JIIMA認証:公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、市販ソフトの機能が電子帳簿保存法の要件を満たすかをマニュアルや取扱説明書の記載で審査し、満たすと判断した製品を公表する制度。電帳法対応をうたう受発注ソフトのサイトに出ているロゴがこれにあたる。
認証は一つではない。保存の区分ごとに5つに分かれていて、どれを持っているかで担保される範囲が変わる。電子でやり取りした注文書を保存する認証を持つ受発注ソフトでも、紙で届いた請求書をスキャンして原本を捨ててよいかは別の認証の話になる。
認証の5区分
| 認証 | 対象になるソフト | 主製品の掲載数 |
|---|---|---|
| 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証 | 紙で受け取った書類をスキャンして電子で保存する | 191 |
| 電子帳簿ソフト法的要件認証 | 国税関係帳簿を作って保存する(優良な電子帳簿の機能要件) | 93 |
| 電子書類ソフト法的要件認証 | 自社が作った国税関係書類を紙で発行し、その控えを電子で保存する | 69 |
| 電子取引ソフト法的要件認証 | 電子でやり取りした取引情報を保存する | 256 |
| デジタルシームレスソフト法的要件認証 | 取引データを自動で保存し帳簿に自動連携する | 2 |
掲載数は2026年8月21日現在の主製品の数で、派生製品は含まない。派生製品は主製品と機能的に同等とされ、電子取引の一覧では認証番号の上4桁が同じで5桁目と6桁目が00のものが主製品にあたる。
電子書類ソフト認証はさらに3パターンに分かれ、認証番号の頭が3なら決算関係書類、4なら取引関係書類の作成と保存、5なら取引関係書類の保存を指す。同じ製品が別番号で複数のパターンを取ることもあり、建設・工事業ERPシステム PROCES.S(内田洋行ITソリューションズ)は決算関係書類と、取引関係書類の作成と保存の両方に載っている。
電子取引の保存方式と事務処理規程
電子取引ソフト認証の一覧には、電子帳簿保存法施行規則第4条1項のどの措置に対応して認証されたかを示す保存方式の欄がある。
| 保存方式 | 施行規則4条1項 | 内容 |
|---|---|---|
| A | 措置1相当 | タイムスタンプ付与後に相手方に送付する方式 |
| B | 措置2相当 | 授受後にタイムスタンプを付与する方式 |
| C-a | 措置3相当 | 訂正削除の履歴が残る方式(自動入力方式) |
| C-b | 措置4相当 | 訂正削除の履歴が残る方式(手動入力方式) |
| D-a | 措置3相当 | 訂正削除ができない方式(自動入力方式) |
| D-b | 措置4相当 | 訂正削除ができない方式(手動入力方式) |
C-bとD-bには事務処理規程が要る。手動でデータを取り込む以上、ソフトの機能だけでは改ざん防止が完結せず、利用者側の規程と組み合わせて措置4を満たす形になるためだ。事務処理規程を自社で作る手間が残るかどうかは、末尾のaとbの違いで分かれる。
タイムスタンプ付与も訂正削除の履歴保存もなく、規程の備付けだけで対応するソフトは、そもそも認証の対象外になる。JIIMAはその理由を、ユーザーの運用との組み合わせで法的要件を満たすことが必須になるため、ソフトウェア単体の機能では電子取引の要件を満たしていることが確認できないためだと説明している。
保存方式が表示されるのは令和5年度基準で審査された認証だけ。主製品256件の内訳は令和5年度基準が92件、令和3年度基準が161件、令和2年度基準が3件で、164件は保存方式の欄が空欄のままになっている。
建設業と住宅向け受発注ソフトの認証状況
電子取引ソフト認証の一覧に載っている建設業と住宅向けの受発注ソフトと請求ソフトは次の通り。
| 製品 | メーカー | 保存方式 | 審査基準法令年度 | 認証有効期限 |
|---|---|---|---|---|
| 建て役者 電子受発注オプション Ver1.1 | システムサポート | C-b | 令和5年度 | 2028年4月10日 |
| ANDPAD受発注 | アンドパッド | B、C-a | 令和5年度 | 2029年2月2日 |
| ANDPAD請求管理 | アンドパッド | D-a | 令和5年度 | 2029年2月2日 |
| +Biz受発注 Ver.1.2.0 | 建設ドットウェブ | D-a | 令和5年度 | 2029年2月2日 |
| TAKUMI Builders Connect Ver.1.1 | 大東建託 | D-a | 令和5年度 | 2029年3月4日 |
| B to B CORE-SYSTEM すりむん 受発注システム Version.3.1.0a | コアシスプラン | D-a | 令和5年度 | 2028年4月10日 |
