解体でも新築でも、現場から出た端材や梱包材の処理を委託する名義は元請業者になる。建設工事が数次の請負で行われる場合、廃棄物処理法の適用上は元請業者を事業者とすると定められているためで、下請が自社の車で運び出しても、契約書とマニフェストの名前は元請のものになる(法21条の3第1項)。下請が自ら運搬できる例外と、その要件は建設リサイクル法の記事で扱っている。

罰の重さは3段構えになっている。許可を持たない相手に処理を委託すれば5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金(法25条1項6号)、許可業者に委託しても契約書が委託基準を満たしていなければ3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(法26条1号)、マニフェストを交付しない、写しを保存しないといった違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法27条の2)。

建材の端材と梱包材はどの種類になるか

産業廃棄物の種類は法2条4項1号と施行令2条で決まる。木くず、紙くず、繊維くずは業種を限って産業廃棄物になる品目で、建設業のものは工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限られる。ここに当たらない事務所のごみは一般廃棄物になり、委託先も契約も別の系統になる。

現場で出るもの 産業廃棄物の種類 根拠と限定
木材の端材、木枠、下地材 木くず 令2条2号。建設業のものは工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る
貨物の流通に使ったパレット、パレットへの積付けに使ったこん包用の木材 木くず 令2条2号。業種の限定なし
段ボール、包装紙 紙くず 令2条1号。建設業のものは工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る
コンクリート塊、アスファルト塊 がれき類 令2条9号の「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」。事業活動に伴って生じたものを令が「がれき類」と定義している(令2条の4第5号イ(5))
板ガラス、衛生陶器 ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず 令2条7号。コンクリートくずは工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものを除き、令2条9号に回る
サッシ、鉄筋、金属製建具 金属くず 令2条6号
塩ビ管、断熱材、養生シート、梱包フィルム 廃プラスチック類 法2条4項1号
繊維系の養生材、布類 繊維くず 令2条3号。建設業のものは工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る

同じ木くずでも、建材に付いてきたパレットとこん包用の木材には業種の限定がかからない。建材商社の倉庫で発生したパレットも木くずとして産業廃棄物になる。

委託の相手と契約の形

委託先は、他人の産業廃棄物の運搬または処分を業として行うことができる者で、かつ委託しようとする産業廃棄物がその事業の範囲に含まれている者に限られる(令6条の2第1号、第2号)。許可証を受け取ったら、有効期限より先に事業の範囲の欄を見る。がれき類の許可しかない業者に木くずを渡した場合、相手が許可業者であっても令6条の2第1号の委託基準を満たさない。

契約は書面で行い、運搬の委託契約と処分の委託契約はそれぞれ別に結ぶ。添付する書面も契約の区分ごとに定まっていて、運搬の契約には運搬業の許可証の写し、処分の契約には処分業の許可証の写しなど、受託者がその事業を行えることを証する書面を付ける(規則8条の4)。契約書と添付書面は、契約の終了の日から5年間保存する(令6条の2第5号、規則8条の4の3)。契約を結んだ後も、処理の状況に関する確認を行い、発生から最終処分が終了するまでの処理が適正に行われるために必要な措置を講じる努力義務が残る(法12条7項)。

契約書に入る条項

条項は2階建てになっている。施行令が5項目を挙げ、その最後の「その他環境省令で定める事項」を施行規則が9項目に開いている。

区分 条項 根拠
委託する産業廃棄物の種類及び数量 令6条の2第4号イ
運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地 令6条の2第4号ロ
処分または再生を委託するときは、その場所の所在地、方法、施設の処理能力 令6条の2第4号ハ
輸入された廃棄物であるときはその旨 令6条の2第4号ニ
最終処分以外の処分を委託するときは、最終処分の場所の所在地、方法、施設の処理能力 令6条の2第4号ホ
規則 委託契約の有効期間 規則8条の4の2第1号
規則 委託者が受託者に支払う料金 規則8条の4の2第2号
規則 受託者が許可を受けた者である場合には、その事業の範囲 規則8条の4の2第3号
規則 運搬の委託で受託者が積替えまたは保管を行う場合、その場所の所在地、保管できる種類、積替えのための保管上限 規則8条の4の2第4号
規則 前号の場合で安定型産業廃棄物のとき、他の廃棄物と混合することの許否等 規則8条の4の2第5号
規則 適正処理のために必要な情報(性状と荷姿、性状の変化、混合による支障、含有マーク、石綿含有産業廃棄物などの有無、第一種指定化学物質、その他の注意事項) 規則8条の4の2第6号
規則 有効期間中に第6号の情報に変更があった場合の伝達方法 規則8条の4の2第7号
規則 受託業務終了時の受託者から委託者への報告に関する事項 規則8条の4の2第8号
規則 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱い 規則8条の4の2第9号

