公共工事のコンクリート型枠に合板のせき板を使うとき、板面に合法性を示す文言か認証マークと、認定・認証番号、認定団体名が表示されていなければ、グリーン購入法の判断の基準を満たしたことにならない。転用を重ねて表示が読めなくなった場合は、受注者が板面表示のある合板型枠を使っていることを示す書面を発注機関に出せば、表示があるものとみなされる。

こうした品目ごとの条件を並べているのが、グリーン購入法の基本方針(令和8年2月3日変更閣議決定)で、公共工事に関する部分は国土交通省が抜粋を公表している。基本方針の特定調達品目は22分野291品目。公共工事はそのうち役務の1品目で、その下に置かれた品目表に資材58、建設機械2、工法7、目的物3の計70が並ぶ。

縛りがかかるのは契約図書

公共工事そのものの判断の基準は一行しかない。契約図書において、一定の環境負荷低減効果が認められる品目表の資材(材料および機材を含む)、建設機械、工法または目的物の使用が義務付けられていること。義務付けは発注者が契約図書で行い、受注者と納入業者はそこに書かれた基準を満たす材料を用意する側に回る。

国土交通省の令和8年度調達方針は、公共工事の資材について「調達を実施する品目については、調達目標を100%とする」と品目分類ごとに書いている。セラミックタイルなら建築工事の床仕上げなど、断熱材なら建築工事の内外装材など、というように使う場面も資材ごとに指定されている。断熱サッシ・ドアは、気温条件等が厳しい場所に建設される庁舎の建築工事で高い断熱性能が要求される開口部などが対象。

建材に関わる品目の判断の基準

建築工事と建築設備工事で出てくる資材を抜き出すと次のようになる。数値はすべて基本方針の判断の基準そのもの。

品目名 判断の基準
セラミックタイル 再生材料を原料に用い、再生材料が原材料の重量比20%以上(同一工場から通常利用している廃材は算定から除く)。製品または再生材料の焼成品を2mm以下に粉砕したもので重金属等の溶出に問題がないこと
断熱サッシ・ドア 複層ガラスを用いたサッシ、二重サッシ、断熱材の使用その他これに類する有効な断熱の措置が講じられたドアのいずれか
製材 間伐材、林地残材または小径木であること(間伐材は原木の合法性も要る)。それ以外は原木が伐採国または地域の森林法令に照らして手続が適切になされたものであること
集成材、合板、単板積層材、直交集成板 間伐材、工場から発生する端材等の残材、林地残材、小径木等が体積比10%以上。居室の内装材はホルムアルデヒド放散量が平均0.3mg/L以下かつ最大0.4mg/L以下
フローリング 間伐材、工場残材、林地残材、小径木等を使用。基材に木材を使う場合は原料の間伐材も合法性の対象。居室の内装材はホルムアルデヒド放散量が平均0.3mg/L以下かつ最大0.4mg/L以下
パーティクルボード、繊維板 間伐材、工場残材、建築解体木材、使用済梱包材、製紙未利用低質チップ、林地残材、かん木、小径木等の再生資源が重量比50%以上。居室の内装材はホルムアルデヒド放散量が平均0.3mg/L以下かつ最大0.4mg/L以下
木質系セメント板 木質材料や植物繊維の重量比配合割合50%以上。居室の内装材のホルムアルデヒドは上記と同じ
木材・プラスチック再生複合材製品 リサイクル材料等が原材料の重量比60%以上、木質原料はリサイクル材料等の割合100%。重金属等の含有と溶出に問題がないこと
ビニル系床材 再生ビニル樹脂系材料の合計重量が製品の総重量比15%以上
断熱材 フロン類が使用されておらず、再生資源を使用しているか使用後に再生資源として使用できること
高炉セメント 原料に30%を超える高炉スラグ
フライアッシュセメント 原料に10%を超えるフライアッシュ
エコセメント 都市ごみ焼却灰等が製品1トンにつき乾燥ベースで500kg以上
下塗用塗料(重防食) 鉛またはクロムを含む顔料が配合されていないこと
高日射反射率塗料 近赤外波長域日射反射率が明度L*値に応じた値(L*値40.0以下で40.0%、80.0以上で80.0%)以上、日射反射率保持率の平均80%以上
高日射反射率防水 近赤外域における日射反射率50.0%以上
排水・通気用再生硬質ポリ塩化ビニル管 リサイクル材料使用率が三層管50%、発泡三層管30%、単層管80%以上
自動水栓 吐水流量が水圧0.1MPa以上0.7MPa以下で5L/分以下、止水までの時間2秒以内
自動洗浄装置及びその組み込み小便器 洗浄水量4L/回以下で、使用状況により洗浄水量が制御されること
大便器 洗浄水量6.5L/回以下(高座面形と和風便器は対象外)
合板型枠 間伐材、工場残材、林地残材、小径木等が体積比10%以上。それ以外は原木の合法性
再生材料を使用した型枠 廃プラスチックまたは古紙パルプが原材料の重量比50%以上で、使用後の再リサイクルが行われていること

