積水化学工業と積水フーラーが9月29日、耐火接着剤「セキスイ耐火ボンド」を発売した。防火区画材や耐火被覆材、不燃断熱材といった耐火部材の接着と固定に使う1成分形の接着剤で、800℃で60分加熱した後も接着状態が保たれることを社内試験で確認している。荷姿は333mlカートリッジと受注生産の25kgペール缶。価格は公表していない。
積水フーラーは積水化学とH.B. Fullerの合弁会社で、変成シリコーン樹脂系のシーリング材と接着剤を30年以上手がけてきた。2022年9月には止水と気密、耐火を同時に満たす「セキスイ耐火シーラント」を発売している。耐火の接着剤はこれに続く2製品目にあたる。
耐火部材を固定する接着剤には、通常時の接着性能に加えて火災時にも接着を保つ性能が要る。一般的な有機系接着剤は高温環境で劣化しやすく、無機系の耐火材料は耐火性能に優れる一方で柔軟性と施工性、長期耐久性に課題があった。積水フーラーは30年分の開発技術に耐火技術を組み合わせ、通常時と火災時のどちらでも性能を出す材料として製品化したとしている。
800℃60分の試験条件と結果
通常時は接着剤として被着材を固定し、火災時の高温環境では接着層が耐熱性を持つ構造へ変わることで接着対象を保持する、というのが積水化学の説明する仕組み。
試験は材料別に2系統ある。ALCと高密度ロックウールでは、50mm角の試験片に耐火ボンドを5g塗って接着し、23℃で14日養生したうえで800℃の電気炉に60分入れ、加熱後に平面引張試験を実施した。別の試験片は同じ炉内に宙づりで設置し、自重で落ちないかを目視で確かめている。
不燃繊維生地では、25mm幅の耐火クロスの端部に1gを塗り、25mm×25mmの面積で接着して同じく23℃で14日養生。初期養生後と800℃60分加熱後の2回、せん断引張試験にかけた。別の試験片には100gの錘を吊り、800℃の炉内で60分加熱している。
| 対象材料 | 試験 | 結果 |
|---|---|---|
| ALC、高密度ロックウール | 800℃×60分加熱後の平面引張試験 | 加熱後も接着を保持 |
| ALC、高密度ロックウール | 800℃炉内での宙づり(自重) | 60分間部材を保持 |
| 不燃繊維生地 | 800℃×60分加熱後のせん断引張試験 | 加熱後も接着性を保持 |
| 不燃繊維生地 | 800℃炉内での100g錘吊り | 60分間落下せず保持 |
これらはいずれも積水フーラーのラボでの試験結果で、製品性能を保証するものではないと積水化学は断っている。実際に使えるかどうかは、対象部材と使用条件ごとの評価が要る。
接着できる建材と荷姿
耐火性能とは別に、建築用途で求められる長期の耐久接着性能も評価している。対象に挙がっているのは不燃断熱材のロックウール、ALC、スレートボード、セラミックタイルで、耐水試験と耐熱試験の後も接着状態は良好だったとする。耐火性能側の試験対象には不燃繊維生地と耐火繊維が入る。
1成分形のため現場で混ぜる作業が要らず、333mlカートリッジは一般的なカートリッジガンでそのまま打てる。段ボール1箱に10本入り。使用量の多い現場向けには25kgペール缶が受注生産で用意される。
積水フーラーは耐火接着を新しい機能領域と位置づけ、耐火部材の固定や高温環境下での接着、既存の固定方法の省施工化へ用途を広げるとしている。購入の問い合わせ先は同社(0120-29-6771)。



