現場の前の道路にサッシの梱包を積む、足場を歩道側に張り出して組む、4トン車を路肩に寄せて石膏ボードを下ろす。この三つは根拠法が別で、許可を出す相手も違う。置く行為は道路管理者、工事や作業をする行為は警察署長、荷下ろしで停める行為はどちらの許可も要らないことがある。
道路の占用:道路に工作物、物件または施設を設け、継続して道路を使用すること(道路法32条2項1号)。
二つの許可の切り分け
| 道路使用許可 | 道路占用許可 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 道路交通法77条1項 | 道路法32条1項 |
| 許可権者 | 行為に係る場所を管轄する警察署長 | 道路管理者 |
| 対象 | 道路での工事または作業、石碑や広告板などの工作物の設置、露店や屋台の出店、祭礼行事やロケーションなど公安委員会が定めた行為 | 工作物、物件または施設を設けて継続して道路を使用すること |
| 許可の判断 | 交通の妨害となるおそれがない、条件を付せばなくなる、または公益上もしくは社会の慣習上やむを得ない(77条2項) | 道路の敷地外に余地がないためやむを得ず、場所と構造などが政令の基準に適合する(33条1項) |
| 費用 | 都道府県ごとの手数料 | 占用料(39条1項) |
| 無許可の法定刑 | 3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(119条2項7号) | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(102条1号) |
申請先になる道路管理者は道路の種類で決まる。国道のうち政令で指定する区間内は国土交通大臣、それ以外の区間はその部分の存する都道府県(道路法13条1項)。都道府県道は都道府県(15条)、市町村道は市町村(16条)。ただし政令指定都市の区域内にある国道のうち都道府県が管理することとされているものと、同じ区域内の都道府県道は、指定市が管理する(17条1項)。
建材と足場の占用許可
道路法32条1項7号は「道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの」を占用の対象に加えている。この政令にあたる道路法施行令7条が、4号に「工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設」、5号に「土石、竹木、瓦その他の工事用材料」を挙げる。敷地に入りきらない建材を路肩に仮置きする行為も、足場を道路側に張り出して組む行為も、条文の上では占用にあたる。
許可の入口は狭い。道路管理者が許可を出せるのは、占用が「道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないもの」であり、かつ占用の期間、場所、構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法が政令の基準に適合する場合に限られる(33条1項)。敷地内や借りた資材置場に置ける建材は、この要件から外れる。
占用の期間は、電線や水道管など公益事業の物件が10年以内で、工事用施設と工事用材料はそれ以外にあたるため5年以内が上限になる(施行令9条2号)。
停めるだけの荷下ろしとの境目
トラックを寄せて建材を下ろす行為が、そのまま許可の対象になるわけではない。道路交通法2条1項18号は「駐車」の定義から「貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの」を外している。5分以内で終わる荷下ろしの停止は停車で、駐車が禁止された場所でも駐車違反にはならない。
5分を超えると駐車になり、45条1項の禁止場所が効いてくる。標識で駐車が禁止された部分のほか、道路工事が行われている場合の工事区域の側端から5メートル以内(2号)、道路外に設けられた駐車場や車庫の出入口から3メートル以内(1号)、消火栓や指定消防水利の標識から5メートル以内(4号)、火災報知機から1メートル以内(5号)が並ぶ。この禁止は、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは適用されない(同項ただし書)。
標識も出入口もない道路でも、車の右側に3.5メートル以上の余地が残らない場所では駐車できない(45条2項)。ただし貨物の積卸しを行う場合で運転者が車を離れないとき、または離れても直ちに運転に従事できる状態にあるときは、この制限の対象から外れる(同項ただし書)。人の乗降や貨物の積卸しのために停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、他の交通の妨害にならないようにする(47条1項)。
交差点、横断歩道、踏切、坂の頂上付近、トンネルと、交差点の側端や道路の曲がり角から5メートル以内は、停車も駐車もできない(44条1項)。
申請書に書く事項
| 許可 | 記載事項の根拠 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 道路使用許可 | 道路交通法施行規則10条1項 | 申請者の住所と氏名(法人は名称と代表者の氏名)、道路使用の目的、道路使用の場所または区間、道路使用の期間、道路使用の方法または形態、現場責任者の住所と氏名 |
| 道路占用許可 | 道路法32条2項 | 道路の占用の目的、占用の期間、占用の場所、工作物、物件または施設の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法 |
道路使用許可の申請書は2通提出し、道路使用の場所または区間の付近の見取図その他公安委員会が必要と認めて定めた書類を添える(同規則10条2項3項)。窓口で求められる書類は都道府県で幅がある。警視庁は工事の場合に工事概要、現場案内図、緊急連絡先、道路使用状況図を挙げ、静岡県警察は申請書、位置図、見取図、道路使用方法の具体的説明資料などを各2通としている。
