石膏ボードを下ろして帰るだけの運転手が、現場のゲートでCCUSのカードを求められる。かざせば記録は残る。ただし、その記録が技能者のレベル判定に使えるかどうかは、その日の契約が建設工事の請負かどうかで分かれる。

建設キャリアアップシステム(CCUS):技能者の保有資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴を業界横断で登録して蓄積する仕組み。運営主体は一般財団法人建設業振興基金。

資材の納入は建設工事の請負契約ではない

関東地方整備局の建設業法の解説資料は、建設工事の請負契約を「報酬を得て、建設工事の完成を目的として締結する契約」と定義し、その括弧書きで「資材購入、調査業務、運搬業務及び警備業務等は該当しません」と外している。建材を売って納めるだけの取引は売買契約で、運ぶだけの取引は運搬業務にあたる。

この線は施工体制台帳にそのまま効く。記載対象になるのは建設工事の請負契約における全ての下請負人で、無許可の業者も含む。資材納入や調査業務、運搬業務にかかる相手方は建設業法上の記載義務がない。施工体制台帳と施工体系図の作成義務が生じる下請契約の総額5,000万円(建築一式工事は8,000万円)を数えるときも、これらの契約金額は足さない。

例外は発注者側の求めから来る。同資料は、仕様書等により発注者が記載を求めているときは記載が必要になる場合もあるとし、国土交通省発注工事で警備会社との契約について共通仕様書が記載を求めている例を挙げている。民間工事でも元請が仕様書や社内ルールで搬入業者の届出を求めることはある。根拠は建設業法ではなく契約書と仕様書になる。

施工体制に載らない人のカードタッチはどう残るか

CCUSで能力評価に使える就業履歴が貯まるまでには3段ある。元請が現場・契約情報を登録し、元請と下請が招待と承認で施工体制登録を済ませ、下請が所属技能者を現場作業員一覧(施工体制技能者登録)に載せる。この3段目まで通って初めて、職種と立場と作業内容が付いた履歴になる。

段のどこで止まったかで、記録の残り方が変わる。

現場での状態 就業履歴 能力評価での扱い
所属事業者が施工体制に登録され、作業員名簿にも載っている 現場情報と職種と立場が付いた形で蓄積 使える
元請が「CCUS未登録」として事業者名だけ施工体制に入れた 作業員名簿の登録ができないため、施工体制情報を持たない履歴として蓄積 使えない
施工体制に入っていない(カードリーダーに「施工体制未登録」と出る) 建レコからシステムに送信されていれば蓄積 使えない

CCUS未登録の事業者を施工体制に入れると、事業者ID欄には「CCUS未登録」と表示され、画面上は施工体制に載っていても安全書類には反映されない。後からその事業者が事業者登録を済ませても施工体制は自動では更新されず、置換の操作が要る。置換しても、すでに蓄積された就業履歴は書き換わらない。

職種コード表には「資材運搬工」がある

技能者側の登録は別の話になる。登録申請書コード表の表5技能職種は、大分類15に「運転手(一般)」を置き、その小分類に01運転手(一般)、02ダンプカー運転手、03コンクリートミキサー車運転手、04建設廃棄物運搬工、05資材運搬工を並べている。大分類15の摘要は「道路交通法第84条に規定する運転免許(大型免許、中型免許、普通免許等)を有し、主体的業務を行うもの」。

建材を運ぶ人が技能者登録するときに選べる職種は、コード表の上では用意されている。ただしコード表が決めるのは職種の名前だけで、その職種で貯まる履歴が現場情報付きになるかは、前節の3段が通っているかで決まる。

事業者登録に建設業許可は要らない

商社や運送会社が建設業許可を持っていなくても、事業者登録の入口は閉じていない。事業者確認書類が許可の有無で分かれるだけになる。

事業者の区分 提出する事業者確認書類
建設業許可がある法人・個人事業主・一人親方 建設業許可証明書または建設業許可通知書の写し1点(資本金確認書類は不要)
建設業許可がない法人 確定申告書(法人税、法人事業税、法人住民税。消費税は不可)の写し1点、または納税証明書と事項全部証明書の計2点
建設業許可がない個人事業主・一人親方 確定申告書の写し1点、消費税か個人事業税の納税証明書1点のいずれか、または所得税の納税証明書と開業届等の計2点

