奉行クラウドとどっと原価シリーズをつなぐには、どっと原価側に勘定奉行クラウドの部門、科目、補助科目、取引先マスタのコードと名称を先に登録しておくことが条件になる。弥生会計の仕訳インポートも、勘定科目名が会計側の登録名と違えば、取り込みの途中でマッチングリスト画面が出て、対応付けは人の手に戻る。
受け入れる側は、渡ってきた文字列かコードで自社の科目を引き当てる。上流の見積や原価管理のソフトで科目名や取引先コードを自由に決めると、その引き当てが毎月失敗して手作業が残る。連携の設計は、どちらのマスタを正にするかを決める作業から始まる。
会計へ渡せる仕訳の種類
どっと原価シリーズは、仕入、支払、売上、入金、完成の仕訳伝票を作って会計ソフトへ転送する。会計ソフトごとに違う仕訳伝票パターンを登録して出力項目を作る形で、逆向きに他社会計ソフトの振替伝票を受け入れて仕入伝票や支払伝票、売上伝票、入金伝票に置き換えることもできる。転送済みのデータには転送済のレ点が付き、二重転送を防ぐ。奉行クラウドコネクタ for どっと原価が対象にするのは売上、仕入、入金、支払、完成振替の5種類で、どっと原価から仕訳情報を決めたフォルダに出力し、本部側で取り込む。
どっと原価が仕訳を渡せる会計ソフトは公開されている。応研の建設大臣NXと建設大臣SuperNX、大蔵大臣個別原価NX、大蔵大臣NX、OBCの勘定奉行 i/Vと勘定奉行クラウド(どちらも個別原価と建設業編を含む)、PCA会計DXとPCA建設業会計DX、PCA個別原価会計DX、TKC FX2とFX4、ミロク情報サービスのACELINK NX-CEとMJSLINK DX、Galileopt DX、弥生会計、エプソンの財務会計プロフェッショナルとプレミアム、OSKのSMILE V会計、日本ICSのATOMⅡ/ATLUS。工事や業者のマスタまでERP対応の会計ソフトへ流し込むには、会計ERPモジュールが要る。
受け口は3通り
| 渡し方 | 実例 | 上流でそろえるもの |
|---|---|---|
| 汎用CSVの受け入れ | 弥生会計の仕訳インポート、勘定奉行の汎用データ受入 | 列の順序と桁数、科目の名称または受入記号 |
| 専用コネクタ | 奉行クラウドコネクタ for どっと原価(フォルダ出力と取り込み) | 会計側の部門、科目、補助科目、取引先のコードと名称 |
| 同一シリーズ内の仕訳転送 | 弥生販売から弥生会計へ | 取引区分と内訳への科目の割り当て、転記方法 |
会計以外の連携では、勤怠ソフトとの日報データが双方向、kintoneとはWeb APIでマスタデータを渡す形が公開されている。工事情報の連携相手にはダンドリワークが載る。
勘定奉行の受入形式は製品の中にある。[随時処理]-[汎用データ受入]-[仕訳伝票データ受入]メニューの受入条件設定画面から操作説明を開き、ヘルプの受入形式ページで「汎用データ受入形式一覧表」(Excel形式)を開く。項目は受入記号で指定し、受入項目を足したり削ったりして自社の形式を作る。弥生会計はこれと違い、25項目を決まった順番で1行に書く形式をとる。
弥生会計が受け取る25項目
| # | 項目 | 条件 | 桁数(半角) | 型 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 識別フラグ | 必須 | 4 | 文字 |
| 2 | 伝票No. | 6 | 数字 | |
| 3 | 決算 | 4 | 文字 | |
| 4 | 取引日付 | 必須 | 10 | 日付 |
| 5 | 借方勘定科目 | 必須 | 24 | 文字 |
| 6 | 借方補助科目 | 24 | 文字 | |
| 7 | 借方部門 | 24 | 文字 | |
| 8 | 借方税区分 | 必須 | 32 | 文字 |
| 9 | 借方金額 | 必須 | 11 | 金額 |
| 10 | 借方税金額 | 11 | 金額 | |
| 11 | 貸方勘定科目 | 必須 | 24 | 文字 |
| 12 | 貸方補助科目 | 24 | 文字 | |
| 13 | 貸方部門 | 24 | 文字 | |
| 14 | 貸方税区分 | 必須 | 32 | 文字 |
| 15 | 貸方金額 | 必須 | 11 | 金額 |
| 16 | 貸方税金額 | 11 | 金額 | |
| 17 | 摘要 | 64 | 文字 | |
| 18 | 番号 | 10 | 文字 | |
| 19 | 期日 | 10 | 日付 | |
| 20 | タイプ | 必須 | 1 | 数字 |
| 21 | 生成元 | 4 | 文字 | |
| 22 | 仕訳メモ | 180 | 文字 | |
| 23 | 付箋1 | 3 | 数字 | |
| 24 | 付箋2 | 1 | 数字 | |
| 25 | 調整 | 必須 | 文字 |
識別フラグ:仕訳の種類を半角数字で書く欄。伝票以外の仕訳は2000、1行の伝票は2111、複数行の伝票は1行目が2110、間の行が2100、最終行が2101。タイプは取引の形を0から3で書き、0が仕訳、1が出金伝票、2が入金伝票、3が振替伝票にあたる。複数行の伝票では、伝票No.と決算、取引日付、タイプ、生成元は1行目の内容が使われる。
取引日付は西暦と和暦のどちらでも通る。2019年7月1日なら「20190701」「2019/07/01」「2019/7/1」「R01/07/01」「R01/7/1」のいずれでもよい。条件は会計期間内であること。
桁数と自動計算でつまずく場所
