2026年4月1日から、無許可の白ナンバートラックに有償で運送を委託した側も罰金の対象になった。貨物自動車運送事業法65条の2が「何人も」無許可の事業者に貨物の運送を委託してはならないと定め、違反には100万円以下の罰金(法75条14号)。建材の配達と現場への持ち込みは工務店と商社の日常業務で、線がどこにあるかは自社の配車にも他社への委託にも効く。

国土交通省は建設業の団体あてに事務連絡を出し、2026年2月10日付けで許可が不要になる範囲を示し、8月20日付けで建設資材の運搬について誰と雇用契約を結ぶかを整理した。線を引くのは二つ、運ぶ貨物を誰が所有しているかと、ハンドルを握る人が誰に雇われているか。

許可が要る三つの条件

2月10日の事務連絡は、建設現場等で使うダンプカーについて、他人の需要に応じ、有償で、貨物の運送を事業として行う場合に法の許可が必要になる、と書く。この三つが揃ったときだけ許可の話になる。

事業の区分は法2条にあり、使う車と需要者の範囲で分かれる。

区分 定義(法2条) 手続 手続なしで営んだ場合
一般貨物自動車運送事業 他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車と二輪の自動車を除く)を使用して貨物を運送する事業 国土交通大臣の許可(法3条) 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科(法70条1号)
特定貨物自動車運送事業 特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業 国土交通大臣の許可(法35条1項) 1年以下の拘禁刑もしくは150万円以下の罰金、または併科(法71条2号)
貨物軽自動車運送事業 他人の需要に応じ、有償で、三輪以上の軽自動車と二輪の自動車を使用して貨物を運送する事業 国土交通大臣への届出(法36条1項) 100万円以下の罰金(法75条11号)
無許可の事業者への運送の委託 何人も委託してはならない(法65条の2) 該当なし 100万円以下の罰金(法75条14号)

許可を受けた事業用のトラックは緑ナンバー、自家用は白ナンバーで、ナンバーの色が許可の有無の目印になる。

許可が要らない二つの型

一つめは、自ら所有する貨物を自ら運送する場合。自社のニーズや発意で運送が行われ、運送行為の対価も発生しないため、他人の需要と有償性のどちらにも当たらない。土砂等の販売業者が、販売のために購入した土砂等を自社の従業員に運搬させる例が挙がっている。

二つめは、他者が所有する貨物でも、生業と密接不可分で、その業務に付帯するものとして運送を行う場合。成り立つのは次の三つを全部満たすときに限る。生業と密接不可分でその業務に付帯して行われる運送であること。その生業を営む会社が自ら運送行為を行うこと(同一の者が生業と運送行為を一貫して行うこと)。名目の如何を問わず、運送行為の対価としての有償性がないこと。建設工事を請け負った会社が、その工事で発生する残土等を自社の従業員に運搬させる例がこれに当たる。

どちらの型でも「自ら運送を行っている」と言えるためには、雇用関係にある従業員たる運転者に運送させることが要る。期間雇用と日雇い雇用も含まれる。雇用関係の有無は契約の形態だけでなく使用従属性などの実態も踏まえて判断され、主な判断基準として六つが挙がっている。

この六つを全部そろえなければならないのかという質問に、国交省は使用従属性等の実態も踏まえた判断になると答え、労働契約と労働条件通知書の詳細は労働局と労働基準監督署に確認するよう回答している。

建材の場面別の線引き

国交省は2月10日の事務連絡に寄せられた質問へのQ&Aを、資材・骨材関連事業と建設事業に分けて公表している(いずれも2026年3月31日時点)。建材の流通で起きる場面を抜き出すと、こうなる。

