床下空間の有効高さが320mmの木造住宅は、長期優良住宅の認定を取れない。基準は330mm以上で、浴室の床下のようにやむを得ないと認められる部分だけが例外になる。

この330mmは建築基準法にも住宅性能表示制度の劣化対策等級3にもない数字で、長期優良住宅法に基づく平成21年国土交通省告示第209号が、等級3に適合したうえでさらに求める追加措置にある。告示の最終改正は令和6年12月27日の告示第1396号。認定申請は所管行政庁へ着工前に出すもので、令和7年度は新築一戸建ての49.8%が認定を取った。

認定で決まる性能の水準

長期使用構造等と呼ばれる6つの性能項目に、規模と居住環境、災害配慮、維持保全計画を加えたものが認定基準になる。新築の水準は次の通り。

性能項目 新築基準 一戸建て 共同住宅等
劣化対策 劣化対策等級(構造躯体等)3に適合し、かつ構造の種類に応じた追加措置 ○ ○
耐震性 耐震等級(倒壊等防止)2、または等級1に適合し安全限界時の層間変形が1/100(木造は1/40)以下、または鉄筋コンクリート造等でDsと応答変位の条件、または品確法に定める免震建築物 ○ ○
省エネルギー性 断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6 ○ ○
維持管理・更新の容易性 維持管理対策等級(専用配管)3、維持管理対策等級(共用配管)3、更新対策(共用排水管)3。いずれもガス管を除く ○ ○
可変性 躯体天井高さ2,650mm以上 適用なし ○
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級(共用部分)3(一部の基準を除く) 適用なし ○
住戸面積 一戸建ては床面積の合計75㎡以上、共同住宅等は40㎡以上。いずれも少なくとも1の階の床面積が40㎡以上(階段部分を除く) ○ ○
居住環境 地区計画、景観計画、条例によるまちなみの計画、建築協定、景観協定の区域内では、その内容と調和を図る ○ ○
災害配慮 災害リスクのある地域では、リスクの高さに応じて所管行政庁が定めた措置 ○ ○
維持保全計画 構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、給水または排水の設備について、仕様に応じた点検の項目と時期を設定 ○ ○

可変性とバリアフリー性は共同住宅と長屋にかかる項目で、一戸建てには適用されない。共用の配管や廊下がない共同住宅等でも、該当する共用部分の基準は外れる。

省エネルギー性のうち断熱性能は住戸単位で見るが、一次エネルギー消費量は共同住宅等に限って住棟単位でも評価できる。認定対象外の住戸を含む全住戸の設計一次エネルギー消費量の合計が基準値の合計を超えないこと、または住宅用途の共用部分まで含めた合計が基準値の合計を超えないことのどちらかで通せる。非住宅部分は評価に含めない。

劣化対策の等級3は、通常想定される自然条件と維持管理条件の下で、構造躯体が限界状態に至るまでの期間が3世代以上となる対策を指す。長期優良住宅はその等級3を前提に、構造の種類ごとの追加措置を重ねる形をとっている。

住戸面積の75㎡は、所管行政庁が地域の実情を勘案して55㎡を下回らない範囲で別に定めることがある。共同住宅等の40㎡は下げられない。少なくとも1の階に求める40㎡からは階段部分の面積を除くが、階段の下を便所や収納として使える場合はその分を階段部分から差し引ける。エレベーターは階段部分とみなし、着床階では床面積に算入しない。面積は住戸専用部分の壁心で測り、バルコニーは含めない。

木造は点検口と床下の高さが上乗せになる

木造で追加されるのは3項目だけで、いずれも材料ではなく空間の作り方に効く。

項目 基準
床下の点検口 区分された床下空間ごとに点検口を設ける。人通孔等で接続されていれば、接続された床下空間を1の部分とみなす
小屋裏の点検口 区分された小屋裏空間ごとに点検口を設ける。人通孔等で接続されていれば1の小屋裏空間とみなす
床下空間の有効高さ 330mm以上。浴室の床下等でやむを得ないと認められ、その部分の点検ができ、他の床下空間の点検に支障をきたさない場合は適用しない

