工務店が建材商社から製材を買う分には、合法性を確認して記録を残す義務は付かない。義務が付くのは、伐採した側から丸太を買う製材工場や原木市場と、海外から木材を輸入する商社。2025年4月1日に施行された改正クリーンウッド法は、この川上と水際の層を第1種木材関連事業者と呼び、それまで努力義務だった合法性の確認を義務に変えた。
法律の名前は「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(平成28年法律第48号)で、2017年5月に施行された。2023年成立の改正法が2025年4月1日から動いている。
対象物品に入る建材
対象は「木材等」で、木材と、木材を加工したり主な原料にしたりして作った家具や紙などの物品を指す(法2条1項)。木材は基本方針で広く拾い、家具や紙などは施行規則2条のポジティブリストで限定する。
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 木材(基本方針 一の2) | 素材(丸太、枝葉、根株、林地残材、風倒木処理などで生産されたものを含む)/板材、角材、円柱材(化学的または物理的な処理で密度や硬度を増したものを含む)/単板、突き板、構造用パネル(OSB)/これらを接着などして作った合板、単板積層材、集成材、直交集成板、たて継ぎ材(接着剤を使わずに接合したDLTやNLT、I型複合梁を含む)/のこくずや木くず、チップ、小片 |
| 家具・紙等(施行規則2条) | 椅子、机、棚、収納用じゅう器、ローパーティション、コートハンガー、傘立て、掲示板、黒板、ホワイトボード、ベッドフレーム(主たる部材に木材を使ったもの)/木材パルプ/コピー用紙ほかの紙(木材パルプを使ったもの)/フローリング(基材に木材を使ったもの)/木質系セメント板/サイディングボード(木材を使ったもの)/戸(主たる部材に木材)とその枠(基材に木材)/これらの中間工程で造られたもの |
建材で線が引かれるのはリストの後半で、フローリングと木質系セメント板、木材を使ったサイディングボード、木製の戸と枠は対象物品になる。家具の「主たる部材」は座面や背もたれ、脚、天板、パネル、フレームを指し、ダボや木口材、引き手、つまみは含まない。家具以外の機能が付いた車椅子や調理台、キッチンユニットは外れる。
対象から外れるものが3つある。一度使われたもの、使われずに集められたり廃棄されたりしたものは定義から除かれる(法2条1項)。産業廃棄物に当たるものも対象物品にならない。譲り渡す目的で集めた林地残材や製材端材、それを原料にしたチップや木質ペレットは、国産と輸入を問わず対象に入る。
型枠用合板を使って型枠工事をするように、木材等を仮設資材として使う場合は木材関連事業者に当たらない。
自社が第1種か第2種か
第1種木材関連事業:法6条1項各号の行為をする事業(施行規則1条1号)。素材生産販売事業者からの素材の譲受けか譲渡しの受託、海外で日本向けに木材等を売る事業者からの譲受けか譲渡しの受託、自ら所有する樹木や所有者から委託を受けて伐採した樹木で作った素材の加工の3つを指す。それ以外の木材関連事業が第2種木材関連事業になる。
| 立場 | 区分 |
|---|---|
| 伐採事業者から丸太を買う製材工場 | 第1種 |
| 原木市場、丸太の販売を受託する原木流通事業者 | 第1種 |
| 原木を買って輸出する事業者 | 第1種 |
| 自社林を自社工場で製材して売る事業者 | 第1種 |
| 輸入商社、代行輸入事業者、自ら輸入する合板工場 | 第1種 |
| 原木市場から丸太を買う製材工場 | 第2種 |
| 輸入商社から単板を買う合板工場 | 第2種 |
| 製材や建材を仕入れて売る流通事業者 | 第2種 |
| 木材を買って建物を建てる工務店 | 第2種 |
輸入材では、インボイスか船荷証券に記載された荷受人が第1種になる。輸入申告に関与しない日本企業を介して買う場合、その日本企業に売る商社は木材関連事業者に当たらない。法人格が分かれた海外の現地法人も法の対象外で、そこから輸入する側が第1種になる。
伐採だけ、加工だけ、物流だけを請け負う事業者は、譲り渡し先を決める立場にないので木材関連事業者に当たらない。逆に建築や建設をする事業者は木材等を譲り渡さないが、例外として木材関連事業者に入る(法2条4項3号)。建物は対象物品でないため譲り渡すときの情報伝達は要らず、譲り受ける側の義務だけが残る。