占用物件の構造の変更で重量の著しい増加を伴わないものと、道路の構造や交通に支障を及ぼすおそれのない物件の添加を除き、32条2項の7項目を変更するときはあらかじめ許可を取り直す(32条3項、施行令8条)。
申請書の経由と事前協議
両方の許可が要る工事で、申請書を2か所に持ち込む必要はない。道路使用許可の対象行為が道路法32条1項または3項の適用を受けるものなら、申請書の提出は道路管理者を経由して行える(道交法78条2項)。逆に占用許可の対象行為が道交法77条1項の適用を受けるものなら、警察署長を経由して行える(道路法32条4項)。受け取った側は速やかに相手方へ送付する。近畿地方整備局も、双方の許可が必要な場合は双方の申請書をいずれか一方に提出できると案内している。
審査の側にも協議が組まれている。警察署長は、占用許可の対象になる行為について使用許可を出す前に道路管理者へ協議する(道交法79条)。道路管理者は、使用許可の対象になる行為について占用許可を出す前に警察署長へ協議する(道路法32条5項)。
処理にかかる期間は道路と都道府県で違う。国が管理する指定区間内の国道の占用許可は、関東地方整備局が出張所受付から2〜3週間以内を標準処理期間としている(書類不備の補正期間と申請内容の変更期間は含まない)。道路使用許可は愛知県警察が申請から許可証の交付まで7日程(行政庁の休日を含まない)としている。
費用
道路使用許可の手数料は都道府県で額が違う。警視庁は工事と作業が2,700円、それ以外が2,100円、年間の露店が1,100円、再交付が700円。愛知県警察は2,500円、静岡県警察は2026年4月1日から2,400円、宮城県警察は2,300円。
占用料は、指定区間内の国道が道路法施行令の別表で、それ以外の道路は道路管理者である地方公共団体の条例で定まる(道路法39条2項)。別表が定める工事用施設と工事用材料の額は次のとおり。
| 所在地 | 占用料(占用面積1平方メートルにつき1月) |
|---|---|
| 第一級地 | 3,300円 |
| 第二級地 | 540円 |
| 第三級地 | 190円 |
| 第四級地 | 90円 |
| 第五級地 | 58円 |
級地は市町村の区域内の土地の平均価格をもとに国土交通大臣が定める区分で、第一級地は都の特別区および人口50万人以上の市の区域内の土地の平均価格以上の区域、第五級地は町村の区域内の土地の平均価格未満の区域(別表備考2)。占用面積に0.01平方メートル未満の端数があるときは切り捨てる(同備考8)。占用の期間が1月未満のものは、期間に応じて按分した額に消費税と地方消費税に相当する額を加えた額になる(施行令19条2項)。徴収の方法も道路で違い、関東地方整備局は許可をした日から1月以内に納入告知書で一括して徴収するとしている。
許可を取ったあとに残る義務
工事実施の方法には政令の基準がかかる(施行令13条)。
- 原則として道路の一方の側は常に通行できるようにする(4号)
- 工事現場にさくまたは覆いを設け、夜間は赤色灯または黄色灯を点けるなど交通の危険防止に必要な措置を採る(5号)
- 路面の排水を妨げない措置を採る(3号)
- 掘削はえぐり掘によらず、溝掘、つぼ掘、推進工法その他これに準ずる方法による(2号)
- 電線や水道管などが地下にあると認められる場所の付近を掘るときは、試掘などで確認してから実施し、管理者との協議に基づいて移設や防護、立会いなどの措置を採る(6号)
占用の期間が満了したとき、または占用を廃止したときは、占用物件を除却して道路を原状に回復する(道路法40条1項)。道路使用許可も同じで、期間の満了か許可の取消しの後は速やかに工作物を除去して原状に回復する(道交法77条7項)。
許可の条件に違反している者に対して、道路管理者は許可の取消し、効力の停止、条件の変更、行為や工事の中止、物件の除却、原状回復を命じられる(道路法71条1項)。道路に関する工事のためやむを得ない必要が生じた場合や、道路の構造または交通に著しい支障が生じた場合にも同じ処分ができる(同条2項)。警察署長の側も、無許可で工作物を設置したり工事をした者、許可条件に違反した者、期間満了後に原状回復しなかった者に対して、除却や工事の中止を命じられる(道交法81条1項)。
罰則
| 行為 | 根拠 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 無許可で道路を占用した | 道路法102条1号 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| みだりに道路に土石、竹木等の物件を堆積した | 道路法43条2号、102条3号 | 同上 |
| 無許可で占用の内容を変更した | 道路法103条1号 | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 道路管理者の監督処分の命令に違反した | 道路法104条7号 | 100万円以下の罰金 |
| 無許可で道路を使用した、または交通の妨害となる方法で物件をみだりに道路に置いた | 道路交通法119条2項7号 | 3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金 |
| 道路使用許可に付された条件に違反した | 道路交通法119条2項8号 | 同上 |
| 警察署長の措置命令に従わなかった | 道路交通法119条2項9号 | 同上 |
| 道路使用許可の期間満了後に原状回復しなかった | 道路交通法120条2項5号 | 5万円以下の罰金 |
罰は行為者で止まらない。法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して違反したときは、行為者を罰したうえで法人にも各本条の罰金刑が科される(道路法107条、道交法123条)。道路使用許可の名宛人には、工事や作業をしようとする者だけでなくその請負人も入っている(道交法77条1項1号)。



