4kWのアレイの重量は約3,900〜5,400N(約400〜550kg)。屋根約100㎡の2階建てに載せると、陶器瓦の屋根では荷重が約8〜9%増えるだけだが、金属板の屋根では約78〜90%増える。同じ4kWでも、屋根材が何かで構造の話は別物になる。

載せると決まった時点で、屋根葺き材より先に下葺き材と野地板と垂木の仕様が決まる。手続きの側も順序が固定されていて、電力会社との接続契約が済むまで国の事業計画認定は下りない。

屋根材別の支持部材と、留め付ける先

屋根置き型は、屋根材の上に支持金具を置き、その上に架台レールを渡してモジュールを留める。屋根材ごとに専用の支持部材が用意されている。

屋根材 主な固定支持金具
瓦(和瓦、平板瓦) 支持瓦、支持金具
化粧スレート、アスファルトシングル スレート支持金具
金属 板金金具
折板 折板用金具

留め付ける先は屋根材ではない。垂木や母屋など屋根の主要な構造を構成する部材か、複数の垂木に留めた補強板に取り付ける。支持部材を取り付けるときの防水層への損傷を小さく抑え、止水処理を確実にするためで、ネジはモジュールメーカーのマニュアルで指定されたものを使う。指定以外の方法で取り付けるなら、必要な強度が確保されることを強度試験等で事前に確認する。

モジュールの割付の都合で複数の垂木に補強板を留められないときは、支持部材の間隔を密にして、個々の補強板にかかる荷重を小さくする。

屋根断熱は別の問題を抱える。小屋裏に暖かく湿った空気が回り込みやすいため、留め付けのビスが貫通すると外気温との温度差でビスが熱橋になり、ビス周りが結露する。結露を繰り返すと野地板が腐食し、ビスの引き抜き力に影響する。屋根断熱の場合は、垂木止めにするか補強板を設置して、ビスが断熱材を貫通しない方法を採る。

アレイの下に隠れる部分の仕様

屋根置き型のアレイの下に隠れた屋根材は、メンテナンスも交換も難しくなる。手を入れるにはモジュールの取り外しが要り、費用と手間がかかるうえ、取り外しでシステムに不具合が出ることもある。機器保証は概ね15年程度、発電保証は概ね20〜25年程度なので、屋根材はこの期間を超える耐久性のものを選ぶ。耐久性が高いとされるのは釉薬瓦(陶器瓦)、素焼き瓦、ガルバリウム鋼板などで、ガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えて耐久性を3倍程度に高めたものもある。

下葺き材も同じ理由で仕様が上がる。アレイを設置する屋根に望ましいのは改質アスファルトルーフィングで、一般のアスファルトルーフィングより止水性と耐久性、釘穴シーリング性が高い。耐用年数が30年程度の防水シートも出ており、太陽光を載せる屋根ではその水準を選ぶ。

野地板は、屋根葺き材と支持部材の組み合わせで種類(構造用合板、小幅板、OSB、耐火野地等)と厚さが決まる。野地板がバラ板やOSB合板の場合、あるいは厚さが12mm未満の場合に、15mm程度の補強板を垂木止めで足す対策を用意しているモジュールメーカーもある。

勾配と設置範囲にも先に決まる部分がある。屋根葺き材と支持部材の組み合わせ、それに地域の垂直積雪量によって、屋根勾配に制限がかかる場合がある。屋根端部からの離隔距離も支持部材ごとに定められていて、モジュールの設置範囲がそこで決まる。

屋根建材型を選んだときの設置条件

屋根建材型は、モジュール自体が屋根材として機能し、野地板の上に直接設置される。屋根材としての防火性能が求められ、国土交通省の大臣認定制度が運用されている。認定条件として、周囲の葺き合わせ部の適応屋根材、適応屋根勾配、適応下葺き材、適応野地板仕様が指定される。防水性能を確保するため、適用できる屋根勾配や面積に制限が設けられていることも多い。勾配が緩いと防水性能が落ち、屋根の流れ方向の距離が長くなると雨水流量が増えて処理しきれなくなる。

