構造用製材は、まず用途で3つに分かれる。曲げ性能を主に使う甲種構造材と、圧縮性能を主に使う乙種構造材。甲種構造材はさらに断面で甲種Ⅰと甲種Ⅱに割れる。

区分 断面 想定する使い方 表示
甲種Ⅰ 木口の短辺36mm未満、または短辺36mm以上で長辺90mm未満 高い曲げ性能を必要とする部分 甲Ⅰ
甲種Ⅱ 木口の短辺36mm以上かつ長辺90mm以上 同上 甲Ⅱ
乙種構造材 区分なし 主として圧縮性能を必要とする部分

等級は1級から3級で、表示は星印の数になる。1級が3つ、2級が2つ、3級が1つ。たいこ材なら等級表示の後に「(たいこ)」が付く。品名は「目視等級区分構造用製材」「目視構造用」「VGL」のいずれか。

節の許容量は等級と材面の位置で細かく変わる。甲種Ⅰの節は径比が1級20%以下、2級40%以下、3級60%以下(円柱類はそれぞれ17%、35%、53%)。甲種Ⅱは広い材面の材縁部と中央部で基準が分かれ、材縁部が1級15%以下、中央部が1級30%以下。乙種構造材は節が1級30%以下で甲種Ⅰより緩い。判定はいずれも欠点の程度が大きい不良面で行う。

機械等級区分構造用製材は仕上げ材のヤング係数を機械で測って区分する。等級はE50、E70、E90、E110、E130、E150の6つ。基準値は2本立てで、荷口から抜いた試験材の曲げヤング係数の平均値が①の値以上、かつ区分した全数が②の値以上でなければならない。

等級 平均値の基準 全数の下限
E50 5.0GPa 4.0GPa
E70 7.0GPa 6.0GPa
E90 9.0GPa 8.0GPa
E110 11.0GPa 10.0GPa
E130 13.0GPa 12.0GPa
E150 15.0GPa 14.0GPa

複数の等級が混じった荷口を1本ずつ単一等級で表示するときは、荷口に含まれる最下位の等級を書き、その後に「(以上)」と付ける。「E90(以上)」の刻印はE90以上が混在する荷口という意味で、その材がE90ちょうどとは限らない。品名は「機械等級区分構造用製材」「機械構造材」「MGL」。

目視等級区分は2025年の全部改正で定義が広がっていて、節や丸身の測定は目視だけでなくカメラ撮影やレーザー照射などの材面測定機器でもよくなった。機械で撮って区分しても、ヤング係数を測っていなければ目視等級区分の側に入る。

インサイジング(薬剤を入れるための刻み)は欠点とみなさない。ただし構造用製材では、その仕様が曲げ強さと曲げヤング係数の低下が1割を超えない範囲内でなければならない。

構造用以外の製材の等級表示

構造用製材の星印やE値と違い、造作用と下地用と広葉樹は別の語で等級を書く。

用途 等級の表示 品名
造作用製材 板類は無節、上小節、小節、並。角類は四方無節、三方無節、二方無節、一方無節のように材面数を頭に付ける 造作用製材、造作材
下地用製材 1級、2級。押角は「押角」 下地用製材、下地材
広葉樹製材 特等、1等、2等 広葉樹製材、広葉樹材

耳付材は等級の後に「(耳付)」を付け、まくら木用は「(まくら木用)」を付ける。材面の品質の基準に適合せず寸法の基準だけ満たすものは「まくら木用」とだけ書く。

角類の材面数は記号で書いてもよい。四方が「□」、三方が「凵」、二方が「∟」または「││」、一方が「_」。「□小節」の刻印は4材面すべてが小節の基準を満たす角材という意味になる。

造作用製材の節の基準は等級ごとに個数まで決まっている。無節はないこと。上小節は長径10mm(生き節以外の節は5mm)以下で、材長2m未満は3個以内、2m以上は4個以内(木口の長辺210mm以上は6個以内)。小節は長径20mm(生き節以外は10mm)以下で、材長2m未満は5個以内、2m以上は6個以内(木口の長辺210mm以上は8個以内)。並は長径が木口の長辺の70%以下。

この材面数の記号は構造用製材にも出てくる。目視等級区分と機械等級区分のどちらも、材面の美観について選別した旨を表示するときは、造作用製材の材面の品質の基準(曲がりとそりとねじれの項を除く)以上の欠点がない材面数に応じて「四方無節」から「並」までを書く。構造用の刻印に「□上小節」が並んでいれば、それは強度等級ではなく美観の選別結果。

