解体を伴う工事で建設リサイクル法の届出を出すのは、工事を請けた工務店ではなく発注者になる。工事着手の7日前までに都道府県知事へ出し、届出をせず、または虚偽の届出をすれば20万円以下の罰金(法51条1号)。罰は届出義務者にかかる。工務店が施主に代わって書類を作っても、名義と提出者は発注者のまま動かない。

特定建設資材:コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目(施行令1条)。モルタルとアスファルト・ルーフィングは入らない。繊維板を含む木質ボードは木材として扱い、パーティクルボードだけを使う工事も規模基準を超えれば対象になる。

対象になる工事の規模

特定建設資材を用いた建築物等の解体工事と、施工に特定建設資材を使う新築工事等のうち、下の規模以上のものが対象建設工事になる(法9条1項、施行令2条1項)。特定建設資材廃棄物がわずかしか出ない工事でも、規模が基準以上なら対象に入る。

工事の種類 規模の基準
建築物の解体工事 床面積の合計が80㎡以上
建築物の新築または増築の工事 床面積の合計が500㎡以上
建築物の修繕、模様替等の工事(新築・増築に当たらないもの) 請負代金の額が1億円以上
建築物以外の工作物の解体工事または新築工事等 請負代金の額が500万円以上

請負代金は税込で判断する。発注者が材料を支給し、施工者とは設置手間だけの契約にした場合は、支給材料の市場価格を請負代金に加算した額で見る(建設業法施行令1条の2第3項に準じる扱い)。

床面積は各階またはその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。屋根だけを解体するときは屋根の直下の階の床面積を取り、柱や壁のように床面積の概念がない部分だけを解体するなら床面積はゼロとしてよい。

同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、一の契約で請け負ったものとみなして基準を当てる(施行令2条2項)。ただし正当な理由に基づく分割は除かれる。国土交通省の質疑応答集は、建替えで仮移転先がなく住宅を半分壊して新しい家を建て、移ってから残りを壊す場合や、分譲住宅を1棟売れるごとに次の1棟を新築する場合を例に挙げている。

都道府県は、条例で施行令の基準に代わる規模基準を定められる(法9条4項)。上乗せの有無は着工地の届出窓口による。

解体工事と修繕・模様替等の分かれ目

解体工事:建築物のうち、構造耐力上主要な部分(基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材)の全部または一部を取り壊す工事。構造耐力上主要な部分を壊さない一部解体は、建築物の修繕・模様替等工事として扱う。内装を全て撤去しても構造体に触らないなら、80㎡ではなく請負代金1億円で判断することになる。

建築設備は建築基準法上は建築物に含まれるが、構造耐力上主要な部分には当たらない。そのため設備だけを単独で発注する工事は修繕・模様替等として1億円で判断する。発注の分け方で結論が変わるので、質疑応答集は工事の種類と発注形態の組み合わせで基準を示している。

工事の種類 発注形態 契約の内容 規模の基準
新築工事 一括発注 設備工事を含む建築物の新築工事 500㎡以上(設備工事を含む)
新築工事 分割発注 建築物本体の新築工事 500㎡以上
新築工事 分割発注 新築に伴う設備の新設 請負金額1億円以上
修繕・模様替等工事 一括発注 設備工事を含む修繕・模様替等工事 請負金額1億円以上
修繕・模様替等工事 分割発注・設備単独発注 設備の維持修繕、更新、新設、撤去 請負金額1億円以上
解体工事 一括発注 設備撤去を含む建築物の解体工事 床面積80㎡以上
解体工事 分割発注 建築物本体のみの解体 床面積80㎡以上
解体工事 分割発注 設備の撤去 請負金額1億円以上

建築物本体と設備を一つの工事として併せて発注したときは、本体が対象建設工事なら設備部分も対象に入る。

部位ごとの境目も切り分けが決まっている。建築物本体に付属するフェンスやブロック塀は建築物、付属していないものは建築物以外の工作物。水道管やガス管は敷地内が建築設備で、敷地外は工作物。建築物本体を解体して相当の期間が経った後に基礎と基礎ぐいだけを壊す工事は、建築物ではなく工作物として500万円で判断する。

元請工事が対象建設工事なら、その下請工事は規模を問わず全部が対象建設工事になる。特定建設資材を扱わない下請工事だけが外れる。

届出の名義と期限

項目 内容
誰が 発注者または自主施工者(法10条1項)
いつまで 工事に着手する日の7日前まで
どこへ 都道府県知事。建築主事を置く市町村と特別区では、その長が届出の受理を行う(施行令9条1項)
様式 別記様式第一号(省令2条2項)
添付 対象建設工事に係る建築物等の設計図または現状を示す明瞭な写真(省令2条3項)

