今月の要点は3つ。5月の新設住宅着工は57,877戸で前年同月比33.9%増と2か月連続の増加になり、持家・貸家・分譲がそろって増えた。大手50社の建設工事受注総額は5月1兆101億円で同6.7%減と3か月連続の減少が続く。フラット35の7月金利は最頻3.14%で6月から下がり、住宅ローンの重さがわずかに和らいだ。
着工は2か月連続増、大手50社の受注は3か月連続減
国土交通省の建築着工統計によると、2026年5月の新設住宅着工は57,877戸で前年同月比33.9%増となった。利用関係別では持家15,708戸(同31.8%増)、貸家25,175戸(同33.3%増)、分譲16,600戸(同39.2%増)と全区分が増えた。分譲の内訳はマンション6,575戸(同37.6%増)、一戸建て9,824戸(同38.7%増)。季節調整済みの年率換算値は75.7万戸で前月比4.6%増と、5か月ぶりの増加になった。6月分は7月31日に公表される。
| 月 | 総戸数 | 前年同月比 | 持家 | 貸家 | 分譲 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月 | 63,495戸 | 29.3%減 | 16,659戸 | 27,678戸 | 18,530戸 |
| 2026年4月 | 62,569戸 | 11.4%増 | 16,296戸 | 29,265戸 | 16,702戸 |
| 2026年5月 | 57,877戸 | 33.9%増 | 15,708戸 | 25,175戸 | 16,600戸 |
前年比の増加幅が大きいのは、比較先の2025年4〜6月が着工の落ち込んだ時期だった影響を含む。戸数の水準そのものは3月から5月にかけて6.3万戸台から5.8万戸台へ下がっており、増加率だけで需要の回復と読まない方がよい。
非住宅を含む大手50社の建設工事受注は、5月の総額が1兆101億円で前年同月比6.7%減、3か月連続の減少になった。民間工事が7,514億円(同5.7%減)と3か月連続で減り、公共工事は2,067億円(同24.3%増)と増えた。民間では倉庫・流通施設、工場・発電所が増え、店舗、事務所・庁舎が減っている。
大手ハウスメーカーの直近の受注では、住友林業の6月の新築受注が金額ベースで前年同月比7%増となり、リフォームは同24%増だった。積水化学工業の6月の住宅受注は同5%増。いずれも各社が公表する受注速報の速報値で、確定値は決算で変わることがある。
金利・職人需給
フラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下)の2026年7月の金利は3.14%から5.40%で、最も多くの金融機関が提供する金利は3.14%。6月より低下した。長期固定の金利が下がると持家・分譲の資金計画が組みやすくなり、着工の持ち直しを後押しする方向に働く。
職人の需給は不足方向に振れた。国土交通省の建設労働需給調査で、5月の8職種(型枠工・鉄筋工・とび工など)計の過不足率は1.2%の不足となり、4月の0.6%不足から不足幅が0.6ポイント広がった。前年同月と比べても0.7ポイント不足側に動いている。
住宅メーカー経営者の景況感では、住宅生産団体連合会の2026年4月度調査(令和8年度第1回)で、4〜6月期の総受注見通しが戸数プラス5ポイント、金額プラス20ポイントだった。実際の4〜6月がどうだったかを聞く7月度調査は本記事の時点で未公表で、次回公表を待って反映する。
品目需要への意味
着工の内訳は、貸家と分譲一戸建てが戸数を支える形が続いている。貸家・分譲向けは構造用合板や石膏ボード、サッシといった量で動く下地・外装材の出荷に直結し、持家の水準の低さは中高級グレードの住設・内装材の需要が戻りにくいことを意味する。一方で職人不足が5月に広がっており、着工が増えても施工が追いつかなければ、建材の納入時期は後ろにずれる。発注担当者にとっては、着工増の月でも納材のリードタイムを職人の確保状況とあわせて確認する局面になる。非住宅では倉庫・流通施設と工場の受注増が続いており、鉄骨造向けの形鋼・外装パネルの需要はこの分野が支えとなる。