保存処理の表示はK1からK5

保存処理を施した旨を表示する製材には、性能区分と使用した薬剤も表示事項に入る。書き方は「保存処理K3」または「保存K3」で、その後に薬剤名か薬剤の記号を付ける。性能区分は薬剤がどこまで染み込んでいるか(浸潤度)と、どれだけ入っているか(吸収量)で分かれる。

性能区分 浸潤度の基準
K1 辺材部分90%以上
K2 辺材80%以上、かつ深さ10mmまでの心材が耐久性区分D1の樹種で20%以上、D2の樹種で80%以上
K3 辺材80%以上、かつ深さ10mmまでの心材80%以上
K4 辺材80%以上、かつ心材はD1の樹種で深さ10mmまで80%以上、D2の樹種で深さ15mm(木口の短辺90mm超は20mm)まで80%以上
K5 辺材80%以上、かつ深さ15mm(木口の短辺90mm超は20mm、円柱類は全ての直径で30mm)までの心材80%以上

心材の耐久性区分D1の樹種はヒノキ、ヒバ、スギ、カラマツ、ベイヒ、ベイスギ、ベイヒバ、ベイマツ、ダフリカカラマツ、サイプレスパインの10種で、それ以外がD2。K2とK4では同じ性能区分でもD1樹種のほうが心材の浸潤度の基準が緩い。土台にスギやヒノキを使うか、それ以外を使うかで、同じ「保存K4」の中身が違う。

吸収量の基準は薬剤ごとに数値が決まっている。第四級アンモニウム化合物系(AAC-1)ならDDACとしてK2が2.3kg/m³以上、K3が4.5kg/m³以上、K4が9.0kg/m³以上。銅・第四級アンモニウム化合物系(ACQ-1、ACQ-2)は酸化銅とBKCまたはDDACとしてK2が1.3kg/m³以上、K3が2.6kg/m³以上、K4が5.2kg/m³以上。区分が1つ上がるごとに、おおむね倍の量が要る。

用途ごとに使える含水率記号

含水率の表示記号は、頭にSが付くものが仕上げ材、付かないものが未仕上げ材。数字は含水率の上限で、SD15なら試験片の含水率の平均値が15%以下。

仕上げ材:人工乾燥処理の後、修正挽きまたは材面調整を行い、寸法仕上げをした製材

未仕上げ材:人工乾燥処理の後、寸法仕上げをしない製材

使える記号は用途ごとに違う。同じ「D20」が造作用製材には存在しない。

用途 仕上げ材 未仕上げ材
造作用製材 SD15、SD18 D15、D18
目視等級区分構造用製材 SD15、SD20 D15、D20、D25
機械等級区分構造用製材 SD15、SD20 該当なし
下地用製材 SD15、SD20 D15、D20
広葉樹製材 D10、D13(人工乾燥処理を施したもの) 同左

機械等級区分構造用製材は仕上げ材のヤング係数で区分する規格なので未仕上げ材の記号がなく、含水率は条件付きではなく必須の表示事項に入っている。他の4つは乾燥処理を施した旨の表示をするときだけ含水率記号が要る。つまり構造用製材でも、目視等級区分の材には含水率記号が付かないものがあり得る。

天然乾燥処理は数字を使わず「乾燥処理(天然)」と書き、基準は含水率の平均値30%以下。人工乾燥で最も緩いD25より5ポイント高い。

含水率記号ごとの寸法の許容差

表示された寸法と実測寸法の差の許容範囲は、含水率記号ごとに別に決まっている。目視等級区分構造用製材の基準は次のとおり。

区分 木口の短辺・長辺 許容差
仕上げ材 SD15 75mm未満 +1.5mm、−0.5mm
仕上げ材 SD15 75mm以上 +2.0mm、−0.5mm
仕上げ材 SD20 75mm未満 +1.5mm、−0.1mm
仕上げ材 SD20 75mm以上 +2.0mm、−0.1mm
未仕上げ材 D15、D20、D25 75mm未満 +1.5mm、−0mm
未仕上げ材 D15、D20、D25 75mm以上105mm未満 +2.0mm、−0mm
未仕上げ材 D15、D20、D25 105mm以上 +5.0mm、−0mm
人工乾燥処理を施していないもの 75mm未満 +2.0mm、−0mm
人工乾燥処理を施していないもの 75mm以上105mm未満 +3.0mm、−0mm
人工乾燥処理を施していないもの 105mm以上 +5.0mm、−0mm

