新築の拾い出しは図面に書かれた寸法を写す作業だが、改修は撤去する既存仕上の数量が決まらないと先へ進まない。撤去数量は発生材の処分にそのまま流れ、仮設の数量も改修する範囲から出る。国土交通省の公共建築数量積算基準(令和5年改定)は、この順序を第7編に独立させて定めている。
数量は設計数量、計画数量、所要数量に分かれる
数量を求める対象は、公共建築工事内訳書標準書式で数量の表示されている細目、またはこれに準ずる細目が標準になる。その数量を、基準は3つに区分し、原則を設計数量とする。
設計数量:設計図書に記載されている個数及び設計寸法から求めた長さ、面積、体積等の数量。材料のロス等は単価の中で考慮する。
計画数量:設計図書に基づいた施工計画により求めた数量。仮設や土工がこれにあたる。
所要数量:定尺寸法による切り無駄や、施工上やむを得ない損耗を含んだ数量。所要数量であることを明示する。
設計寸法として認められるのは、設計図書に記載された寸法、記載された寸法から計算によって得られる寸法、計測器具により読み取ることのできる寸法の3つ。計測における寸法の単位は原則としてm。長さ、面積、体積、質量の単位は原則としてm、㎡、m³、tになる。
端数処理は四捨五入で、長さ、面積、体積、質量は小数点以下第2位とする。計測と計算の過程でも第2位まででよく、電子データの数値は過程でそのまま使ってよい。工事費内訳書に載せる数量は小数点以下第2位を四捨五入して第1位までとし、100以上は整数にする。
撤去数量は既存主仕上の設計寸法で取る
第7編が適用されるのは、躯体の保護と建物機能や意匠の回復のための模様替えと修繕。定めのない部分は新築と同じ第2編から第5編による。
仕上改修は、既存仕上の撤去、新設仕上のための下地処理、新設仕上、補修の4つに区分する。既存仕上撤去の数量は既存主仕上の設計寸法によるのが原則で、設計図書に改修に必要な余幅の明示がないときは適切な余幅を加えて計測・計算できる。設計図書に数量が明示してあれば、その数量が優先する。
| 改修部位 | 撤去の数量 | 下地処理と補修の数量 |
|---|---|---|
| 防水改修 | 防水層と防水保護層(押えコンクリート等)に区分し、設計寸法による面積、またはその面積と厚さによる体積 | 工法と部位ごとに面積、長さ、箇所数。コンクリート面のひび割れ補修は工法ごとに長さ |
| 外壁改修 | 既存仕上は設計寸法による面積。部分改修のカッター入れは設計寸法による長さ | 既存仕上と躯体のひび割れ、欠損、浮きを工法ごとに区分し、面積、長さ、箇所数 |
| 建具改修 | 種別ごとに建具の内法寸法による箇所数、面積、長さ。撤去工法の枠廻りのはつりは内法寸法による長さ | 建具周囲補修は建具の内法寸法による長さ |
| 内装改修 | 仕上材と下地材を部位と種別ごとに区分し、設計寸法による面積、長さ、箇所数。コンクリートやタイル等のカッター入れは長さ | 下地処理は工法ごとに面積、長さ、箇所数 |
| 塗装改修 | 撤去の定めはない | 新設と塗替えを塗装の仕様ごとに区分し、面積、長さ、箇所数 |
かぶせ工法で既存建具枠の補強や防錆処理をする分は、原則として計測の対象にならない。外壁改修には施工数量調査の項目があり、工法と部位ごとに面積、長さ、箇所数で数量を取る。
発生材は関係法令に基づき分別し、各章で定めた撤去数量とする。処理側の数量は設計寸法による面積とその厚みによる体積、または質量。撤去数量を落とすと、その分の処分費まで一緒に落ちる。
仮設の数量は改修範囲から出る
改修の直接仮設は、仮設材そのものを測るのではなく、改修する範囲の寸法から機械的に決まる。設計図書に数量が明示してある場合はその数量による。
| 項目 | 数量 |
|---|---|
| 墨出し(防水改修) | 水勾配の調整を必要とする場合に計上し、水勾配を調整する面積 |
| 墨出し(外壁改修) | 外壁モルタル塗りや外壁タイル張り等を撤去して新設する場合に計上し、外壁改修面積 |
| 墨出し(建具改修) | 既存の壁に開口を設けて新規に建具を取り付ける場合のみ計上し、建具の内法寸法による面積 |
| 墨出し(内装及び塗装改修) | 床、壁、天井の仕上を下地から撤去して新設する場合に計上し、床または天井の改修面積。壁のみの新設と改修は、新設壁の前面から1.0mの範囲の床面積 |
