図面から拾った床の合板が120.00㎡だったとき、発注するのは73枚ではなく77枚になる。公共建築数量積算基準(令和5年改定)が構造用面材の枚数を、設計数量に5%を割増してから定尺の面積で除し、切り上げると定めているからだ。この4枚の差は、面積のまま商社に投げると誰も足してくれない。

図面の面積から差し引かないもの

拾い出しの面積が図面の見た目より大きく出るのは、小さい欠除を差し引かない決まりがあるためだ。基準は部位ごとに線引きを持っている。

対象 差し引かない欠除
主仕上(壁、床、天井の仕上材) 開口部の内法面積が1か所0.5㎡以下
主仕上(取合部分) 壁の梁小口や天井床の柱小口で1か所0.5㎡以下
主仕上(器具類) 衛生器具、電気器具、換気孔、配管、配線で1か所0.5㎡以下
主仕上(附合物) 面積0.5㎡以下、または高さか幅が0.05m以下の幅木や回縁、ボーダー
構造用面材 開口部の内法面積が1か所0.5㎡以下
木製間仕切下地 開口部、配管、配線、器具で1か所0.5㎡以下
鉄筋 開口部の内法面積が1か所0.5㎡以下
型枠 開口部0.5㎡以下、接続部1.0㎡以下
コンクリート 開口部の内法見付面積が1か所0.5㎡以下
鉄骨 ボルト孔や開先、スカラップ、1か所0.1㎡以下のダクト孔

仕上の凹凸も0.05m以下なら無いものとして見付面積で計算する。壁高さは天井高さで取るが、仕上代が0.05mを超えるときは仕上の表面の寸法になる。

面積を枚数に直す式が明文化されている材料

基準が「面積をこう割って、こう丸める」と書いているのは構造用面材だけだ。定尺の寸法は設計図書によるが、記載が無ければ0.91m×1.82mが標準になる。1枚の面積は1.6562㎡。

枚数 = 設計数量 × 1.05 ÷ 1.6562 の小数点以下第1位を切り上げた整数

床の設計数量が120.00㎡なら、126.00㎡を1.6562で除して76.07となり、77枚。割増を飛ばすと72.45から73枚が出る。切り無駄と定尺の端数を単価ではなく数量側で見る材料だから、割増を入れる順番が結果を変える。

同じ考え方を石膏ボードや化粧材に当てはめるかどうかは、基準の定めが無く各社の判断になる。定尺の面積だけは共通で使える。

寸法 1枚の面積
3×6版 910×1820mm 1.6562㎡
3×8版 910×2420mm 2.2022㎡
4×8版 1220×2440mm 2.9768㎡

割増率は材料ごとに違う

所要数量を求めるときの割増は、基準が材料別に数字を置いている。設計数量に対する率で、拾い出しの後に掛ける。

材料 割増
鉄筋(一般) 4%
杭に用いる鉄筋 3%
山留め壁(地中連続壁)の鉄筋 3%
形鋼、鋼管、平鋼 5%
広幅平鋼、鋼板(切板) 3%
ボルト類 4%
構造用面材 5%

所要数量で出した数量は、そうであることを内訳書に明示する決まりになっている。設計数量と混ぜて並べると、単価にロスを見込んでいる材料と二重に見ることになる。

製材は面積ではなく長さで丸める

木材は枚数ではなく長さの側で端数が出る。製材の長さは、部材長さに0.05mを加えた長さをm単位に切り上げる。3m以上を1mごとに区分するのが標準になる。

特に定めがないとき、部材長さが3.95m未満なら複数の部材の木取りによる長さで求める。長い材から順に同位か下位の材と組み合わせ、合計が3.95m以下で最大になる部材長さに0.05mを加えてm単位へ切り上げる。合計が2.95m以下に収まるなら3m。部材長さが3.95m以上なら、切り上げに要する長さ以下の部材があるときにそれらを組み合わせる。この組合せに当てはまらない材は、部材長さ2.95m以下で3m、2.95mを超え3.95m以下で4mが標準。集成材も製材に準じる。