マイナス側が仕上げ材だけ0.5mmまたは0.1mm認められ、未仕上げ材と未乾燥材は0。プラス側は未仕上げ材の105mm以上で5.0mmまで開く。105mm角のD25材が110mmで入荷しても規格内で、SD15の仕上げ材なら107mmまで。材長はどの区分もプラス無制限、マイナス0。

造作用製材の許容差はさらに厳しく、SD15の仕上げ材が75mm未満で+1.0mm、−0.5mm。SD18は75mm未満で+1.0mm、−0mm。未仕上げ材のD15とD18は寸法によらず+5.0mm、−0mm。

構造用集成材の表示事項

構造用集成材の表示事項は、品名、強度等級、材面の品質、接着性能、樹種名、寸法、ラミナの積層数(薄板を貼り付けたものに限る)、検査方法(曲げA試験を行うものに限る)、製造業者等の氏名または名称および所在地。これを一括して表示する。

品名だけで3つの情報が入る。構成種別が「異等級構成集成材(対称構成)」「異等級構成集成材(特定対称構成)」「異等級構成集成材(非対称構成)」「異等級構成集成材(対称構成・内層特殊構成)」「同一等級構成集成材」「同一等級構成集成材(内層特殊構成)」のいずれか。断面区分が大断面、中断面、小断面。用いる部位が特定していれば「(はり)」「(柱)」「(小屋組)」のように括弧で入る。

断面区分 断面
大断面 短辺15cm以上かつ断面積300cm²以上
中断面 短辺7.5cm以上、長辺15cm以上で大断面以外
小断面 短辺7.5cm未満、または長辺15cm未満

強度等級はE値とF値の組で、E値が曲げヤング係数、F値が曲げ強さに対応する。同一等級構成集成材では、同じE値でも積層数でF値が変わる。E120は4層以上でF375、3層でF330、2層でF300。同一等級構成集成材で「E120-F330」の刻印なら3層構成という情報も読める。異等級構成の側では対称構成がE170-F495からE55-F200まで11区分、非対称構成がE160-F480からE50-F170まで11区分。

樹種名は最も一般的な名称で書き、複数の樹種を使った場合は「樹種名(最外層)」「樹種名(外層)」「樹種名(中間層)」「樹種名(内層)」と層ごとに分けて書く。同じ樹種が複数の層域にまたがるときは、その層をまとめて記載する。層別の表記があれば、外側と内側で樹種が違う集成材ということになる。

同じ強度等級を出すのに要るラミナの等級は樹種で変わる。規格はラミナの樹種を6群に分けている。

樹種群 樹種
A アピトン
B イタヤカエデ、カバ、ブナ、ミズナラ、ケヤキ、ダフリカカラマツ、サザンパイン、ベイマツ、ウエスタンラーチ
C ヒノキ、ヒバ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、ベイヒ
D ツガ、タモ、シオジ、ニレ、アラスカイエローシダー、ラジアタパイン、ベイツガ
E モミ、トドマツ、エゾマツ、ベイモミ、スプルース、ロッジポールパイン、ベニマツ、ポンデローサパイン、オウシュウアカマツ、ジャックパイン、ラワン
F スギ、ベイスギ、ホワイトサイプレスパイン

対称異等級構成集成材の最外層用ラミナで見ると、樹種群Bで1級のラミナを使って出せる強度等級はE150-F435だが、樹種群Fで1級を使って出せるのはE95-F270。スギの集成材で高い強度等級を求めると、その分だけラミナの等級を上げるか、樹種を替えることになる。

材面の品質は1種、2種、3種のいずれかで、製造業者と販売先が品質許容差について協定を結んだ場合は「−」と書く。節や割れ、欠け、接合の透き間は、1種が「ないこと又は埋め木若しくは合成樹脂等を充塡することにより巧みに補修されていなければならない」、2種と3種が「目立たず、利用上支障のない程度」。削り残しと接着剤のはみ出しは1種だけ「あってはならない」で、2種と3種は局部的で目立たない程度まで許される。丸身も1種は不可で、2種と3種は「その寸法が極めて小さく、目立たない程度」まで。

接着性能は使用環境A、B、Cで書く。3つの分かれ目は含水率が19%を超える頻度と、火災時の接着性能。

使用環境 想定する条件 要求される接着剤の性能
A 含水率が長期間継続的または断続的に19%を超える、直接外気にさらされる、太陽熱等で長期間断続的に高温になる、火災時でも高度の接着性能を要求される 耐水性、耐候性又は耐熱性について高度な性能
B 含水率が時々19%を超える、太陽熱等で時々高温になる、火災時でも高度の接着性能を要求される 通常の性能
C 含水率が時々19%を超える、太陽熱等で時々高温になる 通常の性能

