建材を積んだトラックが現場に着いてから帰るまでの時間は、2025年4月1日から受け取る側の宿題になった。物流効率化法の判断基準省令(令和7年2月18日公布)が、運転者から貨物を受け取る者を「第二種荷主」と定め、荷待ち時間と荷役等時間を短くするための取組を条文で並べている。

工務店が商社に建材を発注し、商社が手配したトラックが現場に着く場面では、運送契約を結んでいるのは商社(第一種荷主)で、現場で荷を受け取る工務店が第二種荷主にあたる。自社でトラックを手配していなくても対象になる点が、この区分の要になる。

第二種荷主に求められる取組

判断基準省令が第二種荷主に求める取組は、条ごとに目的が分かれている。「その取組によらないことが有効と認められるとき」は別の方法でよいという但し書きが各条に付く。

目的 取組の中身
2条2項 1回の運送あたりの貨物の重量を増やす 第一種荷主から受渡しの日時について協議したいと申出があったとき、これに応じて必要な協力を行う。調達・在庫管理など受渡しに関係する各部門間の連携を進める
3条2項 荷待ち時間を短くする 停留場所の数などで決まる荷役可能な車両台数を上回るトラックが一時に到着しないよう、場所の状況を把握して受渡しの日時や時間帯を分散させる。到着時刻表示装置を導入して到着時刻を調整する。寄託先への入庫・出庫の発注を早く出して、そちらの受渡し日時も分散させる
4条2項 荷役等の時間を短くする 検査を効率的に行う機械を入れて検査を速める。フォークリフトや荷役を行う人員を適切に配置する。荷役に使う停留場所を貨物の量に応じて確保する
5条 実効性を確保する 取組の責任者を選任して体制を整え、従業者に研修を行う。荷待ち時間等と1回あたりの重量の状況、実施した取組とその効果を把握する。データの標準化を進める。運送役務の内容に応じた価格設定で、関係事業者が運送の費用を把握できるようにする

「停留場所を貨物の量に応じて適正に確保する」が、現場でいう仮置き場と待機スペースの確保にあたる。荷役できる場所が1か所しかない現場に同じ時間帯で3台を呼べば、2台は待つ。省令が求めているのは、その台数と場所の突き合わせを事前にやることだ。

到着時刻表示装置は、施設の搬入と搬出の状況と、運送事業者から出された到着予定時刻を管理するシステムを使って予定時刻を表示する装置を指す(3条1項2号の定義)。

国土交通省が令和5年6月2日に策定した荷主向けガイドラインは、1運行あたりの荷待ちと荷役作業にかかる時間が計約3時間という実態調査の値を挙げ、これを2時間以内に、達成済みなら1時間以内にすることを目標に置いている。

特定荷主になる9万トンの線

年度の取扱貨物重量が9万トン以上になると特定荷主に指定され、計画と報告の義務が付く。基準重量は第一種荷主と第二種荷主のそれぞれで9万トンを見て、超えた区分について届け出る。

手続 内容 期限
届出(様式第1) 貨物の運送の委託及び受渡しの状況届出書 基準重量を超えた年度の翌年度の5月末まで
物流統括管理者の選任(様式第4) 事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者を1名 指定後すみやかに(中長期計画または定期報告の提出までが目安)
中長期計画書(様式第3) 荷待ち時間等の短縮・積載効率の向上に関する計画。5年以内で計画期間を定める 初回は指定を受けた年度の7月末まで。2026年度のみ10月末まで
定期報告書(様式第5) 年度ごとの判断基準の取組状況と荷待ち時間等の状況 指定を受けた年度の翌年度から毎年度7月末まで

9万トンは10トン車の満載で年9,000台ぶんにあたる。建材は重量あたりの単価が低いため、売上がさほど大きくない事業者でも重量では基準に届く。国土交通省が全国貨物純流動調査2021年の業種別出入荷量原単位から作った換算表では、9万トンに達する年間売上高の目安は次のようになる。

業種 9万トンに相当する年間売上高の目安
窯業・土石製品製造業 13.40〜13.44億円
木材・木製品製造業 93.39〜106.95億円
再生資源卸売業 61.18〜63.53億円
建築材料卸売業 262.78〜265.45億円
金属製品製造業 411.50〜429.87億円

重量の算定は実測でなくてよい。単位数量あたりの重量に個数を掛ける、容積を重量に換算する(1立方メートルあたり280kgとして換算する例が手引きに載る)、最大積載量または平均積載量に台数を掛ける、売上額や仕入額を単位重量あたりの額で割る、といった8通りが届出省令に定められ、併用もできる。パレットやロールボックスパレットなど輸送用器具は、商品の一部でなく器具とみなせる場合は算定から外せる。

第二種荷主の重量算定からは、受渡しを行う日や時刻、時間帯を運転者に指示できないものが除かれる。時間指定を出しているかどうかが、そのまま数え方に効く。

荷待ちに付く待機時間料

荷待ちは現場の都合の話にとどまらない。2024年3月22日に告示された標準的な運賃(令和6年国土交通省告示第209号)は、待機時間料を車種別に定めている。

待機時間料 小型車(2tクラス) 中型車(4tクラス) 大型車(10tクラス) トレーラー(20tクラス)
30分を超える場合に30分までごと 1,680円 1,760円 1,890円 2,220円
積込料・取卸料の適用時間と併せて2時間を超える場合に30分までごと 2,010円 2,110円 2,270円 2,670円