場面 法の許可 国交省の整理
自社の製品を自社の従業員が他社の現場へ配達する(車両がリース会社からの借り物でも同じ) 不要 自ら所有する貨物を自ら運送する場合に当たる
運ぶ側が製品を買い取り、配達後に運賃込みの製品代を顧客へ請求する 不要 自ら所有する貨物を自ら運送する場合。対価の支払い方法について法の定めはない
100%資本関係のある子会社の工場が、自社所有の車両と運転者で親会社の工事現場へ製品を搬入する 不要 子会社が自ら所有する貨物を自ら運送する場合に当たる
親子関係にある会社の間で、他人の需要に応じ有償で貨物を運ぶ 必要 法人格が違えば他人の需要に応じた運送になる
A社がB社から白ナンバーのダンプを借り、B社の従業員が運転してA社の貨物を運ぶ 必要 B社が他人の需要に応じ有償で運送している。B社と契約する一人親方の車両と運転でも同じ
下請会社の白ナンバーで建材店へ資材を引き取りに行く(資材が請負契約に含まれない) 場合による 建設工事を行わない者が有償で運べば必要。工事を行う者の雇用する従業員が工事に必要な資材を運び、運送の対価としての有償性がなければ不要
材工で請負契約を結んだ会社の白ナンバーのユニック車や平トラックで鉄筋や二次製品を運ぶ 場合による 請負契約の内容による。前行と同じ整理
一般交通の用に供されない場内だけで貨物を運ぶ 不要 場内の運送に法の許可は不要
元請と結んだ包括的な委託等契約で、建設廃棄物の収集運搬と処分を一体的に実施する 不要 廃棄物処理という生業と密接不可分で、その業務に付帯して行われる運送に当たる
自家用ダンプを持つ個人事業主に運転させる 場合による 荷主と雇用関係にある従業員たる運転者として運ぶなら不要

土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(ダンプ規制法)の12条団体に入っていても、扱いは変わらない。他人の需要に応じ有償で運べば許可が要り、公共工事での使用促進措置に許可を省ける優遇を設けたことはない、と国交省は答えている。

誰と雇用契約を結ぶか

8月20日の事務連絡は、建設資材等の運搬で雇用契約の締結主体がどう分かれるかを表にした。厚生労働省および物流・自動車局と調整済みと明記されている。

運ぶもの 雇用契約を結ぶ相手
資材業者が所有する資材等 運転者と資材業者
建設業者が所有する資材等 運転者と建設業者
資材業者が生業として自ら販売した資材等を、販売先の建設業者へ引き渡すために運ぶもの 運転者と資材業者
建設業者が生業として請け負った建設工事の施工に必要な、発注者が支給する資材等 運転者と建設業者
運転者自らが所有する資材等 雇用契約は不要

1日に複数の事業者の資材を運ぶ場合は、事業者ごとに労働契約を結び、労働条件通知書と車両使用通知書を併せて交付するのが適切とされた。日雇いの労働条件通知書の様式は厚生労働省が公開しているもの、車両使用通知書の様式は今回の事務連絡に合わせて国交省物流・自動車局が作ったもので、どちらも国交省のページからダウンロードできる。

委託する側に回ったとき

法65条の2の主語は「何人も」で、対象は元請に限らない。荷主等には元請事業者のみならず幅広く法人や個人が含まれる、というのが国交省の回答。荷主側が白ナンバーのトラックだと認識して有償で運送を発注した時点で違法行為となりえる、とリーフレットは書く。白トラへの関与が疑われる荷主等は、トラック・物流Gメンによる是正指導の対象にもなる。

猶予は用意されていない。許可申請中で4月1日に間に合わなかった場合の救済措置はなく、狭い道路にしか入れない小型と中型のダンプで緑ナンバーの車両が見つからない場合の特例措置もない、と国交省は二つのQ&Aで別々に答えている。逆に、対策を取って白ナンバーのままで問題ない状況でも取引先が緑ナンバーを求めてきた場合については、どちらを求めるかは建設会社等の経営判断で国として答える立場にないという回答になっている。

同じ4月1日から、運送事業者と貨物利用運送事業者には再委託の回数を2回までに制限する努力義務が課され、運送契約締結時の書面交付義務と実運送体制管理簿の作成義務の対象が貨物利用運送事業者にも広がった。

許可が不要でも残るもの

法の許可が要らない場合でも、運転業務に主として従事する労働者には自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)が適用される。2月10日の事務連絡が留意点として挙げている。

自家用の車を何台も使う会社には、道路交通法の側の義務も立つ。安全運転管理者を選任する基準は、乗車定員11人以上の自動車なら1台、その他の自動車なら5台(道路交通法施行規則9条の8第1項)。大型自動二輪車と普通自動二輪車は1台を0.5台として数える。安全運転管理者の業務には、運転しようとする運転者と運転を終えた運転者への酒気帯びの確認が入る。目視等に加えてアルコール検知器を使い、確認した内容を記録して1年間保存し、検知器を常時有効に保持する(同9条の10第6号、第7号)。自動車20台以上で副安全運転管理者も要る。

確認先: 個別の事案で許可の要否に迷う場合は、主たる事務所を管轄する地方運輸局の貨物課(連絡先の一覧は2月10日の事務連絡)。