届出書には、解体する建築物等の構造、使用する特定建設資材の種類、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画、建設資材の量の見込みに加えて、元請業者の商号と住所、建設業許可の許可番号と主任技術者または監理技術者の氏名、解体工事業の登録番号と技術管理者の氏名、元請業者から事前説明を受けた年月日を書く(法10条1項、省令2条1項)。元請の欄が埋まらないため、請負契約を結ぶ前に届出書を出すことはできない。

様式第一号の別表に書く数量は2種類で、範囲が違う。「建設資材の量の見込み」は特定建設資材に限らず全ての建設資材の見込み数量、「廃棄物発生見込量」は端材を含む特定建設資材廃棄物の発生見込み数量になる。

期限の起算点になる工事着手は、実際に現場で新築や解体の工事を始める日を指す。工事のための仮設が必要なら仮設工事を始める日で、現場の除草などの準備工事は含めなくてよい。契約書の工期と一致していなくても差し支えない。

添付する図面は、どのような建築物を解体しようとしているかが分かればよく、平面図や立面図、全景写真で足りる。

都道府県知事が分別解体等の計画の変更を命じられるのは、届出を受理した日から7日以内に限られる(法10条3項)。命令が無いという連絡は来ないため、受理から7日で計画が通ったと見る運用になる。命令を受けた場合は計画を直したうえで、着工の7日前までに変更届出を出す。

変更届出が要るのは工事着手前に限られ、着工後に廃棄物の発生量が変わっても変更届出は不要(法10条2項、省令6条)。ただし分別解体等の実施義務と施工方法の基準は工事中も外れないので、計画は随時直しながら施工する。工事の場所や種類そのものが変わったときは、変更届出ではなく改めて届出を出す。対象外だった工事が設計変更などで規模基準に届いたり、特定建設資材の使用が判明したりした場合は、その時点で速やかに届出を出す。工事を一時中止する必要はない。

届出は行政書士が業として代理でき、建築物については建築士も代理できる。委任状の要否は自治体ごとに違う。デベロッパーが施主から依頼を受けてゼネコンに発注する形でも、届出を出すのは施主。国の機関と地方公共団体は届出ではなく、あらかじめ都道府県知事へ通知する(法11条)。

建築基準法15条の除却届は別に残るので、建設リサイクル法の届出で代えることはできない。

元請から発注者への説明と下請への告知

対象建設工事を発注しようとする者から直接工事を請け負おうとする建設業者は、届出事項のうち解体する建築物等の構造、使用する特定建設資材の種類、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画、建設資材の量の見込みについて、書面を交付して説明する(法12条1項)。発注者の承諾があれば電磁的方法に代えられる。

下請に出すときは、届け出られた事項(変更届出があればその変更後のもの)を下請負人に告げる(法12条3項)。下請負人が労務だけを提供する場合の扱いを含め、告知の方法に定めはない。

契約書に書く4項目と費用の立て方

対象建設工事の請負契約では、建設業法19条1項の記載事項に加えて次の4項目を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付する(法13条1項、省令7条)。下請契約も同じ扱いで、これらを変更するときも書面が要る。様式の定めはない。

記載事項 書き方
分別解体等の方法 工程ごとに「手作業」か「手作業及び機械による作業」かを記載。新築工事や修繕・模様替等工事でも記載が必要
解体工事に要する費用 当該工事のうち解体工事に要する費用について、発注者と受注者が合意した金額。直接工事費だけか間接費を含めるかは当事者の合意による
再資源化等をするための施設の名称及び所在地 特定建設資材廃棄物について記載。品目ごとに搬入先が違うときは全ての施設
再資源化等に要する費用 運搬費と受入費を含む合意額。下請契約の内容に再資源化等が含まれないときは「該当なし」

新築工事で当初契約の時点では端材の発生量が読めず、再資源化等に要する費用を見込んでいない場合はゼロと書く。実際に端材が出て再資源化を行ったときは変更契約が要る。単価契約なら、施設は考えられる箇所を、費用は見込んでいる単価を書く。

発注者の費用負担(法6条)は、絶対的な水準を求めるものではない。見積りや協議を経て当事者双方の対等な立場での合意により請負代金額が決まり、その額が適正に支払われることを指す。

分別解体の工程と手作業の原則

分別解体等は、工事前の調査から始まる4段階で組み立てる(施行規則2条1項)。調査の対象は、対象建築物等とその周辺の状況、作業場所、現場からの搬出経路、残存物品の有無、吹付け石綿その他の付着物の有無。調査に基づいて分別解体等の計画を作り、作業場所と搬出経路の確保、残存物品の搬出の確認、付着物の除去といった着手前の措置を講じてから、計画どおりに施工する。

建築物の解体工事の工程は次の順序に従う。構造上または施工の技術上この順序によりがたい場合は例外が認められるが、その理由は分別解体等の計画に書く。

工程 内容 分別解体等の方法
1 建築設備、内装材その他の建築物の部分(屋根ふき材、外装材、構造耐力上主要な部分を除く)の取り外し 手作業。技術上難しい場合に限り手作業と機械作業の併用
2 屋根ふき材の取り外し 手作業。技術上難しい場合に限り手作業と機械作業の併用
3 外装材と、構造耐力上主要な部分のうち基礎と基礎ぐいを除いたものの取り壊し 手作業、または手作業と機械による作業
4 基礎と基礎ぐいの取り壊し 手作業、または手作業と機械による作業

