岡山県真庭市の銘建工業は2026年7月22日、CLTを使った外壁と間仕切壁の1.5時間(90分)耐火構造で国土交通大臣認定を5件取得し、10月2日に仕様を公表した。90分は2023年の施行令改正で新設された区分で、最上階から数えた階数が5以上9以下の階が対象になる。同社の説明では、この階にも要求を上回る2時間耐火仕様を当てる例があり、耐火被覆材が必要以上に積まれていた。耐火試験は一般財団法人日本建築総合試験所が実施した。

90分耐火が新設された経緯

CLT(直交集成板)は、ひき板を繊維方向が直交するように重ねて接着した厚い木質パネルで、壁や床をそのまま構成できる。建物の階数が上がるほど、火災時の倒壊を防ぐために壁や柱が耐えるべき時間は長くなる。改正前の区分は60分刻みだった。

令和5年政令第34号による建築基準法施行令第107条の改正が2023年4月1日に施行され、この刻みが30分単位になった。日本建築総合試験所の説明では、改正の狙いは木造による耐火設計の需要が高い中層建築物の基準を合理化して木材利用を進めること。これで最上階から数えた階数が5以上9以下の階は1.5時間、15以上19以下の階は2.5時間での設計ができるようになった。今回の5件は、このうち90分の区分に当たる。

銘建工業のリリースが参考として挙げる階数と耐火性能の対応は次のとおり。

最上階から数えた階数 要求される耐火性能
4以内 1時間
5以上9以下 1.5時間
10以上14以内 2時間

5件の認定仕様

5件はいずれも、CLTをせっこうボードなどの耐火被覆材で覆う被覆型。認定記号は耐火時間と部位を表し、FP090が90分、BEが耐力壁の外壁、BPが耐力壁の間仕切壁を指す。

外壁の2件は、同じ90分性能を厚みの組み合わせを変えて取っている。ALCを48mm以上から35mm以上へ薄くする代わりに、強化せっこうボードを21mm以上から25mm以上へ厚くする。

認定番号 公表されている仕様(外装側から)
FP090BE-0211 ALC48mm以上、不燃胴縁18mm以上、GB-F(V)21mm以上、CLT90mm以上
FP090BE-0213 ALC35mm以上、不燃胴縁18mm以上、GB-F(V)25mm以上、CLT90mm以上

この表は壁の全層ではない。国交省の帳簿に載る認定名称は2件とも「軽量気泡コンクリートパネル・強化せっこうボード表張/強化せっこうボード重・人造鉱物繊維断熱材裏張/直交集成板造外壁」で、裏張側にも強化せっこうボードの重張と人造鉱物繊維断熱材が入る。裏張側の厚みと密度は公表されていない。

間仕切壁の3件は、両面をGB-F(V)25mm以上の2枚張りで覆う構成が共通で、人造鉱物繊維断熱材の入り方で分かれる。

認定番号 断熱材 被覆 CLT
FP090BP-0112(1) なし 両面にGB-F(V)25mm以上の2枚張り 90mm以上
FP090BP-0112(2) 片面に32K以下、50mm以下 両面にGB-F(V)25mm以上の2枚張り 90mm以上
FP090BP-0112(3) 両面に32K以下、50mm以下 両面にGB-F(V)25mm以上の2枚張り 90mm以上

GB-F(強化せっこうボード)はJIS A 6901:2014の区分で、厚さは12.5mm、15.0mm、16.0mm、18.0mm、21.0mm、25.0mmの6種類。間仕切壁3件が指定する25mm以上を規格品で満たすなら25.0mm一択になる。吉野石膏が常備在庫として挙げるGB-Fの厚さは9.5mm、15.0mm、21.0mmで、25.0mmは入っていない。厚さを任意に取れるのは、GB-Fの要件に釘側面抵抗(A種750N以上、B種500N以上)を加えたGB-Stの側。認定仕様が指定する記号は、この表記に(V)を付したGB-F(V)。

2時間認定を当てていた場合との差

銘建工業が2017年8月10日に取得した2時間耐火のCLT間仕切壁は、認定名称が「両面強化せっこうボード3枚重張/直交集成板間仕切壁」(FP120BP-0080)と「人造鉱物繊維断熱材充てん/両面強化せっこうボード3枚重/直交集成板間仕切壁」(FP120BP-0079)。最上階から5階から9階に当たる階にこの2時間認定を当てていた場合、CLTを覆う強化せっこうボードは片面3枚重張だった。今回の90分認定では、同社の公表仕様で片面2枚張りになる。要求される耐火時間そのものが違うので、同じ性能での置き換えではない。

外壁側の2時間認定は日本CLT協会名義で、FP120BE-0176(2018年11月7日、性能評価は建材試験センター)。名称は「軽量気泡コンクリートパネル・両面薬剤処理ボード用原紙張せっこう板重表張/強化せっこうボード3枚重・人造鉱物繊維断熱材裏張/直交集成板造外壁」で、ALCと裏張側の断熱材という骨格は今回の90分外壁と同じ。裏張側のせっこうボードが3枚重から重張に変わる。

90分のCLT床は7月7日に3社が取得

壁の2週間前、2026年7月7日に90分のCLT床の大臣認定が3件出ている。株式会社シェルター(FP090FL-0288)、株式会社大林組(FP090FL-0289)、株式会社サイプレス・スナダヤ(FP090FL-0290)で、性能評価はいずれも日本建築総合試験所。名称は「コンクリート・強化せっこうボード重上張/強化せっこうボード3枚重下張/直交集成板造床」ほか。これで最上階から5階から9階に当たる階の壁と床が、どちらも90分の認定でそろう。

銘建工業名義のCLT床認定はFP120FL-0160とFP120FL-0167(2018年3月16日)で、いずれも2時間。今回の5件も外壁と間仕切壁だけで、柱とはりは含まない。

日本CLT協会名義の同一名称5件

同じ7月22日の帳簿には、同じ認定名称で日本CLT協会名義の5件も並んでいる。外壁がFP090BE-0210とFP090BE-0212、間仕切壁がFP090BP-0111の(1)から(3)で、性能評価機関も日本建築総合試験所。認定番号は協会と銘建工業が交互に並ぶ。協会側の仕様の厚みは公表されていない。

協会名義の認定を扱うには、CLT大臣認定管理技術者講習会の修了考査に合格して資格登録する。講習会は誰でも受講できるが、登録には実務経験と免許が要る。設計・工事管理者は実務5年以上、検査員は3年以上で、免許は一級建築士、二級建築士、木造建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(仕上げのみは不可)のいずれか。講習会は年1回で、登録の有効期限は受講後3年。検査員の更新時は協会の正会員企業か賛助会員企業の構成員であることも条件になる。

認定が求めるCLT

認定が指定するCLTは厚み90mm以上。銘建工業が公表するCLTは厚み60〜330mm、巾1,800〜3,000mm、長さ8,000〜12,000mm。接着剤は水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤で、同社は非ホルムアルデヒド系と説明している。

リリースが挙げる認定取得の効果は、性能に応じた経済的な耐火設計、設計自由度の向上、必要以上の耐火被覆材を使わないことによる環境負荷の低減。提供開始日と価格は未公表。

確認先: 銘建工業 ニュースリリース、構造方法等の認定に係る帳簿 耐火構造