主に第2種の事業をしていても、第1種の行為をした分にはその分の義務がかかる。反対に第1種事業者でも、第2種として譲り受ける分、対象外物品を作るために譲り受ける分、消費者として譲り受ける分には義務がかからない。原木市場が丸太をベンチに加工して自社の事務所で使う場合が後者に当たる。
集める原材料情報は3つ
第1種が集めるのは樹種、伐採地域、証明書の3点(法6条2項)。複数の証明書を入手できる場合も、少なくとも1つ集めれば義務を果たしたことになる。
| 情報 | 国産材 | 輸入材 |
|---|---|---|
| 樹種 | 取引で通常使っている名称。伐採造林届出書に書かれた樹種など | ベイマツ、ユーカリなど |
| 伐採地域 | 国産、都道府県、市町村のいずれか | 国名。台湾のような地域名は可で、アジアのように国の範囲を超える呼び方は不可 |
| 証明書 | 伐採造林届出書、森林経営計画認定書と森林経営計画書、保安林の許可書や届出書、国有林の林産物売買契約書、伐採造林届出書に係る適合通知書、森林認証(SGEC、FSCなど)、合法木材ガイドラインの合法木材証明書 | 各国が発行する証明書、森林認証(PEFC、FSCなど) |
証明書の写しに代わる情報は令和5年政令第342号が12種を並べ、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の認定事業計画、森林経営管理法63条1項の災害等防止措置を証する情報、条例や規則に基づく処分や届出の情報などが入る。書類は該当箇所の写しで足りる。
樹種と伐採地域は書面でも口頭でもよく、証明書だけは書面か電子が要る。伐採造林届出書には樹種と伐採地域も書かれているので、1枚で3点を満たす。森林の外にある樹木、たとえば屋敷林はクリーンウッド法の対象外で義務が生じない。
確認は原材料情報だけで決めるものではない。確認省令1条は、国が出す法令の情報、素材生産販売事業者や日本へ輸出する者との取引の実績、木材等の流通と利用に関する情報も踏まえて行うと定める。集められなかった原材料情報があるときは、集められなかったことを踏まえて判断する。
情報を集める相手は素材生産販売事業者で、こちらには第1種の求めに応じる義務がある(法9条)。手元に情報が残っていない場合、応じられない旨を回答すれば応諾義務違反にならない。契約条件のように商取引上不利になる部分は黒塗りしてよい。何も応じない場合が違反になる。
記録に書く3項目と保存期間
記録は原材料情報の内容、合法性確認木材等か否か、その理由の3つ(法7条)。原材料情報の内容は「スギ/宮崎県/伐採造林届出書」のように樹種、伐採地域、証明書等の種類を書き、証明書そのものを保存してもよい。
理由の書き方として林野庁が挙げるのは、関連情報を用いて判断した、収集した原材料情報が真正であると判断した、収集した原材料情報を踏まえて内規に則り判断した、原材料情報と取引先が合法性に関する認定を受けた事業者であることを踏まえて判断した、の4例。
作成の期限は遅くとも木材等を次の相手へ譲り渡すときまで。保存期間は作成の日から5年で、作成から譲渡しまでが5年を超える場合は譲渡しの時までになる(確認省令4条、6条)。書面でも電子でもよく、事務所や工場、事業場、倉庫ごとに作る。主たる事務所で一括して譲受けをしていて、照会すれば速やかに確認できる措置がとってあれば一括作成できる。他制度の合法性関係の記録と書類が重複する場合、1つのファイルにまとめて保管してよい。
合法性の確認をまとめる単位は任意で、トラックやコンテナのような譲受け単位に合わせる必要はない。ただし、まとめた中に合法性確認木材等でない木材が1つでも混ざると、その木材等の全体が合法性確認木材等でない扱いになる。
納品書に載せる伝達事項
第1種が他の木材関連事業者へ譲り渡すときは、原材料情報の収集結果と、合法性確認木材等か否かを伝える(法8条)。収集結果は「全ての原材料情報を収集しています」「原材料情報のうち、証明書は収集できませんでした」の書き方でよく、樹種や証明書の中身まで書くかは任意。第2種が伝えるのは合法性確認木材等か否かだけで、原材料情報の記録に関する情報は要らない。
方法はメールやFAX、クラウドにアップロードしてURLを伝える、記録媒体を渡す、包装や納品書、レシートへの印字から選ぶ(確認省令7条)。口頭は認められない。林野庁が2025年4月1日に運用を始めた「流通木材の合法性確認システム」を使う道もある。