| 養生と整理清掃後片付け(防水改修) | 改修防水層の平場面積 |
| 養生と整理清掃後片付け(外壁改修) | 改修する外壁面の水平長さに2.0mを乗じた面積 |
| 養生と整理清掃後片付け(建具改修) | 建具のみの改修は整理清掃後片付けだけを計上。外部建具は建具幅に1.0m、内部建具は建具幅に2.0mを乗じた面積 |
| 養生と整理清掃後片付け(内装及び塗装改修) | 改修する部分の床または天井の面積。壁のみは新設壁の前面から1.0mの範囲の床面積 |
| 資材搬入通路 | 廊下、階段室、ホール等を対象に幅2.0mとした床面積。通路幅が2.0m未満のときはその幅。エレベーターは台数 |
| 内部足場 | 内部仕上足場は天井の改修面積。壁のみの新設と改修は、改修する壁の水平長さに1.0mを乗じた面積。高さに応じた足場に区分する |
| 外部足場 | 仮設ゴンドラと高所作業車は台数または箇所数 |
| 仮設間仕切り | 種別ごとに区分し、面積、長さ、箇所数 |
仮設間仕切りは、建物内部の改修で、そこにいる人への災害防止と騒音やほこりの防護のために改修部分と非改修部分を区画する仮の間仕切りを指す。住みながらの改修、使いながらの改修で計上する対象になる。
躯体側では、あと施工アンカーとスタッドボルトが種別ごとの本数、割裂補強筋が設計寸法による長さまたは質量、グラウト材が断面積と長さによる体積または長さ。開口部を新設したり塞いだりする場合の躯体数量は、開口部の内法寸法で計測する。型枠は長さまたは箇所数で取ってよい。
既存品番はラベルの位置で決まる
交換や部品調達の可否は品番で決まる。メーカー各社が品番ラベルの位置を公開している。
| メーカーと商品 | ラベルの位置 | 表示 |
|---|---|---|
| TOTO 腰掛便器 | 便器側面の下側 | 品番はCから始まる |
| TOTO 陶器製タンク | タンク正面 | 品番はSから始まる |
| TOTO 樹脂製タンク、ウォシュレット | 便ふた裏 | 品番はTCFまたはCESから始まる |
| TOTO 水栓金具 | キッチン用、浴室用、洗面所用と手洗い用で異なる | 年代や種類によりTOTOマークと品番ラベルが貼られていない商品がある |
| LIXIL シャワートイレ一体型便器、便座 | フタ裏面または本体側面(本体後面) | 品番と商品コード、製造番号とロットNo、2次元コード |
| LIXIL 収納一体型便器 | キャビネットタンクの扉内部、または左下側面 | 同上 |
| LIXIL システムキッチン | キャビネットや棚に貼られた検査証 | 製品名、邸No、製造No、製造年月 |
| LIXIL サッシ、ドア、インテリア建材、エクステリア | 商品ラベル | 赤枠内が品番、青枠内が商品名。2次元コードから手入れや調整の情報 |
| パナソニック 住宅設備と建材 | 品番表示ナビで商品ごとに検索。室内設備、室内建材、屋外設備、屋外建材が対象 | 商品ごとの品番の表示位置 |
TOTOの「#」から始まる表示は色番であって品番ではない。LIXILのトイレは、製造番号の先頭文字がアルファベットで8文字のときに先頭へ0を足す。キッチンの製品登録では製造番号のハイフンを外して入力する。ラベルの2次元コードで検索できないとき、LIXILの品番検索はハイフンを省略せずに入力する。
分別解体の届出が要る規模
建設リサイクル法の対象になるのは、特定建設資材(コンクリート、コンクリートと鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート)が使われている構造物で、かつ規模が基準以上の工事。
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計80㎡以上 |
| 建築物の新築又は増築の工事 | 床面積の合計500㎡以上 |
| 建築物の修繕・模様替等の工事 | 請負代金の額1億円以上 |
| 建築物以外の工作物の工事 | 請負代金の額500万円以上 |
