見積書と注文書に実際に書かれた資機材名を、標準コードに突き合わせた検証がある。名称欄が全部合って仕様欄も一部合う部分対応率が80.2%、名称も仕様も全部合う完全対応率が38.9%。基礎・地業と土工事、鋼材、型枠の躯体系に絞ると、91.1%と75.0%まで上がる。国土交通省が2000年度の補正事業で建設業振興基金に委託し、約58,000件のコードを作った際の数字だ。

仕上系で数字が落ちる理由は、属性仕様が多く、物件ごとに特注寸法を作る資材が並ぶこと。品番マスタをどう組むかは、この線をどこに引くかの話になる。

建材に付く識別子は4つ

識別子 発番元 粒度
メーカー品番 各メーカー まちまち 色柄と寸法、オプションまで
GTIN(JANコード) GS1 Japan(事業者が自社分を採番) 13桁または8桁 販売単位ごと
CI-NET建設資機材コード 建設業振興基金 14桁+スペック部 分類の末端まで
社内コード 自社 自由 自社が管理したい単位

GTIN(JANコード)の標準タイプは13桁で、GS1事業者コード9桁と商品アイテムコード3桁、チェックデジット1桁の組み合わせになる。事業者コードが10桁ならアイテムコードは2桁、7桁ならアイテムコードは5桁。国内で貸与される事業者コードは「45」または「49」で始まる。自社で採番するのはアイテムコードの部分だけで、GS1 Japanは001から順に振る方法を勧めている。

事業者コードは貸与で、有効期限の1〜2か月前に更新申請書が届く。支払いは1年払いと3年払いから選び、年商1億円未満の事業者が1年払いなら6,050円(消費税10%込)。

CI-NETの14桁が並べているもの

分野2桁、大分類2桁、中分類3桁、小分類4桁、細分類3桁で14桁になる。型枠用の合板を例に取ると、10603000100003 は共通資材(10)の型枠(60)、木製型枠せき板材(300)、コンクリート型枠用合板(0100)、ワラン材(003)。細分類まで使わない行は残りの桁が0で埋まる。

分野は8つ。Ver.1.32からVer.1.80まで顔ぶれは変わっていない。

分野コード 分野 大分類
10 共通資材 仮設、基礎・地業、コンクリート、骨材、型枠、鉄筋、鉄骨、共用その他の8
20 土木資材 道路・舗装、防水の2
40 電気設備 配線、管路材・ダクト、配電機器、照明器具、通信機器、防災機器など9
50 機械設備 機器設備、ダクト設備、配管設備、衛生・防災機器、保温、塗装、専門工事の7
60 建設機械・工具 建設機械、機械工具、測定機器、公害防止、その他の5
63 公害防止、環境保全・用土資材 公害防止、環境保全資材の1
90 工事費 土木工事、電気設備工事、機械設備工事、共通経費の4
98 その他 計の1

件数は設備に寄っている。Ver.1.60のファイルで細分類まで振られたコードは4,385件で、うち電気設備が2,119件、機械設備が1,491件。共通資材は171件しかない。

共通資材の大分類は仮設から鉄骨までの躯体系で終わっていて、フローリングや内装ドア、壁装材、断熱材を並べる分野が無い。躯体と設備の発注はこのコードに寄せられる。内装建材は自社マスタで持つしかない。

寸法や色を桁に押し込まない

コード体系は2つに分かれる。資材の種類を問わず全部を連番で識別する連番型と、1桁目は材・労・外の区分、2桁目は名称の大分類、3桁目は名称の小分類、4桁目は材質、5桁目は寸法というように桁ごとに意味を持たせる分類型。コード開発前のアンケートでは分類型が過半で、分類の階層は6段階以下の企業がほとんどだった。回答企業のコード件数は建築工事で平均1万件程度、土木工事で5千件程度、設備工事で2万件程度。

