2026年は建材の値上げ告知が続いている。LIXILは8月3日受注分から水まわりを平均8〜13%、10月1日受注分からサッシ・インテリア建材を平均13%程度改定する。ケイミューは8月1日納入分から屋根下葺材を約40%、防水部材を約30%引き上げる。タカラスタンダードは9月1日注文分から商品価格とは別の資材価格調整費(キッチン・バスで最大3万円)を導入し、YKK APは10月1日受注分から住宅用商品を約10〜15%値上げする。告知から実施日までは1〜3ヶ月ある。この期間に何をどの順でやるかを型にしておくと、改定のたびに慌てずに済む。
告知から実施日までの工程表
発注担当者が動く順に並べた。保存して各社の告知が出るたびに使い回せる。
| 時期 | 工程 | やること |
|---|---|---|
| 告知直後 | 一次情報の確認 | メーカー公式リリース(PDF)で品目別の改定率と適用基準日を確認する。業界紙の見出しの「約10〜20%」は複数品目の幅で、自社が使う品目の率は別にある |
| 告知直後 | 適用基準日の読み取り | 「受注分」「納入分」「注文分」のどれか、品目で実施日が分かれていないかを読み取る(次節) |
| 〜1週間 | 対象物件の洗い出し | 進行中・受注済み・見積提出済みの物件から、改定対象の品目を使うものを一覧にする |
| 〜2週間 | 駆け込み発注の判断 | 仕様が確定している物件について、実施日前の発注で旧価格を確保できるかを商社・メーカーに確認して判断する(判断材料は後述) |
| 〜1ヶ月 | 見積の差し替え | 実施日以降に発注が回る物件の見積を、新価格ベースに引き直す |
| 実施日まで | 施主への説明 | 契約前の施主に価格が変わる時期と理由を伝え、見積の有効期限を明示する |
適用基準日の読み方
同じ「10月から値上げ」でも、どの時点の価格が適用されるかはメーカーで違う。実例で3種類ある。
受注分:メーカーが注文を受けた日で判定する。YKK APの住宅用商品(2026年10月1日受注分から約10〜15%)とLIXILの各分野がこの方式。実施日前に発注を済ませれば、納品が実施日を過ぎても旧価格になる。
納入分:現場や倉庫に納品された日で判定する。ケイミューの屋根・外壁施工部材(2026年8月1日納入分から)がこの方式。発注日が早くても、納品が実施日以降なら新価格が適用される。駆け込み発注の効き方が受注分と逆になるので、納期を含めて実施日前に納品を終えられるかで判断が変わる。
注文分:タカラスタンダードの資材価格調整費は2026年9月1日注文分からで、実質は受注分と同じ判定。ただし商品価格の改定ではなく、価格とは別に申し受ける調整費という建て付けをとる。2027年4月1日注文分からは商品価格そのものの改定(キッチン5〜12%程度)も予定されている。
同じメーカーでも品目で実施日が分かれる。YKK APは住宅用が10月1日と11月1日の2段階、エクステリアと金属外装材は12月1日受注分から。LIXILは水まわりが8月3日、外壁・屋根が9月1日、サッシ・建材が10月1日。自社が使う品目の行だけを公式リリースの表から抜き出して控える。
駆け込み発注を判断する材料
実施日前の発注で旧価格を確保するかどうかは、次の点を突き合わせて物件ごとに決める。
| 確認事項 | 確認先 | 判断への効き方 |
|---|---|---|
| 適用基準日の方式 | 公式リリース | 受注分なら発注日、納入分なら納品日が基準。納入分方式では納期込みで間に合うかを見る |
| 仕様の確定度 | 自社・施主 | 品番が確定していない発注は変更リスクを抱える。確定前の駆け込みは返品・差額の扱いを商社と決めてからにする |
| メーカーの受注締切 | 商社・メーカー | 実施日直前は駆け込みが集中し、旧価格の受注枠や納期に制約が出ることがある。締切日を早めに確認する |
| 納品後の保管場所 | 自社 | 工程より早く納品させる場合、置き場と養生、盗難・毀損時の責任範囲が必要になる |
| 支払時期 | 自社・商社 | 発注を前倒しすると支払も前倒しになる。物件の入金時期とのずれを資金繰りに織り込む |
見積の差し替え
実施日以降に発注が回る物件は、旧価格のままの見積が原価割れの原因になる。発注担当者は、洗い出した対象物件の見積を品目ごとの改定率で引き直す。このとき業界紙の「約10〜20%」ではなく、公式リリースの品目別の率を使う。ケイミューのように屋根下葺材約40%と透湿防水シート約15%が同じリリースに並ぶケースでは、一括の率で丸めると品目によって大きくずれる。
提出済みで未契約の見積には有効期限を付け直す。期限は改定の実施日より前に切れる日付にし、期限後の再提出時に新価格へ差し替える。
施主への説明
契約前の施主には、価格が変わる時期を告知の段階で伝える。説明に使えるのは公式リリースにある事実で、改定の理由(原材料や物流費、人件費の上昇など、各社がリリースに明記している)、品目別の率、実施日の3点があれば足りる。「メーカーがこの日から上げると公表している」という一次情報を示せると、値上げが自社の都合でないことが伝わる。
タカラスタンダードの資材価格調整費のように、商品価格とは別建ての費用が加わる方式では、見積書のどの行に載るかを施主に示す。調整費は価格改定までの暫定対応と位置づけられており、2027年4月の商品価格改定後の扱いはメーカーの案内で変わる。
発注担当者のチェックリスト
告知が出た日に、このリストを物件一覧と一緒に回す。
| # | 確認項目 |
|---|---|
| 1 | 公式リリースのPDFを入手した(業界紙の記事だけで済ませていない) |
| 2 | 自社が使う品目の改定率と実施日を品目別に控えた |
| 3 | 適用基準日が受注分・納入分・注文分のどれか確認した |
| 4 | 進行中・受注済み・見積提出済みの対象物件を一覧にした |
| 5 | 駆け込み発注する物件と見送る物件を分け、商社に受注締切を確認した |
| 6 | 実施日以降に発注が回る物件の見積を新価格で引き直した |
| 7 | 未契約の見積に有効期限を付け直した |
| 8 | 契約前の施主に改定の時期・理由・率を伝えた |
当サイトの値上げ・価格改定データベースには、各記事で確認した品目別の率・実施日を集約している。



