屋根に載せる断熱材が50mmより厚くなると、防火地域と準防火地域、建築基準法第22条の指定区域では国土交通大臣の飛び火認定が要る。三晃金属工業は断熱ボード厚み200mmの構成で一般財団法人建材試験センターの飛び火性能試験に合格し、屋根シート防水工法「ハイタフ防火」を10月1日に発売した。断熱ボード厚み200mmでの合格は国内のシート防水で初だと同社は説明している(同社調べ、2026年9月30日現在)。認定は申請中で、年内の取得を予定する。

飛び火認定が必要になる条件

飛び火は火の粉が飛んで建物が燃え移ることで、屋根の防火性能として規定されている。平成12年建設省告示第1365号は、防火地域と準防火地域、22条の指定区域にある屋根について、下地がコンクリート造かALC、PCa、耐火構造のいずれか、勾配が30°以下、露出断熱工法の断熱材の厚さが50mm以下またはなし、防水材がアスファルト防水や改質アスファルト防水、塩化ビニル樹脂系シート防水、加硫ゴム系シート防水、塗膜防水のいずれか、という条件を示している。どれか一つでも外れると飛び火認定書が必要になる(日新工業の解説)。

断熱を効かせようとすると、この50mmの枠に収まらない。公表されている硬質ウレタンフォームの熱貫流率は、総厚50mmで0.446W/m2・K。同社が対応先に挙げる省エネ・再エネ東京仕様の「ZEB化の手引き」が示す屋根の基準値0.30W/m2・K以下を満たすには、表のとおり総厚85mm以上が要る。断熱材を厚くした屋根は認定ルートに乗るしかなく、そこで何mmまで試験に通っているかが設計の上限になる。

断熱材の厚みと熱貫流率

硬質ウレタンフォームは熱伝導率0.024W/m・Kで、25mmから200mmまで8種類の総厚に対応する。

総厚(mm) 構成 熱貫流率 U(W/m2・K)
25 ー 0.832
35 ー 0.618
50 ー 0.446
75 50mm+25mm 0.305
85 50mm+35mm 0.271
100 50mm×2層 0.238
150 50mm×3層 0.156
200 50mm×4層 0.118

同社が挙げる開発の背景は、ZEB適合の推進と、工場や倉庫、学校体育館の熱中症対策、半導体工場で求められる空調と断熱負荷の低減。

工法の構成と対応する下地

防水材は難燃性を高めた熱可塑性エラストマー系シート「飛び火対応ハイタフシート」で、色はホワイト、裏面はクールブラック。米国のシート防水材メーカーGAF社と共同開発した製品で、シートはGAF社のEverGuard TPO 60mil難燃シートを採用している(1mil=0.0254mm、60milで1.52mm)。主原料はエチレンプロピレンゴム、補強布はポリエステルメッシュスクリムで、重量は1.57kg/m2。

項目 フルシート ハーフシート
幅(mm) 2,000 1,000
働き幅(mm) 標準 1,800 標準 800
長さ(m) 30 30
重量(kg/本) 96 48

工法は機械的固定の外断熱で、下地はデッキプレート(厚み1.0mm、1.2mm)のほか金属屋根、コンクリート、木製、鋼製に対応し、下地と構成の組み合わせで24種類の飛び火対応仕様をそろえる。想定用途は工場、倉庫、商業施設、競技施設、体育館、事務所。勾配は1/75から1/50が標準で、飛び火仕様の場合は30°以下。1/75未満と1.7/10超は同社への相談扱いになる。酸やアルカリ、油分、鉄粉がシートに付く環境、塩素濃度の高い環境、高温の水蒸気がある環境では使えない場合があり、室内が高温多湿になる計画は結露の検討が別に要る。

シート表面の日射反射率は建材試験センターの測定で75.8%。夏季快晴時の屋根表面温度は、従来のライトグレー色の約60℃に対して約46℃まで下がる(社内実測値)。

施工側の条件は現行の標準品「ハイタフEG」を引き継ぐ。熱風融着やハイタフメタル納めといった施工仕様は同一で、同社の施工有資格者による責任施工、防水保証は従来どおり最長10年。ハイタフシリーズは1987年の発売から39年になる。

シートの性能試験値

飛び火対応ハイタフシートは米国で製造しているためJIS表示許可商品ではないが、JIS A 6008:2022の複合シート(補強複合タイプ)の試験で規定される数値は全項目を満たすと説明している。代表的な項目は次の値。

項目 JIS規格 長手方向 幅方向
引張強さ(N/cm) 240以上 682 587
伸び率(%) 15以上 32 29
引裂強さ(N) 50以上 129 142
60℃での引張強さ(N/cm) 100以上 398 416
−20℃での伸び率(%) 7.5以上 24 23

接合部の引張強さは無処理で599N/cm(規格240以上)、加熱処理後572N/cm、アルカリ処理後569N/cm(いずれも規格190以上)。水密性は飛び火対応ハイタフシートとハイタフメタルで仕上げた試験体に水深300mmで水を張り、7日間の観察で漏水がなく、JASS8の試験条件を満たしている。耐候性は第三者機関のキセノンアークランプ式促進試験で、放射照度180W/m2(60W/m2の3倍)、波長域300〜400nm、10,000時間の試験後にひび割れが見られなかった。同社は10,000時間を60W/m2換算で約30,000時間分の紫外線量、屋外暴露22〜30年相当としている。

発売時期と価格

発売日は2026年10月1日で、施工開始日は2027年4月の予定。大臣の飛び火認定は申請中で、年内に取得する見通しを示している。価格は未公表。従来の標準品ハイタフEGシートは、積算資料公表価格版2026年10月号(p.331)に、厚1.52mmの機械固定工法でシート防水部のみの単価が12,150円/m2(税別、施工規模500m2)として載っている。

確認先: 三晃金属工業 ニュースリリース、ハイタフ防火 製品情報。