抜けやすいのは令6条の2第4号ホで、破砕や焼却といった中間処理を委託する契約でも、その先の最終処分場の所在地と方法と処理能力を契約書に書く。積替保管を挟む運搬も同じで、保管場所の所在地と保管上限まで書く(規則8条の4の2第4号)。

第6号の情報伝達を欠いたときの罰は、契約書の他の不備と同じ法26条の3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金になる。この条項が置かれた発端は、2012年5月に利根川水系の浄水場で起きた取水障害だった。産業廃棄物に含まれていたヘキサメチレンテトラミンが処理業者で十分に処理されず公共用水域に排出され、浄水場の塩素消毒でホルムアルデヒドが生成した。流域6浄水場が取水を停止または制限し、千葉県内で36万世帯が断水している。環境省はほかにも、シクロヘキサンを含む廃棄物と知らずに汚泥と混ぜて生石灰と反応させ爆発した事例、ベンゼンを含む汚泥と知らずに屋外のドラム缶で保管して太陽熱で発火した事例を挙げている。

2026年1月1日に加わった化学物質の記載

令和7年4月22日公布の改正省令で、規則8条の4の2第6号にヘが加わり、令和8年1月1日から施行されている。委託者が化管法2条5項の第一種指定化学物質等取扱事業者であり、かつ委託する産業廃棄物に化管法5条1項で排出量と移動量を把握しなければならない第一種指定化学物質が含まれ、または付着している場合に、その旨と物質の名称、量または割合を契約書に書く。

対象になるかは事業所ごとに判断する。化管法5条に基づく届出を行う必要がある事業所から出た廃棄物が対象で、同じ会社でも届出のない事業所から出た廃棄物には義務がかからない。化管法の対象業種は施行令3条の24区分で、金属鉱業、原油及び天然ガス鉱業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、下水道業、鉄道業、倉庫業、石油卸売業、鉄スクラップ卸売業、自動車卸売業、燃料小売業、洗濯業、写真業、自動車整備業、機械修理業、商品検査業、計量証明業、一般廃棄物処理業、産業廃棄物処分業、医療業、高等教育機関、自然科学研究所が並ぶ。倉庫業や鉄スクラップ卸売業のように、括弧書きで扱う物や設備が絞られている区分もある。建設業は入っていない。元請として現場の廃棄物を出す立場でこの条項がかかるのは、同じ会社が製造業などの事業所を持ち、そこから出す廃棄物を委託する場合になる。建材メーカーの工場は製造業として対象に入る。

既に結んである契約は、附則2条により契約の更新までは従前の例による。自動更新の規定がある契約は、施行日以降の最初の更新日から改正事項が適用され、環境省は更新時に覚書を締結するなどの方法で情報を伝えるとしている。経過措置の期間中に締結した覚書に法的拘束力がある場合は契約の更新に当たり、覚書の締結日から義務が生じる。契約の有効期間中に新たに伝えるべき第一種指定化学物質が生じたときは、規則8条の4の2第7号で契約に定めた伝達方法による。

記載義務が生じるのは、契約の有効期間内に、その期間の属する年度の第一種指定化学物質等取扱事業者に当たると判明した時点になる。環境省は判明の例として、化管法5条に基づく届出を行った時点と、一度に1トン以上の第一種指定化学物質を含む廃棄物を処理委託した時点を挙げている。

該当するかどうかにかかわらず、性状や荷姿など第6号のイからホまでとトの情報伝達は従前どおり必要になる。伝達の手段として環境省が様式とガイドラインを示しているのがWDS(廃棄物データシート)で、改正に合わせた第3版では、廃棄物の発生工程の記入欄を独立させ、組成・成分情報のなかに情報伝達が義務付けられた危険・有害物質の記入欄を新設している。

マニフェストの期限

管理票は産業廃棄物の引渡しと同時に、運搬を受託した者に交付する。処分だけを委託する場合は処分の受託者に交付する(法12条の3第1項)。交付は産業廃棄物の種類ごとに行い、運搬先が2以上あるときは運搬先ごとに交付する(規則8条の20第1号、第2号)。