確定申告書の申告日と開業届の開業日は申請日前1年以内、納税証明書と事項全部証明書は証明日が申請日前1年以内のものに限られる。設立間もない法人で申告時期を迎えていない場合は事項全部証明書だけでよい。

一人親方は立場で分かれる。請負契約を結んで施工体制に事業者として登録される立場なら事業者登録が要り、特定の事業所に所属せず専ら技能労働者として雇用される立場なら技能者登録だけになる。後者は事業者として施工体制に登録できないため、就業先の事業者の所属技能者として登録する。

費用の内訳

事業者登録料は資本金で決まり、有効期限は登録完了日から5年後の登録月末まで。

資本金 登録料(税込)
一人親方 0円
500万円未満(個人事業主含む) 6,000円
500万円以上1,000万円未満 12,000円
1,000万円以上2,000万円未満 24,000円
2,000万円以上5,000万円未満 48,000円
5,000万円以上1億円未満 60,000円
1億円以上3億円未満 120,000円
3億円以上10億円未満 240,000円
10億円以上50億円未満 480,000円
50億円以上100億円未満 600,000円
100億円以上500億円未満 1,200,000円
500億円以上 2,400,000円

技能者登録料はインターネット申請の簡略型が2,500円、詳細型が4,900円、認定登録機関経由の詳細型が4,900円(いずれも税込)。カードの有効期間は発行日から発行9年経過後の最初の誕生日までで、申請時60歳以上は14年目、本人確認書類の未提出者は2年目の誕生日まで。紛失や破損での再発行は実費1,000円。

管理者ID利用料は1IDあたり年11,400円(一人親方は2,400円)。現場管理者として登録されたIDには利用料がかからない。事業者登録をすると最初の1IDが自動作成され、事業者登録料とは別に翌月請求される。

現場利用料は1人日・現場あたり10円で、払うのは現場・契約情報を登録した元請事業者。20人の技能者が50日就業すれば10,000円になる。同じ現場に朝と昼休み後の2回入場しても1人日・1現場で10円、午前と午後で同一元請の別現場に入れば2現場で20円。

加工場も現場として登録できる

現場は施工場所に限らない。自社の加工場をシステムに現場として登録すれば、他の現場と同じように就業履歴を蓄積できる。プレカット工場や自社の加工場で刻む人の履歴を残す道はここにある。この場合も現場利用料は、現場の契約情報を登録した事業者が払う。

カードをかざせなかった日の埋め方

カードを忘れた日や読み取りが飛んだ日は、直接入力で後から入れられる。操作できるのは技能者本人か、所属事業者の事業者責任者と第一階層から第三階層の管理者に限られる。現場管理者と代行登録担当者は代行申請できない。

期限は短い。直接入力と元請事業者の承認は、いずれも就業日から数えて翌月末まで。翌々月に入ると入力も承認も一切できなくなる。

入退場管理の仕組みではない

CCUS自体に現場入場者の入退場を管理する機能はない。目的は業界共通ルールでの就業履歴の蓄積で、入退場管理は認定された民間システムとの連携で実現する形になる。連携システムを使っても、カード情報の読取り状況によって入退場時間と勤務時間が一致しないことがある。

求められたときの確認表

その日の仕事 契約の形 CCUS上の扱い
車上渡しで建材を下ろして帰る 売買 施工体制の下請にならない。カードタッチは施工体制情報を持たない履歴
建材を納めて取付けまで請け負う 建設工事の請負 施工体制の下請。作業員名簿に載せれば能力評価に使える履歴
元請から運搬だけを請け負う 運搬業務(建設工事に該当しない) 施工体制台帳の記載義務なし。仕様書で求められれば記載
自社の加工場で刻む 現場の外での自社作業 加工場を現場として登録すれば就業履歴を蓄積できる。現場利用料は登録した事業者の負担

確認先: CCUSの利用方法・料金(建設業振興基金 公式)、登録申請書コード表