ビニル系床材は、JIS A 5705(ビニル系床材)の種類で記号KSに該当するものが品目から外れる。木材・プラスチック再生複合材製品は使う場所が限られていて、建築の外構工事、公園の園路広場工事、港湾緑地の整備工事が対象になる。

製材等とフローリングの判断の基準には逃げ道がある。体積比10%や間伐材の使用を満たせない場合でも、原木の合法性だけを満たせば基準に適合する扱いで、これは機能的または需給上の制約がある場合に限られる。

JIS適合で基準を満たすと明記された品目

基本方針の備考は、次の品目について、指定したJISに適合する資材は判断の基準を満たすと書いている。カタログのJIS表示をそのまま基準適合の根拠にできる範囲がここで決まる。

品目 適合すれば基準を満たすJIS
高炉スラグ骨材 JIS A 5011-1
フェロニッケルスラグ骨材 JIS A 5011-2
銅スラグ骨材 JIS A 5011-3
電気炉酸化スラグ骨材 JIS A 5011-4
鉄鋼スラグ混入アスファルト混合物、鉄鋼スラグ混入路盤材 JIS A 5015(道路用鉄鋼スラグ)
高炉セメント JIS R 5211 のB種およびC種
フライアッシュセメント JIS R 5213 のB種およびC種
エコセメント JIS R 5214
透水性コンクリート JIS A 5371 附属書B 推奨仕様B-1平板の透水性平板
高日射反射率塗料 JIS K 5675
再生プラスチック製中央分離帯ブロック JIS A 9401
パーティクルボード、繊維板(ホルムアルデヒドの基準について) JIS A 5908、JIS A 5905 のF☆☆☆☆等級
木材・プラスチック再生複合材製品 JIS A 5741 のリサイクル材料等の含有率区分 R60、R70、R80、R90

排水・通気用再生硬質ポリ塩化ビニル管のリサイクル材料使用率は、JIS K 9797(リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管)、JIS K 9798(リサイクル硬質ポリ塩化ビニル発泡三層管)、AS 58(排水用リサイクル硬質ポリ塩化ビニル管)に定める基準による。

木材系は証明書の連鎖で通す

製材、集成材、合板、単板積層材、直交集成板、フローリング、木質系セメント板、間伐材、合板型枠の合法性と持続可能性の確認は、林野庁の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に準拠して行う。木材関連事業者はこれに加えてクリーンウッド法に則すると基本方針が書いている。パーティクルボードと繊維板はガイドライン準拠だけを求めていて、都道府県等による森林や木材の認証制度も合法性の確認に使える。

ガイドラインが挙げる証明方法は3つ。

証明方法 何をもって証明するか
森林認証とCoC認証の活用 森林認証を取得した森林から生産された木材がCoC認証と連結し、認証マークが押印された木材や伝票をもって証明する
関係団体の認定を得て事業者が行う証明 森林、林業、木材産業の関係団体が自主的行動規範を作り、分別管理体制や文書管理体制を審査して構成員を認定する。認定事業者が直近の納入先へ証明書を交付し、納入のたびに繰り返して証明の連鎖を作る
個別企業等の独自の取組 規模の大きな企業が伐採段階から納入段階までの流通経路を自ら把握して証明する。団体認定と同等の信頼性が求められる

団体認定の方法をとる場合、各段階の証明書には品目と数量に加えて、自主的行動規範に基づき認定を受けた際の認定番号を記載する。伐採段階では原木の伐採箇所と、森林法令に照らして手続が適切になされた旨を書く。加工と流通の段階では、納入する製品が合法性の証明がなされたものか、証明された材料を使って製造されたものである旨を書く。証明に必要な事項を納品書等に記載すれば、証明書に代えられる。既存の納品書等の写しを添付すれば、同じ事項の記載は省ける。事業者は証明書を一定期間保管し、根拠を求められたときに関係書類を提示できるようにしておく。