場面 期限 根拠
運搬終了、処分終了の写しの送付を受けるまで 交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日) 規則8条の28第1号
最終処分終了が記載された写しの送付を受けるまで 交付の日から180日 規則8条の28第2号
期間内に写しが届かないときの措置内容等報告書 期間が経過した日から30日以内 規則8条の29
記載事項が欠けた写しが届いたときの報告書 写しの送付を受けた日から30日以内 規則8条の29
虚偽の記載のある写しが届いたときの報告書 虚偽の記載を知った日から30日以内 規則8条の29
受託者の事業廃止や許可取消の通知を受け、写しが未着のときの報告書 通知を受けた日から30日以内 規則8条の29
交付した管理票の写しの保存 交付の日から5年 規則8条の21の2
送付を受けた管理票の写しの保存 送付を受けた日から5年 規則8条の26
管理票交付等状況報告書(様式第3号) 毎年6月30日まで。その年の3月31日以前の1年間の交付状況を、事業場ごとに都道府県知事へ 規則8条の27

報告書を出せば義務が終わるわけではない。法12条の3第8項は、写しが届かないときに速やかに運搬または処分の状況を把握することを求め、規則8条の29は生活環境の保全上の支障の除去または発生の防止のために必要な措置を講じたうえで報告するという順序で書かれている。届かない90日目が来てから探し始めると、30日の報告期限の中で処理状況の把握と措置を済ませることになる。

電子マニフェストが義務になる線

電子情報処理組織の使用が義務になるのは、当該年度の前々年度において特別管理産業廃棄物(廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物を除く)の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者で、その事業場から出る産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合に限られる(法12条の5第1項、規則8条の31の2、規則8条の31の3、令2条の4第5号)。木くずやがれき類は特別管理産業廃棄物ではないので、この50トンには積み上がらない。

解体で出る特別管理産業廃棄物は廃石綿等になる。石綿建材除去事業に係るもののうち、飛散するおそれのあるものとして環境省令で定めるものが該当する(令2条の4第5号ト)。マニフェストの返送期限も特別管理産業廃棄物は60日で、90日ではない。

義務者でも登録が困難な場合は例外がある。電気通信回線の故障や天災、接続していない業者に委託せざるを得ない場合のほか、平成31年3月31日において常勤の役員と職員の年齢がいずれも65歳以上で、入出力装置が情報処理センターと接続されていない場合が挙がっている(規則8条の31の4)。

交付等状況報告書の義務主体は管理票を交付した者に限られる(法12条の3第2項、第7項)。電子で登録した分は管理票を交付していないので報告書には載らず、登録と報告に関する事項は情報処理センターから都道府県知事へ報告される(法12条の5第9項)。紙と電子が混在する事業場で報告書に書くのは、紙で交付した分だけになる。

現場の外に300㎡以上置くとき

建設工事に伴い生ずる産業廃棄物を、発生した事業場の外で自ら保管する場合、保管の用に供される場所の面積が300㎡以上なら、あらかじめ都道府県知事へ届け出る(法12条3項、規則8条の2、規則8条の2の2)。届出書には所在地、面積、保管する産業廃棄物の種類、保管上限、屋外で容器を用いずに保管する場合の高さを書き、使用権原を証する書類と平面図と付近の見取図を添える(規則8条の2の4)。産業廃棄物処理業や産業廃棄物処理施設の許可に係る施設での保管、PCB特措法の届出に係るPCB廃棄物の保管などは対象から外れる(規則8条の2の2各号)。

非常災害のために必要な応急措置として行う場合は事前の届出が要らないが、保管した日から起算して14日以内に事後の届出をする(規則8条の2の3、法12条4項)。保管をやめたときは、やめた日から30日以内に廃止の届出(規則8条の2の6)。届出をせず、または虚偽の届出をした場合は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(法29条1号)。

保管の基準そのものは面積を問わずかかる。下請負人も保管に関しては事業者とみなされ、産業廃棄物保管基準の適用を受ける(法21条の3第2項)。

6月30日に重なる2つの提出物

前年度の産業廃棄物の発生量が1000トン以上である事業場を設置している事業者は多量排出事業者になり、当該事業場に係る処理計画を様式第2号の8で当該年度の6月30日までに都道府県知事へ提出する(法12条9項、令6条の3、規則8条の4の5)。特別管理産業廃棄物は前年度50トン以上が線になる(令6条の7)。計画の実施状況の報告も要り、計画と実施状況は都道府県知事が公表する(法12条10項、11項)。

交付等状況報告書の期限も6月30日で、前年度の廃棄物量が確定する時期に2つが重なる。

委託の前に見る書類

確認先: 廃棄物処理法施行令施行規則環境省の改正省令解説