工程1で内装材に木材が含まれるときは、木材と一体になった石膏ボードなど、木材の分別の支障になる建設資材を先に取り外してから木材を外す(施行規則2条4項)。工作物の解体は、附属物の取り外し、基礎以外の部分の取り壊し、基礎と基礎ぐいの取り壊しの順になる。

現場でミンチ解体して別の場所で分別する進め方は、分別解体等に当たらない。法2条3項が「種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為」と定義しているためで、現場で分別しながら解体する必要がある。

端材とがらの扱い

対象建設工事受注者には、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物の再資源化義務がかかる(法16条)。最終処分の方が経済的に有利な場合でも再資源化は外れない。破砕した後に単純焼却している施設へ持ち込むのは再資源化に当たらない。

例外があるのは木材だけで、木材が廃棄物となったものが指定建設資材廃棄物に指定されている(施行令5条)。再資源化に代えて縮減で足りるのは次の2つの場合。

50km以内に施設があっても、そこがパーティクルボードを受け入れていなければ、木材には再資源化義務が残りパーティクルボードは縮減で足りる。品目ごとに受入れの可否を調べる作業が要る。中間処理を挟むときの50kmは、資材や原材料として利用できる状態にする施設までの距離で数える。破砕の段階でその状態になるなら中間処理施設まで、積替え・保管を経由するだけなら再資源化を行う施設までになる。

伐採木、伐根材、梱包材は建設資材ではないので、分別解体等と再資源化等の義務の対象にはならない。廃棄物処理法に沿った適正処理は別に要る。CCA処理木材は他の部分と分離・分別し、分離が難しければCCAが注入されている可能性がある部分を含めて全てCCA処理木材として焼却または埋立を行う。

廃棄物処理法では、数次の請負で行われる建設工事の廃棄物は元請業者を排出事業者とする(法21条の3第1項)。下請負人が自ら運搬できるのは、次の要件を全て満たす場合に限られる(同条3項、施行規則18条の2)。

分割契約のみなし規定はここにもかかる。同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合、500万円は一の契約で請け負ったものとして見る。

完了報告と記録

元請業者は、特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときに、発注者へ書面で報告する(法18条1項)。記載事項は再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称及び所在地、再資源化等に要した費用の3つで、様式の定めはない(施行規則5条)。完了した年月日はマニフェストに記載された処分終了年月日でよい。施設と費用は特定建設資材廃棄物について書けばよく、品目ごとに搬入先が違えば全ての施設を書く。

併せて再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、保存する。作成せず、虚偽の記録を作り、または保存しなかった場合は10万円以下の過料(法53条1号)。報告を受けた発注者は、再資源化等が適正に行われなかったと認めるとき、都道府県知事に申告して適当な措置を求められる(法18条2項)。

情報通信の技術を使えるのは、契約書面(法13条3項)と完了報告(法18条3項)の2つ。相手方の承諾を得たうえで、改変の有無を確認できる措置などの技術的基準を満たす必要がある。行政への届出の電子化は窓口ごとの運用による。

解体工事業の登録

解体工事を請け負うには、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のいずれかの建設業許可か、都道府県知事の解体工事業の登録が要る(法21条1項)。登録は5年ごとの更新制で、元請と下請の別を問わず、また解体部分を実際に自社で施工するかどうかも問わない。主たる他の工事に伴う附帯工事として解体するときは登録が要らない。

登録業者には技術管理者の選任(法31条)、標識の掲示(法33条)、帳簿の備付け(法34条)がかかる。標識は金額と規模によらず、解体工事を行う際に掲示する。

罰則は登録違反が最も重い。

違反 罰則 根拠
登録を受けずに解体工事業を営んだ、不正の手段で登録を受けた、事業停止命令に違反して営んだ 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 法48条
分別解体等または再資源化等の方法の変更命令に違反した 50万円以下の罰金 法49条
分別解体等の計画の変更命令に違反した 30万円以下の罰金 法50条1号
対象建設工事の届出または変更届出をせず、もしくは虚偽の届出をした 20万円以下の罰金 法51条1号
技術管理者を選任しなかった 20万円以下の罰金 法51条3号
再資源化等の記録を作成せず、虚偽の記録を作成し、または保存しなかった 10万円以下の過料 法53条1号
標識を掲げない 10万円以下の過料 法53条3号
帳簿を備えず、記載せず、虚偽の記載をし、または保存しなかった 10万円以下の過料 法53条4号

法人の従業者が業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか法人にも各本条の罰金刑が科される(法52条)。

確認先: 建設リサイクル法 届出先・問い合わせ先(47都道府県の届出窓口一覧)