建築工事で出す書類

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の材料の節が、出す物を決めている。

条項 何を出すか
1.4.1(1) グリーン購入法に基づき、環境負荷を低減できる材料の選定に努める
1.4.2(2) 使用する材料が設計図書に定める品質および性能を有することの証明となる資料を監督職員に提出。設計図書に定めるJISまたはJASの材料でマーク表示のあるものを使う場合、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は不要
1.4.2(3) 製材等、フローリング、再生木質ボードは、林野庁ガイドラインに準拠した証明書等を監督職員に提出
1.4.2(4) コンクリート工事のせき板に合板を使う場合は、板面表示等により合法性を確認し、監督職員に報告
1.4.4(4) JISまたはJASのマーク表示のある材料、規格証明書が添付された材料は、設計図書に定める品質および性能を有するものとして取り扱える

木質建材は証明書の提出、せき板の合板は板面表示の確認と報告で、求められる動作が分かれる。せき板に使う合板はJAS 0233(合板)による表面加工コンクリート型枠用合板か、板面の品質B-Cのコンクリート型枠用合板で、特記がなければ厚さ12mm。

土木工事で出す書類

土木工事共通仕様書は1-1-1-35(環境対策)の9項に特定調達品目を置いている。基本方針の特定調達品目を使う場合は原則として判断の基準を満たすものを使用し、その調達実績の集計結果を監督職員に提出する。集計と提出の方法は設計図書と監督職員の指示による。

材料そのものの証明は第2編材料編の第1章第2節。試験成績表、性能試験結果、ミルシート等の品質規格証明書は受注者の責任で整備、保管し、監督職員または検査職員の請求があったときに提示する。設計図書で提出が定められているものは提出する。JISマーク表示品は、マーク表示状態を示す写真等の確認資料で品質規格証明書に代えられる。設計図書で試験を行うこととされた材料でも、JISマーク表示品なら試験を省略できる。

海外で生産された建設資材のうちJISマーク表示品でないものを使う場合は、海外建設資材品質審査・証明事業実施機関が発行する海外建設資材品質審査証明書か、国内の公的機関で実施した試験結果資料を監督職員に提出する。

グリーン購入法とは別枠で、再生資源利用計画と再生資源利用促進計画の写しを施工計画書に添付して提出し、現場に掲示する。工事完了後は実施状況を記録した再生資源利用実施書と再生資源利用促進実施書を提出するが、コブリス・プラスに入力して出力した調査票がこの提出に代わる。

基準を満たせないとき

土木工事共通仕様書は、事業ごとの特性、必要とされる強度や耐久性、機能の確保、コスト等の影響で判断の基準を満たすものを使えない場合は、監督職員と協議すると定めている。基本方針の側も、公共工事の目的となる工作物は長期にわたる安全性や機能の確保が必要で、調達可能な地域や数量が限られている資材があることに留意すると書いている。判断の基準は環境負荷の低減の観点だけで作られていて、強度や機能、価格といった事項は規定しないことになっている。

発注者が判断の基準を満たすことをどう確かめるかは、技術評価基準に整理がある。再生材料を使った製品は見た目で類似品と区別しにくいため、証明書等で確認するのが一般的な手法で、証明書は工事書類の簡素化の観点から従前より提出されている書類に記載されていることが望ましい、という書き方になっている。調達品自体にも証明書との関連が確認できる製造番号の明示等があることが望ましいとされる。

自治体発注では自治体の方針次第

グリーン購入法の調達方針の作成が義務なのは、各省各庁の長と独立行政法人等の長(法7条1項)。都道府県、市町村、地方独立行政法人は、毎年度の方針を作成するよう努めるものとされる努力義務で、その方針では特定調達品目に該当する物品等を調達を推進する環境物品等として定めるよう努める(法10条)。

同じ建材でも、国と独立行政法人の工事では調達目標100%で契約図書に義務付けが入り、自治体の工事ではその自治体が方針を作っているかどうかで扱いが変わる。方針を作った自治体は、その方針に基づいて調達を行う(法10条3項)。

確認先: 発注機関の調達方針と設計図書、特記仕様書