今月の要点は3つ。8月の新設住宅着工は63,974戸で前年同月比6.1%増と5か月連続で増えたが、季節調整済みの年率換算は75.3万戸で2か月連続の減少になった。大手50社の建設工事受注は8月が1兆4,388億円(3.6%減)で、民間が6か月連続で減り、公共は46.3%増えた。フラット35の最も多い金利は10月が年3.830%で、8月の3.290%から0.54ポイント上がった。
着工は5か月連続増、勢いは鈍る
国土交通省の建築着工統計によると、2026年8月の新設住宅着工は63,974戸で前年同月比6.1%増となった。増加は5か月連続。利用関係別では持家17,713戸(同1.0%増)、貸家28,309戸(同6.5%増)、分譲住宅16,838戸(同6.4%増)で、全区分が前年を上回った。季節調整済みの年率換算値は75.3万戸で、前月比2.7%減と2か月連続で減っている(6月78.6万戸、7月77.4万戸)。
| 月 | 総戸数 | 前年同月比 | 持家 | 貸家 | 分譲 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年6月 | 66,344戸 | 18.6%増 | 18,553戸 | 30,253戸 | 17,211戸 |
| 2026年7月 | 66,439戸 | 8.2%増 | 17,730戸 | 30,164戸 | 18,208戸 |
| 2026年8月 | 63,974戸 | 6.1%増 | 17,713戸 | 28,309戸 | 16,838戸 |
前年同月比の伸びは6月18.6%、7月8.2%、8月6.1%と小さくなっている。昨年の落ち込みによる反動増が薄れてきたためで、水準で見ると6〜8月の月平均は65,586戸と、3〜5月の61,314戸より7.0%多い。持家は6月の15.7%増から8月は1.0%増まで縮み、公的資金による持家は1,481戸で8.6%減った。貸家は民間資金分が25,667戸(3.5%増)で、公的資金分が2,642戸(47.7%増)と大きく増えた。
分譲はマンション6,475戸(同5.3%増)と一戸建て10,182戸(同7.5%増)がそろって増えた。7月はマンションが7,448戸(24.7%増)、一戸建てが10,578戸(9.0%増)で、マンションの伸びが急に縮んでいる。地域別では首都圏が総戸数9.2%増(マンション0.8%減・一戸建て6.0%増)、中部圏が11.0%増(分譲住宅15.9%減、うちマンション55.9%減)、近畿圏が12.3%増(分譲住宅35.5%増、うちマンション61.9%増)。近畿圏より外のその他地域は総戸数2.0%減で、マンションが20.8%減、一戸建てが10.9%増だった。
構造・工法別では、プレハブが8,227戸(同12.3%増)と先月の減少から再び増え、ツーバイフォーは7,724戸(同0.9%減)で3か月連続の減少になった。貸家と一戸建ての増加は構造用合板・石膏ボード・サッシなど量で動く下地・外装材の出荷を支える。中部圏の分譲マンションは前年の半分を下回り、鉄筋コンクリート向けの生コン・鉄筋・高層用サッシは地域で需要の動きが分かれている。
大手50社の受注は民間が6か月連続減、公共が伸びる
大手50社の建設工事受注は、6月が1兆7,212億円(前年同月比2.3%増)、7月が1兆1,383億円(同13.4%減)、8月が1兆4,388億円(同3.6%減)と動いた。8月は民間工事が1兆1,072億円で前年同月比10.6%減り、6か月連続の減少。発注者別では不動産業、運輸業・郵便業、情報通信業が減り、工事種類別では事務所庁舎、倉庫・流通施設、教育・研究・文化施設が減った。製造業は37.6%増えた一方、非製造業は20.9%減っている。
| 月 | 受注総額 | 前年同月比 | 民間工事 | 前年同月比 | 公共工事 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年7月 | 1兆1,383億円 | 13.4%減 | 8,678億円 | 6.1%減 | 2,108億円 | 5.4%減 |
| 2026年8月 | 1兆4,388億円 | 3.6%減 | 1兆1,072億円 | 10.6%減 | 2,747億円 | 46.3%増 |
公共工事は8月が2,747億円で46.3%増え、7月の減少から再び増加に転じた。国の機関が35.4%増、地方の機関が65.2%増で、土木その他、上水道・下水道が増え、道路は減っている。民間は倉庫・流通施設や事務所といった非住宅の建築が減り、工場・発電所や宿泊施設が増えた。
大手ハウスメーカーの受注速報では、住友林業の8月は金額ベースで戸建注文住宅が前年同月比0%、賃貸住宅が74%増、リフォームが15%増、合計が6%増。7月は注文住宅4%増、賃貸住宅25%増、リフォーム7%増だった。積水化学工業の8月の住宅受注は金額ベースで4%減、棟数ベースで6%減となり、7月の金額4%増から反転した。4〜8月の累計は金額2%増、棟数2%減。いずれも速報値で、確定値は決算で変わることがある。
金利・職人需給・景況感
住宅金融支援機構によると、フラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下)で最も多い金利は2026年10月分で年3.830%、取扱金融機関が出す金利の範囲は年3.830%から年5.840%。前号に載せた8月の3.290%から0.54ポイント上がった。
| 商品(融資率9割以下) | 最も多い金利 | 金利の範囲 |
|---|---|---|
| フラット35(21〜35年) | 年3.830% | 年3.830%〜5.840% |
| フラット20(20年以下) | 年3.510% | 年3.510%〜5.520% |
| フラット50(36〜50年) | 年4.100% | 年4.100%〜6.020% |
職人の需給は不足幅がやや広がった。国土交通省の建設労働需給調査で、8月の8職種計の過不足率は1.3%の不足となり、7月の1.2%、前年同月の0.9%から広がった。6職種計は1.2%の不足。職種別では配管工が2.2%の不足(7月3.5%)、とび工1.6%、左官1.3%、電工0.8%で、型わく工(土木)は2.3%の不足。型わく工(建築)は7月の0.8%の不足から0.5%の過剰に転じ、鉄筋工(建築)は0.3%の過剰から0.6%の不足に変わった。地域別では関東が1.9%の不足で、前年同月の0.0%から1.9ポイント広がった。10月・11月の確保見通しは全国で「普通」。職種別・地域別の詳しい数字は建設8職種の不足率は8月1.3%にまとめている。
住団連の経営者の住宅景況感調査(2026年7月調査)では、2026年4〜6月の受注実績が全体で受注戸数マイナス10ポイント、受注金額プラス40ポイントとなり、戸数は7期連続のマイナス、金額は2期連続のプラスだった。7〜9月の見通しは戸数マイナス20ポイント、金額プラス10ポイント。コメントには「金利上昇により予算が縮減傾向」「建築費・資材価格の上昇や金利動向などの不透明要因」が並び、戸建注文住宅の見通しは戸数マイナス38ポイント、金額±0だった。戸数は減り単価で金額を補う構図が続いている。
前号の6月着工・フラット35・職人需給は建材需要・調達見通し 2026年8月にある。建設資材そのものの需給は建設資材13品目が全て「横ばい」にを参照。