| 注文分譲クラウドDX | ダイテック | 表示なし | 令和3年度 | 2029年5月8日 |
| 受発注Plus(注文分譲クラウドDXの派生製品) | ダイテック | 表示なし | 令和3年度 | 2029年5月8日 |
| Kizuku 電子受発注 ver8.4.3.0 | コムテックス | 表示なし | 令和3年度 | 2027年5月27日 |
| 建設PAD | KENZO(旧 KPtechnologies) | 表示なし | 令和3年度 | 2026年9月28日 |
建て役者の電子受発注オプションだけがC-b、つまり手動入力方式で、導入した工務店や商社の側に事務処理規程が要る。ANDPAD受発注はBとC-aの2方式、請求管理と+Biz受発注、TAKUMI Builders Connect、すりむんはD-aで、いずれも規程を前提としない方式で認証されている。
建設PADの認証有効期限は2026年9月28日。更新審査の申請があれば期限欄に★が付いて期限以降も認証製品として有効になるが、2026年8月21日現在の一覧に★は付いていない。
帳簿と書類の側では、建設クラウド(日本電気)とPROCES.Sが電子帳簿ソフト認証、ANDPAD請求管理とTKCの建設業用会計情報データベース(DAIC2、DAIC3クラウド)がスキャナ保存ソフト認証に載っている。受発注のデータ保存と、紙をスキャンして捨てる運用は、別々に確認する対象になる。
認証が担保しない範囲
国税庁はJIIMA認証情報リストで、認証を受けた電子帳簿ソフトは優良な電子帳簿の機能要件を満たしたものだとした上で、注記を置いている。電子帳簿保存法の保存等の要件には事務手続関係書類の備付けに関する事項等、機能に関する事項以外の要件もあり、それらを含め全てを満たす必要がある。認証ソフトが自分の作成している帳簿に対応しているかも、利用者側の確認事項になる。
JIIMA側の免責も同じ線を引く。認証は製品のマニュアル等のみで評価するものであり、それ以外の事項を保証しない。紙の原本を捨てられるかどうかもユーザーの運用にあたり、審査の対象に入らない。
書類の種類別の認証は行われていない。JIIMAのFAQは、注文書は発行できるが請求書の発行機能がないような製品でも、電子帳簿保存法の要件を満たせば認証の対象になると答えている。認証があることは、自社が扱う伝票を全部その製品で処理できることを意味しない。
版と法改正の扱いも認証とは切り離されている。バージョンアップごとの更新審査は不要で、電帳法にかかわる機能を維持することはメーカーの責任とされ、万が一機能が無くなった場合は認証取消しになる。法改正で機能チェックリストが変わったときの再審査も自動では行われず、メーカーが更新審査を申請して初めて審査される。スキャナ保存ソフト認証の主製品191件のうち7件は平成28年度基準、11件は令和元年度基準で、有効期限内のまま一覧に残っている。
審査の中身は公開されない。審査結果は認証製品として一覧に載るが、審査の経緯と機能チェックリストは非公開とされている。
一覧で確かめる6項目
製品ページのロゴには、認証の区分も審査基準の年度も有効期限も出ない。それらが載るのはJIIMAの認証製品一覧のほうで、見る欄は6つある。
- 認証の区分が、自社がやろうとしている保存の区分と合っているか(電子取引か、スキャナ保存か、帳簿か、書類か)
- 主製品か派生製品か。派生製品の保存方式は主製品の欄を見る(電子取引の一覧では認証番号の5桁目と6桁目が00なら主製品)
- 審査基準法令年度。令和3年度以前の基準なら、令和5年度改正後の基準では審査されていない
- 認証有効期限と★の有無。★があれば期限以降も有効
- バージョン。一覧に書かれたバージョン以降が認証製品で、それより古い版は範囲外
- 保存方式。C-bとD-bなら、自社で事務処理規程を作る作業が別に残る
デジタルシームレスソフト認証
5区分のうち最も新しいデジタルシームレスソフト認証は、審査基準が令和7年度で、2026年8月21日現在の主製品はTKCとJFEシステムズの2社しかない。
この認証は国税庁長官が定める基準に基づいた特定電子計算機処理システムの利用を前提に、電子取引データの改ざん防止、適正な記帳、電子帳簿との相互関連性の確保といった要件を確認する。ねらいは、重加算税の加重賦課除外や青色申告特別控除65万円の適用という優遇措置を受けるための手段として機能させることにある。一覧では電子取引ソフト認証の認証番号が併記され、認証範囲としてPeppol発行データ、Peppol受領データ、銀行取引データのどれで認証を受けたかが示される。
重加算税の加重措置から外れる仕組みは2027年1月1日施行で、対象になるデータの形式が限られる。この区分の認証製品は、まだ2社にとどまる。