伝達の義務が課されないのは、消費者への譲渡し、木材関連事業者でない事業者への譲渡し、輸出の3つ。木製食器を作る事業者に製材を渡す場合や、学校法人に木製机を渡す場合が2つ目に当たる。この場合も合法性の確認と記録保存の義務は残る。譲り渡す先が木材関連事業者なら、その木材が将来パレットのような対象外物品に加工されると分かっていても義務の対象になる。
第1種として譲り受けた木材と第2種として譲り受けた木材を混ぜて渡すときに「合法性確認木材です」とだけ書くのは、譲り渡す全ての木材を指すと誤解されるため認められない。
第2種に残る努力義務
第2種の努力義務は3つで、合法性確認木材等か否かの情報を受け取ること、それを記録して作成の日から5年保存すること、木材関連事業者へ伝えること(法13条1項、判断省令5条と6条)。伝達されてこないときは、より川上の木材関連事業者へ情報の提供を求める。ここで合法性を確認できれば、合法性確認木材等として次へ渡せる。
第1種と第2種に共通する努力義務として、責任者の設置と取組方針の作成、国が出す情報や取引実績を踏まえた取引相手の選定、合法性確認木材等でない木材を使ったときの次回の相手の見直しがある。消費者へ渡すときは、店舗の掲示板にURLや二次元コードを示してウェブサイトに確認情報を載せる間接的な方法もとれる。
罰則の順序と定期報告
罰則は段階を踏む。指導助言(法10条)から勧告(法11条1項と2項)、勧告に従わなかった旨の公表(同条3項)、公表後も正当な理由なく措置をとらない場合の命令(同条4項)と進み、命令に違反して初めて100万円以下の罰金になる(法45条)。従業者の違反行為には法人にも同額の罰金が科される(法48条)。罰則の対象は6条の原材料情報の収集整理、7条の記録の作成保存、8条の情報伝達、9条の素材生産販売事業者の情報提供で、合法性の確認そのものには罰則が適用されない。
一定規模を超える第1種には、扱った木材等の総量と、そのうち合法性確認木材等の数量を報告する義務が付く(法12条)。
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 国産材の丸太の総量 | 3万立方メートル |
| 輸入した木材を丸太換算した総量 | 3万立方メートル |
| 輸入した家具や紙などの物品の総量 | 1.5万トン |
1区分でも基準以上になれば全区分を報告する。対象期間は前年度の4月から3月で、期限は毎年6月末日(確認省令9条、10条)。第1種として譲り受けた分だけが対象で、第2種として譲り受けた分や自家消費分は要らない。丸太換算の係数は任意で、合計値の小数点以下を切り捨てた整数部分で基準と比べる。報告先は木材だけなら農林水産大臣、輸入の家具や紙などだけなら経済産業大臣、両方なら両大臣。第1回は令和7年度の実績を2026年6月末までに出す回だった。
基準と比べる量の起点になる「譲受けの完了日」は、在庫管理の方法に合わせて選ぶ。素材の譲受けなら納入日か、検収や検品、仕分けをして在庫管理の対象とした日。輸入なら輸入許可日、許可後に自社倉庫へ納入した日、許可後に検収や仕分けをして在庫管理の対象とした日のいずれか。選んだ定義は社内文書で明確にして翌年度以降も使う。
登録は任意、2026年3月末で816件
登録木材関連事業者の制度は努力義務を確実に講ずる事業者を登録する仕組みで、登録は任意(法15条)。登録実施機関が申請を受け付けて審査し、費用は機関ごとに設定される。5年ごとに更新しないと効力を失う(法19条)。
登録の単位は入荷の形態に合わせる。第1種は事業全体をまとめて登録し、第2種は部門や事務所、工場、事業場、木材等の種類ごとの部分登録ができる。輸入事業者は改正後、第1種の登録だけになった。改正前に輸入部分を第1種、販売部分を第2種として登録していた事業者は、次回の更新までは現在の登録を維持できる。
2026年3月末の登録件数は816件で、内訳は第1種のみが64件、第1種と第2種の両方が316件、第2種のみが436件。令和6年度に第1種の登録事業者が扱った木材は99%が合法性確認木材で、これは木材の総需要量の46%に当たる。登録を受けると「登録木材関連事業者」の名称とロゴマークを納品書や名刺、ウェブページに使え、木造建築物の施工事業者などを対象とした補助事業で優遇措置を受けられる。登録していない者が紛らわしい名称を使うと30万円以下の罰金になる(法20条3項、46条1号)。
確認先: クリーンウッド・ナビ(林野庁)