摘要は半角64桁、番号は10桁、仕訳メモは180桁を超えた分がインポート時に切り捨てられる。工事名と品名、現場名を摘要に全部載せる設計にすると後ろが落ちる。番号欄は受取手形と支払手形の手形番号を入れる欄でもあるため、社内の伝票番号と手形番号のどちらを流すかを先に決める。
税抜処理を選んでいる事業所データでは、税額が自動計算されない。借方税金額と貸方税金額に金額を書かなければ、税額が入らないまま取り込まれる。金額欄は整数で、税込金額を書く。
借方部門と貸方部門は、スタンダードとやよいの青色申告ではインポートできない。工事別の集計を会計側の部門で持たせる設計は、グレードで使えるかどうかが変わる。
税区分は、複数行の伝票で勘定科目が無い行でも必須で、その場合は「対象外」、金額は「0」と書く。調整欄も必須で、チェックを付けるなら「yes」(または「true」「on」「1」「-1」)、付けないならそれ以外の文字を書く。空欄にする場合も区切りのカンマは要る。
どの粒度で1仕訳にするか
弥生販売から会計へ渡すときは、売上と仕入、入金、出金の取引ごとに転記方法を選ぶ。選んだ方法で仕訳の本数と摘要の中身が決まる。
| 転記方法 | 1仕訳になる単位 | 摘要に入るもの |
|---|---|---|
| 合計転記 | 期間内の伝票を区分ごとに集計した合計 | 集計した期間と区分 |
| 日別転記 | 期間内の伝票を日付単位で区分別に集計 | 集計した日付と区分 |
| 明細転記 | 伝票の1明細 | 得意先(仕入先)コードと略称 |
| 得意先別転記(仕入先別転記) | 期間内の伝票を得意先または仕入先別に集計 | 集計した期間の日付と得意先(仕入先)の略称 |
| 伝票別転記 | 仕入伝票ごとの合計 | 仕入先コードと略称 |
工事別や現場別の原価を会計側で追うなら、明細まで落ちる転記方法を選ぶ。部門が仕訳に出るのは売上仕訳では明細転記のときだけで、仕入仕訳は明細転記か伝票別転記のとき。部門そのものが弥生会計スタンダードとやよいの青色申告には無い。
マスタをどちらに持たせるか
会計側を正にして上流の見積や原価管理のソフトに写す形が、公開されている連携仕様の前提になっている。奉行クラウドとの連携は会計側4マスタのコードと名称の事前登録を求め、弥生会計は「弥生会計で登録されている名称と同一文字列が望ましい」と書いている。名称が違っても取り込み自体は止まらないが、そのぶんマッチングリストでの対応付けが残る。
マッチングリストで済ませたときの副作用は小さくない。仕入先タブで設定した勘定科目や補助科目が弥生会計に無かった場合、取り込み時にマッチングリストが出て科目を作れるが、そこで作った科目には請求書区分が設定されない。請求書区分は会計側の科目設定で後から入れる。
同じシリーズ内でも、割り当ての持ち方は決めておく必要がある。売上伝票では取引区分ごとに借方科目、内訳ごとに貸方科目を設定し、入金伝票は入金区分ごとに借方科目と会計仕訳税区分を設定する。勘定科目と補助科目はそれぞれ半角24文字まで。得意先ごとに科目を変えたいときは得意先別タブで設定し、この設定が売上タブの設定より優先される。掛売の補助科目には、入力した補助科目より請求先の略称を優先させるチェックもある。部門は弥生会計の部門名称を文字列で入力する形で、コードではない。仕訳転送そのものが使えるのは弥生会計が相手のときで、やよいの青色申告が相手ならテキストファイルの書き出しと取り込みになる。
建材の品番マスタをどこまで標準コードに寄せられるかは別の論点で、会計連携で突き合わせるのは品番ではなく科目と取引先、部門、工事のコードになる。品番の粒度をそのまま会計へ持ち込む必要はない。
10月1日から税区分の書き方が変わる
免税事業者等からの課税仕入れで使える控除割合は、9月30日までの80%から10月1日以降70%に下がる。国税庁が令和8年4月に改訂した経過措置の期間と割合は次のとおり。
| 期間 | 割合 |
|---|---|
| 令和5年10月1日から令和8年9月30日まで | 仕入税額相当額の80% |
| 令和8年10月1日から令和10年9月30日まで | 仕入税額相当額の70% |
| 令和10年10月1日から令和12年9月30日まで | 仕入税額相当額の50% |
| 令和12年10月1日から令和13年9月30日まで | 仕入税額相当額の30% |
対象になる金額にも上限がある。令和8年10月1日以後に開始する課税期間では、一の免税事業者等から行う経過措置対象の課税仕入れの合計額が税込1億円を超えると、超えた部分には経過措置が使えない。令和6年10月1日から令和8年9月30日までの間に開始する課税期間の税込10億円から下がる。帳簿には「80%控除対象」「免」のように経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要で、記号を付けて別途「※は80%控除対象」と示す方法も認められている。
弥生の仕訳連携でこの控除割合に対応した書き出しができるのは、弥生会計27と弥生販売27以降。入金伝票の税区分では、仮払消費税を計上する科目で請求書区分が適格請求書なら「仕入(適格)」、区分記載請求書なら「仕入(区分)」を選ぶ。入金伝票と出金伝票では軽減8%の仕訳を作れず、返還インボイスは売上伝票か仕入伝票にマイナス値を入れて転送する。弥生会計の仕訳インポートでは、インボイスの請求書区分と仕入税額控除を税区分と組み合わせた形式で書くが、記述が無くてもインポートは通る。経過措置の区分が落ちたまま取り込まれる余地は残る。
確認先: 弥生会計の税区分の記述形式は課税方式別税区分・税計算区分一覧、奉行の受入項目は製品内の汎用データ受入形式一覧表。



