国土交通省は2026年10月21日、住宅の外皮計算で使う基礎の線熱貫流率について、10月31日に廃止する予定だった旧評価方法を、経過措置として当面の間は引き続き使えるとする事務連絡を出した。基礎断熱の住宅で外皮平均熱貫流率(UA値)を計算している工務店と、計算を請け負う建材商社や断熱材メーカーの担当者が、11月以降の申請でどちらの方法を使うかに関わる。

線熱貫流率:建物の外周の線状の部分(ここでは土間床の外周と基礎)から逃げる熱の量を、長さ1mあたりで表した値。外皮計算では外周長さに掛けて熱損失量を出す。

日程の変化

旧評価方法の廃止は、2024年7月29日の事務連絡で決まっていた。今回の事務連絡は、新評価方法の習熟状況を考えて、廃止日のあとも当面の間使えるとした。終わりの日付は示していない。

時期 新評価方法 旧評価方法
2024年7月〜 公開。基礎形状によらない代表値と、基礎断熱の形状別の早見表(ベタ基礎2仕様、布基礎2仕様) 当面の間使用可。2026年10月31日に廃止の予定
2024年12月〜 早見表をベタ基礎9仕様、布基礎9仕様に拡充 同上
2026年11月〜 原則として使用 廃止とするが、経過措置として当面の間使用可能(2026年10月21日 事務連絡)

同じ2024年の事務連絡で決まった鉄筋コンクリート造の構造熱橋部の旧評価方法は、2024年12月31日に廃止済みで、今回の事務連絡の対象ではない。

2つの評価方法の違い

旧評価方法は基礎の立上り(基礎壁)と土間床の外周を一体で評価し、新評価方法は別々に評価する。基礎断熱材の厚みや位置の決め方が変わるため、同じ仕様でも計算の手順と使う値が違う。

項目 旧評価方法 新評価方法
評価の単位 地盤面から基礎立上り400mmまでの熱損失を一体で評価し、400mmを超える部分は基礎壁として評価 土間床上端から下を線熱貫流率、上を熱貫流率で評価
使う値 ψ=1.8 W/mK とするか、断熱材の熱抵抗と施工深さ・折返し寸法を入れた一般公式で算出 基礎形状によらない値(土間床上端が地盤面と同じか高ければψ=0.99、低ければ高さの差に応じて0.98〜3.24)、代表的な仕様の計算例の値(早見表)、任意評定の値のいずれか
早見表の仕様 なし ベタ基礎・布基礎それぞれ外断熱、基礎壁内断熱、両面断熱と、土間断熱なし・土間コン上面断熱・土間コン下面断熱の組み合わせ

確かめる書類と計算

確認するもの 見る点
外皮計算書(住宅性能評価・表示協会の計算シートなど) 土間床等の外周部の線熱貫流率を、どちらの評価方法で出しているか
基礎断熱の仕様書・標準納まり図 断熱材の位置(外・内・両面)と土間断熱の有無が、新評価方法の早見表の仕様に当てはまるか
断熱材の性能表示 熱抵抗の値。旧評価方法の一般公式に入れる
基礎の寸法図 新評価方法の早見表の適用範囲。ベタ基礎のモデルは根入れ深さ300mm以下、基礎壁の幅120mm以上、土間床上端が地盤面と同じか高い場合に限る
社内の計算ツール・計算代行の委託先 11月以降も旧評価方法のまま使うか、新評価方法へ切り替える時期

旧評価方法で認定や評価を申請したものの扱いについて、2024年の事務連絡は、廃止日より前に申請した建築物エネルギー消費性能向上計画の認定、長期優良住宅建築等計画の認定、住宅性能評価、低炭素建築物新築等計画の認定などは、設計変更があっても旧評価方法を引き続き使えるとしていた。

未確定の点

旧評価方法をいつまで使えるかは決まっていない。事務連絡は、所管行政庁、登録省エネ判定機関、登録住宅性能評価機関に対し、申請者への周知を求めている。国交省は改正建築物省エネ法オンライン講座のサイトで、基礎の線熱貫流率に関する動画を公開している。

新評価方法の考え方は、省エネ性能ラベルの数値の出どころの記事で扱った技術情報 第三章第三節「熱貫流率及び線熱貫流率」に載っている。同じ時期に変わる床面積の端数処理は省エネ計算の床面積の記事にまとめた。

確認先: 国土交通省 事務連絡(2026年10月21日)