有効高さはコンクリート等の上端からの高さで、最も低い部分で測る。取り外せる断熱材のような非構造部材を張った場合、点検の際にそれを外して移動できるなら、外した状態の寸法で算定してよい。大引きの直下のように部材が局所的に突出している部分も、点検に支障がなければ突出部を除いて測れる。ただし突出部で人通孔とみなせる程度の空間が取れないときは、そこで仕切られた2つの空間の間は移動できないものとして扱う。

小屋裏の点検口では、小屋筋かいのように長期荷重を負担せずボルト等で容易に脱着できる部材は、空間を区分する障害にあたらない。吹抜けの上部のように点検口から到達できない部分は、ポールカメラやファイバースコープを入れる開口で代えることが想定されていて、軒裏換気口やダウンライト用の開口を使えば、その小屋裏空間は点検口を持つ空間と接続しているものとみなせる。

タイル張りの在来浴室や玄関の土間で床下空間が無い、あるいはモルタル等で充填されている部分には、点検口も330mmも適用されない。

鉄骨造は鋼材の厚さで防錆仕様が変わる

鉄骨造の追加措置は、柱(ベースプレートを含む)とはり、筋かいに使う鋼材の防錆処理で決まる。鋼材が薄いほど求められる塗膜やめっきの区分が上がり、同じ厚さでも最下階の柱脚部は一般部より重い措置になる。

鋼材の厚さ 一般部 最下階(地階を除く)の柱脚部
15mm以上 規定なし 塗膜の区分3から5、またはめっきの区分3から6
12mm以上 塗膜の区分2から5、またはめっきの区分1から6 塗膜の区分4か5、またはめっきの区分4から6
9mm以上 塗膜の区分3から5、またはめっきの区分3から6 塗膜の区分5、またはめっきの区分5か6
6mm以上 塗膜の区分4か5、またはめっきの区分4から6 塗膜の区分5、めっきの区分5か6、またはめっきの区分4とf・g・hのいずれかの塗膜の併用
2.3mm以上 塗膜の区分5、またはめっきの区分5か6 めっきの区分6、またはめっきの区分5か6とf・g・hのいずれかの塗膜の併用

柱脚部とは、脚部をコンクリートに埋め込む場合はコンクリート上端の下方10cmから上方1mまでの全面、埋め込まない場合は鋼材下端から1mまでの全面を指す。表のf、g、hは2液形エポキシ樹脂プライマー1回を下塗りとする塗膜で、fは合成樹脂調合ペイント2回、gは2液形エポキシ樹脂エナメル1回、hは同じエナメル2回を中塗りと上塗りに使う組み合わせ。

めっきの区分は溶融亜鉛めっきの付着量で切られる。

区分 片面付着量
区分1 30g/㎡以上60g/㎡未満
区分2 60g/㎡以上90g/㎡未満
区分3 90g/㎡以上120g/㎡未満
区分4 120g/㎡以上180g/㎡未満
区分5 180g/㎡以上225g/㎡未満
区分6 225g/㎡以上

区分ごとに両面付着量と、溶融亜鉛めっき鋼材の付着量表示記号(Z06からZ60、F06からF18)も並列に定められている。区分4以上には溶融亜鉛5%アルミニウム合金めっき鋼材のY記号、区分5以上には溶融55%アルミニウム亜鉛合金めっき鋼材のAZ記号が入る。

鉄骨造には逃げ道がひとつある。防錆措置の表に適合させる代わりに、木造の点検口と床下有効高さ330mmの基準を満たしてもよい。鋼材の手配で防錆の区分を上げるか、床下と小屋裏の点検口で通すかを設計段階で選べる。木質材料と鋼材を組み合わせた薄板軽量形鋼造も、追加措置は鉄骨造と木造どちらの点検口の規定によってもよい。

なお、鉛系のさび止めペイントはJISが廃止され、告示の塗膜表はJIS K5674の鉛・クロムフリーさび止めペイント1種へ移行済み。水を主要な揮発成分とする2種は除かれている。

鉄筋コンクリート造は水セメント比かかぶり厚さ

鉄筋コンクリート造では、劣化対策等級3の水セメント比50%以下に対して、さらに5%下げるか、かぶり厚さを1cm増すかのどちらかを選ぶ。かぶり厚さを1cm増やすことは、水セメント比を5%下げるのとほぼ同じ効果があるという整理になっている。