工程の並びも変わる。屋根置き型は屋根材の施工とモジュールの設置が別の工程になり、その間に調整が要る。屋根建材型は屋根材の施工がモジュールの設置と同じ工程になる。

工事区分と責任の分かれ目

工事区分は、屋根材と躯体の施工、モジュールやパワーコンディショナーの設置、機器間をつなぐ電気工事の3つに分かれる。

担い手 受け持つ範囲 前提になる資格・条件
住宅供給側(住宅メーカー、工務店、設計事務所) 取り合い部の仕様とディテールの決定、構造安全性の確認、建物側の防火上の安全性、耐久性のある屋根下地、固定支持金具の取り付け位置の明確化、建築情報の共有と記録の保管
太陽光発電システム施工会社 固定支持金具と支持瓦の取り付け、架台の取り付け、モジュールの取り付け モジュールメーカーの施工IDの取得が必須。施工マニュアルに則った施工。屋根施工業者との協議と調整
電気工事会社 モジュール間の結線、接続箱とパワーコンディショナーの設置、分電盤までの配線、系統との連系、アース工事、試運転調整、検査 第二種電気工事士
モジュールメーカー 施工会社へのID発行、ID取得者が施工したものの完成検査、メーカー保証書の発行

責任の線引きは取り合い部に集まる。野地板の仕様、ルーフィングの性能、垂木の寸法とピッチ、入線部分の防水と止水の方法。ここは建物側で仕様とディテールを定め、問題になりそうな部分は住宅側で処理する。メーカー保証書が出るのは完成検査の後になる。

荷重の増え方と、2026年4月からの壁量計算

アレイの重量は面積あたりで概ね100〜150N/㎡(10〜15kg/㎡)。積雪に換算すると5〜7cm相当になる。延床約120㎡、屋根約100㎡の2階建てに4kWを載せた場合、屋根材によって荷重の増え方はこれだけ違う。

屋根材 屋根材のみの重量 4kW搭載時の荷重増
陶器瓦(瓦桟葺き) 490〜590N/㎡ 約8〜9%
化粧スレート 180〜210N/㎡ 約20〜26%
アスファルトシングル 90〜120N/㎡ 43〜45%
金属板 50〜60N/㎡ 約78〜90%

壁量の出し方は2025年4月1日に変わった。昭和56年建設省告示第1100号の改正で「軽い屋根」と「重い屋根」の区分が廃止され、建築物の荷重の実態に応じた算定式で必要壁量を出す形になった。算定式には太陽光発電設備等の荷重が独立した項として入る。国土交通省が整備した設計支援ツールでは、太陽光発電設備等の荷重の初期値が260N/㎡に置かれている。柱の小径も同じく、階高に区分別の割合を乗じる方法から、荷重の実態に応じて算定式で求める方法に変わった。

延べ面積300㎡以内の旧4号建築物には、改正前の基準によることができる1年間の経過措置があったが、対象は2026年3月31日までに着工するものだった。2026年4月1日以降に着工するものには改正後の基準が適用される。経過措置で確認済証の交付を受けていても、4月1日以降に着工すれば、検査時か着工後の計画変更の審査時に改正後の基準への適合を確認される。そこで適合が確認できない場合、計画変更に係る確認済証や中間検査合格証、検査済証は交付されない。

太陽光発電設備そのものは、2011年10月1日から建築基準法が適用される工作物から外れている(令138条1項)。屋上に設置する建築設備は、建築物の高さに算入しても建築基準関係規定に適合する場合、令2条1項6号ロの屋上部分以外の部分として扱う。適合の対象は、載せた後の建築物の側にある。屋根に設置する場合は建築基準法の定めに従い、設置後の建築物が建築基準関係規定に適合するよう設計することが、FIT・FIPの認定基準からも求められる(再エネ特措法施行規則5条2項1号ほか)。

接続契約と事業計画認定の順序

国の事業計画認定を受けるには、あらかじめ電力会社から系統接続について同意を得ておく必要がある。認定基準の一つが接続同意で、発電設備を電気事業者の電線路に電気的に接続することについて電気事業者の同意を得ていることを求める。接続契約の締結より前でも申請は出せるが、認定が下りるのは接続契約の後になる。

段階 やること 目安
1 電力会社へ接続契約を申し込む 申込みから締結まで1〜2週間程度
2 再生可能エネルギー電子申請で事業計画認定を申請する GビズIDのプライムかメンバーのアカウントが要る
3 事業者本人が申請内容を承諾する 50kW未満で代行事業者が申請した場合。承諾の確認後に審査が始まる
4 認定 申請から3か月程度、10kW未満の太陽光は2〜3か月程度
5 連系工事、運転開始 10kW未満は認定日から1年を過ぎると認定失効

50kW未満の太陽光の申請は、事業者が委任すれば工務店や販売会社が登録者として手続きできる。この場合も事業者本人のメールアドレスの登録が必須で、本人がシステムで承諾するまで審査は始まらない。10kW未満の設備は、当面の間は出力制御の実施対象から外れている。

