現場発泡ウレタン断熱材大手の日本アクア(東証プライム、1429)が7月9日、自社製ウレタン断熱ボード「U-MAX」の製造・販売を始めると開示した。これまで他社から仕入れて売っていた断熱ボードを自前でつくる事業へ踏み込む。福岡県内に九州製造拠点を新設し、設備投資などに約11億円を見込む。

生産と供給の体制

U-MAXは国内に新設する3つの製造拠点と、韓国の業務提携工場でつくる。加工と配送は協力会社の一村産業(大阪市北区、代表取締役社長 大嶋秀樹)が担い、フルプレカット加工したうえで建築現場へ直接届ける。切り出しと現場までの物流を一社にまとめる形になる。

拠点の立ち上げは段階的に進む。韓国提携工場での製造と輸入販売、そして九州製造拠点の竣工がいずれも先行し、第2・第3拠点はその後に続く。

予定 時期
韓国提携工場での製造・輸入販売開始 2026年内
九州製造拠点(福岡県内)の竣工 2026年内
第2・第3製造拠点の竣工 2027〜2028年

当期の業績への影響は軽微とする一方、来期以降は国内拠点の稼働と販売体制の拡充で貢献が広がるとみる。U-MAX単体の売上計画は2027年12月期30億円、2028年12月期50億円、2029年12月期100億円。

仕入販売から自社製造へ

日本アクアの主力は戸建向けの現場発泡ウレタン断熱材で、屋根や壁の充填断熱に使われる。床や外張り断熱にはボード系が使われることが多く、同社は2025年7月から断熱ボードメーカーと組んで仕入販売を始めていた。屋根と壁に床を加えた一棟分をまとめて提案する「まるっとアクアフォーム」を組み立て、今回の自社製造でこの体制を本格化させる。

背景には断熱性能への要求の高まりがある。新設住宅の着工が減る一方でZEHなど高断熱住宅への関心は強く、2027年4月に予定されるGX ZEHの適用開始も控える。同社は東京大学大学院工学系研究科の前真之准教授と「ゆとりの断熱等級6」を掲げ、現場発泡ウレタンによる充填断熱に外張り断熱のボードを重ねる「ダブル断熱」を提唱してきた。U-MAXはその外張り側を自社で賄う製品にあたる。

同社試算では、断熱ボードの市場規模は戸建とマンションなど向けを合わせて約500億円、現場発泡ウレタンを含めると約720億円、グラスウールなどを含む住宅向け断熱材の市場全体では約1900億円という。

発注と現場への影響

日本アクアの現場発泡ウレタンを使う工務店は、床や外張りのボードまで同じメーカーからそろえられるようになる。一村産業がプレカットして現場へ直送するため、現場での切断や端材処理の手間は減る。断熱仕様を一棟分まとめて一社に相談できる調達の選択肢が増える。

商社にとっては、約500億円とされる断熱ボード市場に国産の自社製品が新たに加わる。GX ZEHの適用開始を前に外張り断熱やダブル断熱の引き合いが動く局面で、扱える国内供給の幅が広がる。U-MAXの実際の販売価格や品目ごとの仕様は、拠点の稼働に合わせて順次示される見通しだ。