部位 かぶり厚さ(イ)水セメント比45%以下の場合 かぶり厚さ(ロ)水セメント比50%以下の場合
直接土に接しない、耐力壁以外の壁または床(屋内) 2cm 3cm
同上(屋外) 3cm 4cm
直接土に接しない、耐力壁、柱またははり(屋内) 3cm 4cm
同上(屋外) 4cm 5cm
直接土に接する、壁、柱、床、はりまたは基礎の立上り部分 4cm 5cm
直接土に接する基礎(立上り部分と捨てコンクリートの部分を除く) 6cm 7cm

外壁の屋外に面する部位にタイル貼りやモルタル塗り、外断熱工法の仕上げがあれば、屋外側に限ってかぶり厚さを1cm減らせる。

これらと同等以上とみなせる仕上材は、JIS A 6909の外装薄塗材、外装厚塗材、複層塗材か、JIS A 6021の外壁用塗膜防水材か、公共住宅建設工事機材の品質・性能基準のマスチック塗材で、二酸化炭素透過度が0.4mol/(m2・24h)以下であることを要する。要件を満たすことが確認済みの仕上材として、防水形外装薄塗材E、複層塗材CE、可とう形複層塗材CE、防水形複層塗材CE、複層塗材Si、複層塗材E、防水形複層塗材E、複層塗材RE、防水形複層塗材RE、外壁用塗膜防水材、マスチックAEが挙がっている。施工方法はJASS 23吹付け工事、JASS 8防水工事、JASS 15左官工事、公共建築工事標準仕様書、公共住宅建設工事共通仕様書のうち、使う仕上材に合ったものによる。

中庸熱ポルトランドセメントか低熱ポルトランドセメントを使う場合は、かぶり厚さを増す(ロ)の道が使えず、水セメント比45%以下の(イ)に限られる。フライアッシュセメントは混合物を除いた部分、高炉セメントは混合物の10分の3を除いた部分を質量として計算する。軽量コンクリートは表の対象外で、同等以上の措置を別に示すことになる。

木造と鉄骨造には点検口という追加措置が置かれたのに、鉄筋コンクリート造は初期の材料仕様だけで済む。早期に劣化を見つけて進行を抑える処置が取りにくい構造だという判断による。

共用排水管で認められる更新しやすい仕様

共同住宅等にかかる更新対策(共用排水管)の等級3では、撤去のときのはつり工事を軽減する措置が求められる。貫通部分をモルタル等ではなくロックウール等で充填する乾式工法、配管が貫通するパイプスペースの床をコンクリートではなくプレート等とする工法、ジャッキアップによる抜管工法が、騒音や粉塵を抑えて抜管できる例に挙がっている。

切断工事を軽減する対策としては、配管を切らずに管と継手の接合部を分離できる継手や接合工法、切断時の騒音が比較的小さく短時間で撤去できる樹脂管の採用がある。いずれの場合も、管種と管径に応じた作業スペースを確保しておく必要がある。

専用配管と共用配管の基準からはガス管が外れている。長期優良住宅法で維持保全の対象になる設備が、給水と排水のためのものに限られるため。

維持保全計画に書く点検の間隔

維持保全の対象は3つの部分に限られる。構造耐力上主要な部分(基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、筋かい等の斜材、床版、屋根版、はりや桁等の横架材)と、雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、これらの開口部の戸や枠その他の建具)、給水または排水の設備(給水管、給湯管、受水槽、高置水槽、給水ポンプ、排水管、排水槽、排水ポンプ)で、浄化槽と建物外部の排水ますは入らない。

点検の時期は、工事の完了または直近の点検、修繕、改良から10年を超えない範囲で定める。耐用年数から見れば10年で点検する必要のない部分も含まれるが、偶発的に劣化環境が悪くなる場合を考えて、対象部分すべてを10年を限度に見る建て付けになっている。被覆されていて目視点検に破壊を伴う部分は、この10年の縛りから外し、周辺部分の点検結果を踏まえて対応することを計画に書けばよい。