分類型を選んでも、寸法まで桁に入れると破綻する。CI-NETは属性を「&」以降のスペック部に逃がしている。さきほどの型枠用合板なら 10603000100003&[板厚]MM_[幅]MM_[長さ]MM、生コンクリートなら 10402000100000&[呼び強度]_[スランプ]CM_[骨材寸法]MM。バリエーションを全部コード化するとコード全体が膨れて利用企業での管理が煩雑になるため、本体をコンパクトに保つ設計にしてある。

社内コードでも同じ切り分けが効く。桁に入れるのは改定で動かない分類だけで、寸法と色柄は別列に置く。

表記ゆれをどこで吸収するか

同じ資材に企業ごと地域ごとに違う呼称が付くことは、コードを作った側も課題として挙げている。整理の型は4つ。

差の種類
送り仮名 埋め込み/埋込
表現 塩ビ/塩ビ系
方言 シリコン/シリコーン、ホーン/フォーン
カタカナとひらがな シナ/しな

標準コードを使うときは、自社のコードと標準コードのマッピング作業が先に要る。同義語をそろえておくとその作業が軽くなる、という順序になっている。全角と半角、長音の有無、品番のハイフンも同じ扱いで正規化の対象に入る。

別品番に分けるか、まとめるか

GS1はGTINを変えるかどうかの基準を10個に整理している。社内コードの粒度を決めるときの物差しとしても使える。

基準 内容
1 新商品を発売した場合
2 商品表示の変更をともなう成分や機能を変更した場合
3 商品表示の変更をともなう正味内容量を変更した場合
4 包装の外寸、または総重量の変更程度が20%を超える場合
5 認証マークを追加、または削除した場合
6 ブランドを変更した場合
7 販促のために期間限定で包装を変更、または景品・試供品を付けた場合
8 集合包装の入数を変更した場合
9 あらかじめ決められた組み合わせ商品の中身を変更した場合
10 商品本体に直接表示された価格の追加、変更、削除を行う場合

基準7と基準8は集合包装の側だけが変わり、単品と最小取引単位は変更なし。原則は仕様に変更があれば別コードで、商品名、色、容量、素材、包装サイズ、販売単位が違えば分ける。同じシリーズの色違いとサイズ違いを1品番にまとめると、この原則から外れる。

廃番になった品番を使い回さない

GTINの再利用は2019年から認められていない。それ以前は一般消費財が終売後4年、アパレルとファッション商品が2年半を目安に、在庫が市場に残っていないことを確認できれば別商品への転用ができた。経過措置として、2018年12月末までに終売した商品のGTINだけが1回に限り再利用できる。理由は通販の広がりで商品が長く売られるようになり、商品情報の重複と誤認が起きやすくなったこと。

社内コードでも同じ線が引ける。使い回すと、過去の見積と注文、在庫履歴が別の商品を指す。

対応表に持たせる列

入れる値 置く理由
社内コード 自社の採番 発注ソフトの主キー
メーカー名 正式社名で統一 同名品番がメーカー間で衝突する
メーカー品番 カタログ表記のまま 発注書に載る文字列
正規化キー 全角半角と長音、ハイフンをそろえた品番 表記ゆれの突合はこの列で行う
GTIN 13桁または8桁 販売単位が変わったときの分岐点
建設資機材コード 14桁 躯体と設備で標準コードに寄せる分
スペック 板厚、幅、長さ、色柄 属性を桁に入れない代わりの受け皿
単位 枚、平米、本、ケース CI-NETも単位コードを別建てで標準化している
廃番日 供給終了日 使い回し禁止の判定に要る

単位コードと取引区分コードはVer.1.32(平成13年8月)で止まっていて、資機材コードのVer.1.80(令和3年7月)とは更新の歩みが違う。品番だけそろえても単位が「枚」と「ケース」で混ざれば数量は合わない。

内装建材を扱うほど、標準コードで賄える割合は下がる。仕上系の対応率が低いまま残っている理由は属性仕様の多さで、コードを作った時点から課題として挙がっている。そこは自社で設計するほかない。