2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が起きた。気象庁は「令和8年熊本地震」と名前を定め、宇城市と氷川町で震度7を観測したと発表している。震源の深さは16km(暫定値、速報値の約10kmから更新)、東北東から西南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、震源の周辺には布田川断層帯と日奈久断層帯がある。揺れは北陸地方から九州地方にかけて震度6強から1の範囲で観測された。
通行止めになった高速道路
NEXCO西日本の29日11時00分現在の第4報では、61.3kmが解除され、110.8kmが通行止めのまま残っている。
| 状態 | 路線 | 区間 |
|---|---|---|
| 通行止め | E3 九州自動車道 | 益城熊本空港IC〜えびのIC |
| 通行止め | E3A 南九州自動車道(八代日奈久道路) | 八代JCT〜日奈久IC |
| 通行止め | E77 九州中央自動車道 | 嘉島JCT〜益城TB |
| 解除 | E3 九州自動車道 | 植木IC〜益城熊本空港IC |
| 解除 | E3 九州自動車道 | えびのIC〜栗野IC |
| 解除 | E10 宮崎自動車道 | えびのIC〜高原IC |
九州道の熊本市側と鹿児島側、宮崎道は通れるようになったが、熊本から八代を経て人吉へ抜ける区間と、八代から南、益城から東へ向かう路線は塞がったまま。八代市はYKK APの九州製造所がある場所で、南九州道と九州道の両方が止まっている。
甚大な被害として確認されたのは橋梁部と土工部。宇城氷川スマートICから八代IC間の川田橋、八代JCTから人吉IC間の片野川橋、八代JCTから八代南IC間の妙見第一橋で、橋梁部ジョイントの損傷、桁ずれ、路面の段差や開きが出ている。松橋ICから宇城氷川スマートIC間と八代ICのランプ部では、路面の段差やひび割れ、隆起が確認された。NEXCO西日本は「現時点で通行止め解除の見込みは立っておりません」としている。高速道路を走行していた利用者の被害は確認されておらず、休憩施設で利用者1名と店舗スタッフ3名の負傷が出ている。休憩施設の建物倒壊などの大規模な被害はない。
震源の近くにある建材の生産拠点
震度7を観測した宇土市には、大阪製鐵の西日本熊本工場がある。公式の拠点ページによれば製鋼から圧延まで一貫の工場で、異形棒鋼、丸鋼、山形鋼を生産する。鉄筋の供給元にあたる。同市には同社グループの西鋼物流も置かれている。
八代市にはYKK APの九州製造所がある。1975年2月の操業開始で、敷地の総面積は342,000平方メートル、建物の延べ面積は216,300平方メートル。住宅とビル用の窓、エクステリア商品、産業用形材をつくり、九州と全国に供給する拠点と公式サイトに記載がある。
両社ともその後、工場の被害と操業への影響を公表した。YKK APは7月29日以降の商品出荷を停止し、大阪製鐵の西日本熊本工場も生産と出荷が止まったままになっている。内容はYKK APが7月29日以降の商品出荷を停止 大阪製鐵の熊本工場も再開未定にまとめた。
追記(7月31日): LIXILが納品遅れの見通しを公表
LIXILは7月30日、令和8年熊本地震による影響と対応状況を公表した。被災地域に勤務し居住する全従業員の無事を確認したうえで、有明工場と九州物流センターは建物と設備、操業への影響と被害はないとしている。営業拠点とショールームも大規模な損害はなく営業を続けている。LIXILトータルサービス熊本事業所は建屋の一部が損壊し、テレワークへ切り替えた。
供給については、道路網と物流の寸断により一部地域で建材と水まわり製品の納品に遅れが生じる見通しとしている。対象地域の範囲と遅延の期間は示されていない。被災したLIXIL製品を対象とした無料点検も受け付けている。
追記(7月31日): 通行止めは2区間に縮んだ
NEXCO西日本の第6報(31日2時20分現在)では、通行止めは九州自動車道の松橋ICからえびのIC、南九州自動車道の八代JCTから日奈久ICの2区間になった。第4報にあった九州中央自動車道の嘉島JCTから益城TBは一覧から外れ、九州道も益城熊本空港ICから松橋ICまでが通れるようになっている。31日中に松橋ICから宮原SAの上下線で緊急車両の通行が可能になる見込みで、通行できる時間と車種、通行方法は別途知らせるとしている。
被害と復旧の状況
消防庁の第13報(28日23時50分現在)では、八代市で工場の煙突が崩落し消防が対応中、嘉島町では商業施設の2階部分が崩落して閉じ込めが多数出ている。工場と施設の名称は発表に記載がない。火災は宇城市2件、熊本市4件、八代市2件で、宇城市と熊本市は全て鎮火、八代市は1件鎮火、1件鎮圧。八代広域行政事務組合消防本部は指令システムの被害で、119番通報を管轄の各消防署で受け付けている。人的被害と住家被害の欄に載っているのは大分市の軽傷1人だけで、住家被害の集計はまだ出ていない。
首相官邸の発表では、17時35分時点の停電は熊本県などで合計4万8,280戸、都市ガスは約500戸が供給停止、断水は広い範囲で発生している。政府は16時28分に官邸対策室、18時20分に非常災害対策本部を設置した。
余震の見通し
気象庁は28日20時現在で、この地震のあと震度1以上を観測した地震が61回発生したとしている(震度5弱が3回、震度4が7回、震度3が17回、震度2が19回、震度1が15回)。この地域では過去に大地震の発生から1週間程度の間に同程度の地震が続発した例があるとして、揺れの強かった地域では1週間程度、最大震度7程度の地震に注意するよう呼びかけている。特に発生から2〜3日程度は強い揺れをもたらす地震が起きることが多い。地震活動域は広範囲に広がっており、発生する場所や規模によっては今回のM7.1の揺れより強く揺れる場合がある。熊本県熊本では長周期地震動階級4を観測した。揺れの強かった地域では家屋の倒壊や土砂災害の危険性が高まっているとして、気象庁は今後の地震活動と降雨の状況に注意し、やむを得ない事情がない限り危険な場所に立ち入らないよう求めている。