このほか、地震時と台風時の臨時点検、点検結果を踏まえた調査と修繕、改良、劣化状況に応じた維持保全方法の見直しを計画に定める。維持保全の期間は建築後30年以上。

認定申請に出す図書

添付図書は施行規則第2条第1項の表一に並ぶ。建材の種別と寸法がどの図書に載るかは、次のように分かれている。

図書の種類 明示すべき事項
設計内容説明書 住宅の構造および設備が長期使用構造等であることの説明
付近見取図 方位、道路、目標となる地物
配置図 縮尺、方位、敷地境界線、敷地内の建築物の位置、空気調和設備等とエネルギー消費性能向上設備の位置、配管に係る外部の排水ますの位置
仕様書(仕上げ表を含む) 部材の種別、寸法、取付方法、エネルギー消費性能向上設備の種別
各階平面図 縮尺、方位、間取り、各室の名称と用途、寸法、階段の寸法と構造、廊下と出入口の寸法、段差の位置と寸法、壁の種類と位置、通し柱の位置、筋かいの種類と位置、開口部の位置と構造、換気孔の位置、設備の種別と位置、点検口と掃除口の位置、配管取出口と縦管の位置
用途別床面積表 用途別の床面積
床面積求積図 求積に必要な各部分の寸法と算式
二面以上の立面図 縮尺、外壁と開口部、エネルギー消費性能向上設備の位置、小屋裏換気孔の種別と寸法、位置
断面図または矩計図 縮尺、建築物の高さ、外壁と屋根の構造、軒の高さ、軒とひさしの出、小屋裏の構造、各階の天井の高さ、天井の構造、床の高さと構造、床下と基礎の構造
基礎伏図 縮尺、構造躯体の材料の種別と寸法、床下換気孔の寸法
各階床伏図・小屋伏図 縮尺、構造躯体の材料の種別と寸法
各部詳細図 縮尺、断熱部その他の部分の材料の種別と寸法
各種計算書 構造計算その他の計算を要する場合の計算の内容
機器表 エネルギー消費性能向上設備の種別、位置、仕様、数、制御方法
状況調査書 建築物の劣化事象等の状況の調査の結果

点検口の位置は各階平面図、床下換気孔の寸法は基礎伏図、小屋裏換気孔の種別と寸法は立面図、床下と基礎の構造は断面図または矩計図。木造の追加措置に対応する情報が4種類の図書に分散する。部材の種別と寸法、取付方法は仕様書に集まる。

同じ事項を別の図書に明示していれば、重ねて書く必要はない。表に挙がった事項をすべて他の図書に書いたときは、その図書自体を添えなくてよい。所管行政庁が必要と認める図書を添える場合、表の図書のうち行政庁が不要と認めたものは省ける。

評価機関の確認書を先に取ると図書が減る

登録住宅性能評価機関に長期使用構造等であるかの確認を申請し、確認書または設計住宅性能評価書の交付を受けてから所管行政庁へ出す場合、添付図書は表一ではなく表三になる。

表三は付近見取図、配置図、各階平面図、用途別床面積表、床面積求積図、二面以上の立面図、断面図または矩計図、状況調査書。設計内容説明書、仕様書、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、各部詳細図、各種計算書、機器表が落ちる。各階平面図の明示事項も、縮尺、方位、間取り、各室の名称と用途、寸法、居室の寸法、階段の寸法までに縮む。性能の中身は評価機関の確認書が担保し、行政庁側は規模と居住環境、災害配慮を見る形になる。

図書の量は減るが、所管行政庁への認定申請の前に、評価機関へ設計内容説明書と各種図面、計算書を出す手順が挟まる。建築確認の審査を同時に希望する場合は、認定申請書に建築確認に関する申請図書も添える。

変更で再認定が要る範囲

認定後に計画を変更するときは、軽微な変更を除いて所管行政庁の変更認定が要る。軽微な変更は施行規則第7条が定めていて、長期優良住宅建築等計画にかかるのは次の4つ。工事の着手予定時期または完了予定時期の6月以内の変更、譲受人の決定予定時期の6月以内の変更、区分所有住宅の管理者等の選任予定時期の6月以内の変更、そして住宅の品質または性能を向上させる変更その他、変更後も認定基準に適合することが明らかな変更。

建材を差し替える場合、性能が上がる方向か、変更後も基準への適合が明らかであれば変更認定は要らない。ただし建築基準関係規定の審査を申し出ているときは、建築基準法第6条第1項の軽微な変更にあたるものに限られる。

工事完了時には、認定を受けた計画に基づいて工事が完了した旨の報告が原則として要る。認定計画実施者には、建築と維持保全の状況に関する記録の作成と保存も義務づけられていて、認定申請書と認定通知書をそのまま保存することで足りる。