体積を出すときの断面の辺は小数点以下第3位まで、計算過程の体積は第4位まで取る。総則の第2位より1桁から2桁細かい。断面の小さい材を大量に拾うと、丸め位置の違いが体積に効いてくる。

梱包で買う材料は働き寸法で割る

外装材や床材は、製品の外形寸法ではなく働き寸法で面積が決まり、その上に梱包入数の丸めが乗る。ケイミューのSOLIDO typeF coffeeは、公式の施工法で1枚当たりの面積と重量、梱包入数まで公表している。

品番 働き寸法 1枚の面積 1枚の重量 梱包入数
EA6511K(10尺品) 455×3030mm 1.38㎡ 約28kg 2枚/梱
EA6511K6(6尺品) 455×1820mm 0.83㎡ 約17kg 2枚/梱
EA6511K3(3尺品) 455×910mm 0.41㎡ 約8.5kg 2枚/梱

外壁の主仕上が180.00㎡で10尺品を使うなら、1.38で除して130.43から131枚。2枚単位でしか出ないので66梱132枚となり、面積では182.16㎡分になる。重量は132枚で3,696kg。荷受けの揚重と仮置き場は、この丸めた後の数字で段取りが決まる。

床材も同じ形で丸まる。大建工業のイエリアフロア スタンダードは12mm厚303×1818mmで、6枚入3.3㎡が1梱。公式の価格は1梱33,600円、㎡単価は10,190円と両方が出ている。

100.00㎡の床を張るとき、㎡単価で組んだ見積は1,019,000円になる。実際に届くのは31梱102.3㎡分で1,041,600円。差の22,600円は、面積で見積もって梱包で仕入れる限り必ず出る。原価を材料費で追う実行予算では、この差が梱包単位の材料すべてに乗る。

坪は取引の書面に書けない

面積の法定計量単位は、計量法別表第一で平方メートル(㎡)と定まっている。第8条第1項は、法定計量単位以外の計量単位を取引または証明に用いてはならないと定める。第2条第2項の「取引」は、有償か無償かを問わず物または役務の給付を目的とする業務上の行為で、建材の売買と工事の請負はここに入る。違反は第173条第1項第1号で50万円以下の罰金にあたる。

坪を社内の目安に使うぶんには残るが、そのときも換算は概数になる。国土交通省の新営一般庁舎面積算定基準は、宿直室を1人まで10㎡(3坪)とし1人増すごとに3.3㎡(1坪)を加算する、庁務員室は1人増すごとに1.65㎡(0.5坪)と書いている。官庁の面積基準でも1坪は3.3㎡の丸めで扱われている。

床材の1梱が3.3㎡なのも同じ丸めの上にある。303mm×1818mmの6枚を計算すると3.305124㎡で、表示の3.3㎡は切り捨てた値。梱数を3.3㎡で割り出すかぎり不足側には振れないが、坪と㎡と梱の三つが同じ表の中に混ざると、どの丸めを経た数字なのかが追えなくなる。

数量の書式をそろえる

内訳書に載せる数量は、小数点以下第2位を四捨五入して第1位までとし、100以上なら整数にする。計測と計算の過程は第2位まででよく、電子データの数値はそのまま使ってよい。長さはm、面積は㎡、体積はm³、質量はt。

社内で数量を回すときに決まっていないと現場で止まるのは、次の対応だ。

決める項目 決まっていないと起きること
設計数量と所要数量のどちらで書くか 単価にロスを含む材料で二重に見込む
割増を掛ける順番と丸めの位置 同じ図面から違う枚数が出る
定尺の寸法(設計図書に記載が無い場合) 0.91m×1.82m以外の版で拾った数量と合わない
数量の単位(枚、梱、㎡) 発注ソフトで枚数と梱数が混ざる
端数の余りを誰の在庫にするか 梱包単位の差額が原価に付け替えられないまま残る

商社に渡すのは面積ではなく、単位のそろった数量になる。梱で出る材料を㎡で発注すると、丸めの判断が相手側に移る。