手続きは4段階。受注者が発注者に分別解体等の計画等を書面で説明し、契約書面に分別解体等を明記する。届出は発注者から都道府県知事へ、工事着手の7日前までに行う。再資源化等が完了したら受注者が発注者へ書面で報告し、実施状況の記録を作成して保存する。
修繕と模様替の線は請負代金1億円で、住宅1棟のリフォームが届出の対象に入る場面は限られる。一方で解体を伴う工事は床面積80㎡で切れる。
石綿の事前調査は着工日で分かれる
建築物の解体または改修(封じ込めと囲い込みを含む)の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない(石綿障害予防規則3条1項)。調査は解体等の対象となる部分の全ての材料について、設計図書等の文書を確認する方法と目視により確認する方法の両方で行う。文書が存在しないとき、構造上目視で確認することが困難な材料はこの限りでない。目視できなかった材料は、確認できるようになった時点で調査する。
新築工事の着工日が2006年9月1日以降の建築物なら、着工日を設計図書等の文書で確認する方法でよい(3条3項3号)。この場合、記録に残す事項も事業者の名称と住所と電話番号、作業場所の住所と工事の名称と概要、調査終了日、着工日の4項目に絞られる。
| 場面 | 調査の方法 |
|---|---|
| 2006年9月1日以降に新築工事が着工した建築物 | 着工日を設計図書等の文書で確認 |
| それ以外の建築物 | 全ての材料について設計図書等の文書の確認と目視 |
| 文書と目視で石綿の有無が明らかにならなかった材料 | 分析調査。石綿等が使用されているものとみなして措置を講じるなら分析を省ける |
| 構造上目視できない材料 | 目視により確認できるようになった時点で調査 |
| 同等の調査が既に行われている建築物 | その調査結果の記録を確認 |
調査を行うのは、厚生労働大臣が定める者(3条4項)。令和5年10月1日以降に着工する工事から、建築物石綿含有建材調査者、または令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者が行う。資格は一般建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者の3種で、一戸建て等は一戸建て住宅と共同住宅の内部に限られる。
記録は調査終了日から3年間保存する(3条7項)。作業場には調査終了日と、調査を行った部分および材料ごとの石綿の有無の概要を見やすい箇所に掲示し、記録の写しを備え付ける(3条8項)。
報告の線は工事の規模で引かれる。建築物の改修工事は請負代金100万円以上、解体工事は床面積の合計80㎡以上で、あらかじめ電子情報処理組織を使って所轄労働基準監督署長に報告する(4条の2第1項)。石綿の有無を問わず報告の対象になる。同一の事業者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、一の契約で請け負ったものとみなす(同条4項)。工事の一部を請負人に請け負わせている事業者があるときは、作業の全部について、最も先次の請負契約における注文者が報告する(同条5項)。
石綿が見つかったときは、拾い出しの中身が変わる。吹き付けられた石綿等の除去、封じ込め、囲い込みの作業と、粉じんを著しく発散するおそれがある石綿含有保温材等の除去等は、あらかじめ様式第一号の二の届書に建築物の概要を示す図面を添えて所轄労働基準監督署長へ提出する(5条1項)。除去の作業では、作業場所の隔離、ろ過集じん方式の集じん装置と排気装置、出入口への前室と洗身室と更衣室の設置、作業場所と前室の負圧保持が要る(6条2項)。成形された石綿含有建材は、技術上困難なときを除き、切断等以外の方法で除去する(6条の2第1項)。
発注する側にも条文がある。解体等の作業を行う仕事の発注者は、請負人に対して石綿等の使用状況等を通知するよう努め、事前調査等と記録の作成が適切に行われるよう配慮する(8条)。注文者は、事前調査等、その結果を踏まえた作業の方法、費用、工期について、法令の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮する(9条)。調査の期間と費用を見積から削ると、この条文に当たる。



