中山製鋼所が8月7日の取締役会で、阪和興業とヨドコウとの資本業務提携契約の締結と、両社を割当先とする第三者割当を決議した。調達する86億9,396万4,000円は全額、新設する電気炉の建設費に充てる。同社は建材事業で一般構造用の軽量形鋼と角形鋼管、炭素鋼鋼管を扱っている。

出資の中身

割当先 株式 株数 出資額 割当後の議決権比率
阪和興業 新株発行 5,697,000株 約38億円 20.48%
ヨドコウ 自己株式の処分 7,357,000株 約49億円 10.95%

発行価額と処分価額はどちらも1株666円で、決議日の直前営業日の終値と同額。1か月間の終値平均639円に対して4.23%、3か月間の631円に対して5.55%、6か月間の626円に対して6.39%のプレミアムになる。払込期日は2026年10月2日から11月30日までで、10月上旬を予定する。議決権ベースの希薄化率は25%未満。

阪和興業はもともと議決権14.89%を持つ主要株主で、既存保有分の8,058,590株を合わせて20.48%になる。これにより中山製鋼所は阪和興業の持分法適用関連会社となり、阪和興業は東証規則上の支配株主等に当たる見込み。親会社や支配株主には該当しない。ヨドコウは今回で新たに主要株主に入る。

新電炉の資金計画

新電気炉は設備保有会社であるNN製鋼合同会社が投資する。中山製鋼所は2025年11月26日に日本製鉄と合弁契約を結び、2026年4月1日に同社を設立した。完成予定は2030年で、稼働後は生産能力が現在の2倍以上、原材料の調達量も倍増する。これまで約半数を外部調達に頼っていた鋼片の大部分を自社の電気炉材に切り替えられるようになる。

投資額は950億円程度で、建設費の上昇によって最大1,055億円まで振れる。2026年度から2029年度の調達内訳は、営業キャッシュフロー430億円程度、2026年3月末の現預金232億円、日本製鉄によるNN製鋼への出資分246億円(最大273億円)、資産売却の税引後手取43億円、今回の第三者割当87億円、銀行借入約447億円(最大約498億円)。

その銀行借入の枠として、三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケート団と極度額498億円のコミットメントライン契約を8月31日付で結ぶ。期間は2031年4月30日までで、資金使途はNN製鋼への転貸。担保は新電気炉設備と新建屋(土地の借地権を含む)、NN製鋼に対する貸付債権。財務制限条項として、連結純資産を直前期か2026年3月期のいずれか大きい方の75%以上に維持し、連結経常損益を2期連続の赤字としないことが入る。投資に係る負債の返済開始は2031年度以降。

協業の内容

阪和興業とは、既存電気炉での鉄鋼原料と鉄鋼製品分野の連携を強め、新電気炉プロジェクトでも原料調達から販売までを協業する。機械設備や環境リサイクル関連の事業も対象に入る。中山製鋼所は生産能力の倍増に見合う鉄スクラップの確保を、大型電気炉の新設が相次ぐ西日本で最重点課題に挙げており、阪和興業の調達ルートと顧客基盤を電気炉材の販売先拡大にも使う。両社の間には従来から、鋼材と建材製品全般の販売と、鋼片やスクラップの仕入という取引がある。

ヨドコウとは2025年12月に業務提携の基本合意書を結んでおり、今回それを正式な契約にした。川上と川下の垂直分業で付加価値の高い電気炉製品を共同開発し、既存の電気炉材の適用範囲を広げる。新電気炉の完成後はホットコイルの取引量を増やし、安定供給につなげる。ヨドコウは冷延鋼板やめっき鋼板、着色めっき鋼板に加えて住宅用設備機器と建設建築用の資材を手がけており、中山製鋼所から鋼材を仕入れて資材を売る関係にある。新電気炉の完成を待たず、同社が拡販する環境配慮型商品への素材供給を先に強める。

足元の建材需要

同日公表の第1四半期は売上高383億円、経常利益6億円で、経常利益は前年同期から12億円減った。販売数量は鉄鋼各社の値上げ表明を受けた先高観で全体では増えたものの、建材は中小建築向けの低迷が続いて微減。販売価格は値上げを始めたばかりで水準に届かず、輸出高と円安で上がったスクラップ価格との差が利益を圧迫した。

確認先: 資本業務提携のお知らせコミットメントライン契約のお知らせ