認定申請の時点で確定していなければならないもの

認定基準には設備の決定がある。認定の申請に係る発電設備が決まっていることを求めるので、モジュールの型番が固まらないうちは申請が形にならない。

10kW未満のモジュールには適合すべき規格が指定されている。JIS C61215-1、C61215-2、C61730-1、C61730-2、C8993の5つに適合し、加えてパネルの種類に応じてC61215-1-1、C61215-1-2、C61215-1-3、C61215-1-4のいずれか1つに適合するもの。またはこれらと同等の性能と品質を有することが確認できるもの。変換効率にも下限があり、単結晶シリコンと多結晶シリコンを用いた太陽電池は13.5%、薄膜半導体は7.0%、化合物半導体は8.0%。

屋根に載せる場合は書類が2つ増える。認定申請時に、建築基準法に基づく検査済証の写しと、不動産登記法に基づく建物表題登記の登記事項証明書を出す。建築物の工事が完了していなくて申請までに出せないときは、運転開始までに提出することを約する書類を出す。誓約に基づく提出が確認できなければ特定契約を締結できず、提出のないまま運転を開始していることが確認された場合は認定が取り消される。検査済証の写しを持っていない場合は、完了検査の日付と検査済証の交付者、番号、交付年月日が記載された処分等の概要書か台帳記載事項証明書の提出で代えられる。

認定の時期と調達価格

住宅用の調達価格は2025年度の途中で段階が変わった。

認定の時期 10kW未満の調達価格 調達期間
2025年度(4月〜9月)認定 15円/kWh 10年間
2025年度(10月〜3月)認定 24円/kWh(〜4年)、8.3円/kWh(5〜10年) 10年間
2026年度認定 24円/kWh(〜4年)、8.3円/kWh(5〜10年) 10年間
2027年度認定 24円/kWh(〜4年)、8.3円/kWh(5〜10年) 10年間

事業用の屋根設置(10kW以上)も2025年度下期認定分から19円/kWh(〜5年)と8.3円/kWh(6〜20年)に組み替わった。住宅用は初期4年を従来の6割増、事業用の屋根設置は初期5年を7割増にして、早く投資を回収できるようにした形になる。

消費税の扱いは2024年度認定分から変わっている。認定事業者が課税事業者なら調達価格に消費税を加えた額、免税事業者なら調達価格に消費税を含む。最大受電電力が10kW以上の場合は、さらに発電側課金相当額を加えた額になる。

認定を取った後の変更で価格が動くかどうかは、変更の中身で分かれる。

変更の内容 調達価格の変更
モジュールのメーカーの変更、種類の変更、変換効率の低下 なし
太陽電池の合計出力の増加(3kW以上または3%以上)、減少(20%以上) あり。10kW未満の発電設備は変更なし
発電設備の出力の増加 あり。10kW未満で増加後も10kW未満なら変更なし
発電設備の出力の減少 なし
自家発電設備等の設置の有無 あり
接続契約締結日の変更 あり

モジュールのメーカーを差し替えても価格は動かない。動くのは接続契約の締結日が変わったときになる。

既存住宅に載せる前に見るもの

新築でない案件は、図面と現物の両方で確認してから設置方法を決める。

図面で確認する 現物で確認する
屋根の勾配、形状、屋根材の施工方法 雨漏りの有無。見つかれば施工前に補修
屋根の構造、母屋と垂木の寸法とピッチ 垂木のピッチと位置のずれ。図面と異なれば設置方法に反映
野地板の種類と厚み 野地板の劣化状況
防水材の仕様と施工方法 防水シート材の劣化状況。必要なら屋根葺き材を一部外して見る
構造安全性の確認方法(耐震診断、壁量計算、許容応力度計算) 外観の目視のほか、必要に応じて小屋裏調査
設計上の諸条件(防耐火関係法令、風圧力、積雪荷重、塩害の有無)
外壁の構造と仕様(入線方法、配線、配管に関わる部分)

構造安全上の問題や強度不足が見つかったときの分岐は2つ。補強と補修を行い、構造安全性を確認したうえで設置するか、改修が行えず構造安全性の確認ができないなら設置しない。防水シートの劣化が著しい場合は、耐久性の高いものへの交換になる。支持瓦と周辺の瓦の大きさが違って、隙間から雨水が入った例も報告されている。

確認先: 新規認定申請(資源エネルギー庁)、必要な壁量等の基準(国土交通省)