荷を下ろす作業そのものにも料金が立つ。積込料・取卸料は、運転者が積込みや取卸しを行った場合に運賃とは別に収受するものとして表になっている。

積込料・取卸料 小型車 中型車 大型車 トレーラー
30分までごと(フォークリフトまたはトラック搭載型クレーンを使用) 2,080円 2,180円 2,340円 2,750円
30分までごと(手積み) 2,000円 2,100円 2,260円 2,650円
待機時間料と併せて2時間超(フォークリフトまたはトラック搭載型クレーン) 2,490円 2,610円 2,810円 3,300円
待機時間料と併せて2時間超(手積み) 2,400円 2,520円 2,710円 3,180円

同じ日に告示された標準貨物自動車運送約款(令和6年国土交通省告示第210号)は、運送申込書の記載事項に「積込み又は取卸しを委託するときは、その旨」「附帯業務を委託するときは、その旨」を並べ、引受け側は予定日時と運賃・料金等の額を記した運送引受書を交付するとした。誰が荷を下ろすかを申込みの時点で書き分ける建て付けになっている。

建材輸送では車種による割増もある。特殊車両割増として、ダンプ車とコンクリートミキサー車はいずれも大型車の2割、セメントバルク車は大型車またはトレーラーの2割。日曜祝祭日の運送距離に2割、午後10時から午前5時までの運送距離に2割の割増が別に置かれている。

建設資材の運搬費の扱い

国土交通省は、標準的な運賃の改定に合わせて令和6年3月26日に建設業者団体あての通達(国不建第180号ほか)を出した。建設資材や建設副産物の運搬について、改定後の標準的な運賃を参考指標として適正な契約を結ぶこと、元請は市場の取引価格を反映した価格で下請契約を結び、再下請契約についても適正な価格を要請することを求めている。

建設資材や建設副産物を運搬する経費は、建設業法19条の3の「通常必要と認められる原価」に含まれるというのが、この通達の明示した解釈だ。19条の3は不当に低い請負代金の禁止を定めた条文で、運搬費を削って原価を割る契約はここに触れる。

通達は、荷主が違反原因行為(トラック事業者が貨物自動車運送事業法令に違反する原因となるおそれのある行為)をしている疑いがある場合、貨物自動車運送事業法附則1条の2に基づいて国土交通大臣が要請、勧告、公表を行えることにも触れている。

荷卸しを手伝うときの資格

現場側の人間がユニック車のクレーンを操作したり玉掛けをしたりする場面では、つり上げ荷重で資格が切り替わる。労働安全衛生法施行令20条が就業制限業務を定め、その資格は労働安全衛生規則別表第3が対応させている。

業務 規模 必要な資格
移動式クレーンの運転(道路上の走行を除く) つり上げ荷重1トン未満 特別教育(安衛則36条16号)
同上 1トン以上5トン未満 小型移動式クレーン運転技能講習の修了、または移動式クレーン運転士免許
同上 5トン以上 移動式クレーン運転士免許
玉掛け つり上げ荷重1トン未満 特別教育(安衛則36条19号)
同上 1トン以上 玉掛け技能講習の修了
フォークリフトの運転(道路上の走行を除く) 最大荷重1トン未満 特別教育(安衛則36条5号)
同上 1トン以上 技能講習の修了(安衛令20条11号の就業制限業務)
テールゲートリフターの操作 荷を積む作業または卸す作業を伴うもの 特別教育(安衛則36条5の4号)

テールゲートリフターの特別教育は令和6年2月1日施行で、学科4時間(構造と取扱い1.5時間、作業に関する知識2時間、関係法令0.5時間)と実技2時間。実施したときは受講者と科目の記録を作り、3年間保存する。施行日時点で6か月以上の従事歴がある者は学科の一部を45分以上、実技を1時間以上に短縮できる。

昇降設備と保護帽

令和5年10月1日施行の改正で、昇降設備の設置(安衛則151条の67)と保護帽の着用(同151条の74)の対象が広がった。従来の最大積載量5トン以上に加えて、2トン以上5トン未満の貨物自動車が入った。

保護帽の対象は2トン以上5トン未満のうち、荷台の側面が構造上開放されているものか開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車、建機運搬車)と、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使って積み卸す場合に限る)。型式検定に合格した「墜落時保護用」でなければならず、「飛来・落下物用」の表示しかないヘルメットでは要件を満たさない。

昇降設備には可搬式の踏み台のほか、車両に付いている昇降用ステップも含まれる。乗降グリップがあり三点支持で昇降できる形式が望ましいとされ、上から見てステップが見えないような突出していないものは墜落や転落のリスクが高いと注意書きが付く。テールゲートリフターを昇降設備として使うときは中間位置で停止させ、昇降中に人を乗せない。

運送申込書に書く項目

標準貨物自動車運送約款6条が運送申込書の記載事項を列挙している。現場への搬入で当日までに決まっていなければならない項目は、この一覧と重なる。

引受けの側は、集貨及び配達の予定日時と運賃・料金等の額を記した運送引受書を交付する。いずれも電磁的方法で代えられる。

確認先: 荷主の判断基準を定める命令(国土交通省)特定荷主の手引き(国土交通省)