BとCの条件はほぼ同じで、差は火災時に高度の接着性能を要求されるかどうか。壁と床と屋根に用いるものとして製造されたものには、使用環境の次に括弧で接着剤名か記号が入る。記号はレゾルシノール樹脂がRF、レゾルシノール・フェノール樹脂がRPF、メラミン樹脂がMF、水性高分子イソシアネート系樹脂がAPI、メラミンユリア共縮合樹脂がMUF。積層方向と長さ方向で違う接着剤を使えば「(積層:MF、F/J:API)」のように両方書く。

含水率の記号は集成材にはない。造作用も構造用も、規格が含水率の平均値15%以下を一律の基準にしているため、表示事項にも様式にも含水率の欄がない。製材のSD20やD25に相当する幅は集成材にはなく、15%を超えた集成材はJAS材として出せない。

柱など高い圧縮強さを必要とする部分のみに用いられることが明らかなもの以外は、使用方向の表示も要る。荷重を受ける面である旨を、その上面の見やすい位置に書く。非対称異等級構成集成材はラミナの品質の構成が積層方向の中心軸に対して対称でないため、上下を入れ替えると引張り側に来るラミナの等級が変わる。

ホルムアルデヒド放散量を表示するものはF☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆Sの記号で書く。保存処理を施した集成材の性能区分はK3のみで、性能区分の次に「(製品処理)」または「(ラミナ処理)」と処理方法が入る。薬剤はジデシルジメチルアンモニウムクロリド剤(AAC-1)とシプロコナゾール・イミダクロプリド剤(AZN)の2種類だけ。

格付の表示の様式

集成材の格付の表示は円形で、外円の直径35mm、内円の内側の直径18.5mm、JASの文字の高さ7mm。文字と縁は白で、地の色が品目ごとに決まっている。

品目 マークの標準色
構造用集成材 青色
造作用集成材 黄色
化粧ばり造作用集成材 緑色
化粧ばり構造用集成柱 ピンク色

材面に直接印字する方法で付ける場合は黒の単一色になり、外円の直径は35mm以上。この場合は色で品目を判別できないので、マークの中の品名を読む。

製材の格付の表示は方形で、縦の辺Aが25mm以上、横の辺BがAの9/10。JASの文字の高さはAの3/10。目視等級区分構造用製材のマークには構造材の種類と等級の欄があり、その文字と記号の高さはAの2/5以上。

改正で表示の方法が変わったのは、格付の表示を表示事項と同じ材面に付けるという条件も含む。製材は「JAS 1083-1の箇条6の表示事項と同一面で材面の見やすい箇所に」、集成材は「JAS 1152-1の箇条5の表示事項と同一面で見やすい箇所に」明瞭に付す。マークと表示事項が別の面に分かれている材は、この条件を満たしていない。

2026年5月29日施行分の変更点

変わったこと 改正前 改正後
格付の表示の付け方 集成材は貼付または押印。製材は寸法・樹種・製造業者等の表示がある材面に付す 在庫管理により使用数の管理が可能な証票、または工場の建屋や床に固定され容易に移動できない印字機
マークと表示事項の位置関係 規定なし 表示事項と同一面
認証番号 欄なし マークに欄を新設。表示事項に認証品質取扱業者の氏名・名称を書けば省略可、近傍への記載も可
集成材のマークの品名 欄なし 「構造用集成材」「造作用集成材」「化粧ばり造作用集成材」「化粧ばり構造用集成柱」の欄を新設
製材の表示事項 各事項を表示 一括して表示
製材の品名 表示方法の規定なし 「造作用製材」「造作材」、「目視等級区分構造用製材」「目視構造用」「VGL」等の記載方法を規定。等級や構造材の種類をマークから省略する場合は品名の表示が必須
販売業者・輸入業者の書き方 「製造業者又は販売業者を表す文字」 販売業者は「販売業者」の文字の後に名称、輸入品は「輸入業者」の文字の後に名称
造作用集成材・化粧ばり造作用集成材の表示事項 等級は表示事項でない 等級(1等または2等)が表示事項に加わった

受入時に照らす項目

確認先: 製材の日本農林規格(JAS 1083:2026)集成材の日本農林規格(JAS 1152:2026)